アプリ開発の費用は?費用内訳と維持費削減の方法を解説
自社でアプリ開発をしたいと検討しているところもあると思います。そのような計画がある方がまずやるべきことは、アプリ開発にかかる費用相場をしっかりと把握することです。
今回は、アプリ開発にかかる費用の相場、内訳費用、アプリ開発にかかる費用を抑える秘訣、開発の際の注意点などについて、詳しく解説します。アプリ開発を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
アプリ開発の費用相場
アプリ開発は大きく分けて2通りの開発手段があり、それによってかかる費用が異なる仕組みです。開発手段は以下のように2通りに分類されます。
- フルスクラッチ開発の場合
- ノーコード開発の場合
次より、2通りのアプリ開発手段でかかる費用相場を説明しましょう。
フルスクラッチ開発の場合
フルスクラッチでアプリ開発を実践した際の費用相場は、以下の通りです。
- 最低限の機能搭載のアプリ:200〜400万円
- 基本的な機能搭載のアプリ:400〜1,000万円
- さまざまな機能が搭載されたアプリ:1,000〜2,000万円
- ハイスペック機能が満載のアプリ:2,000万円〜
フルスクラッチ開発の場合、最高額で数千万の費用がかかります。フルスクラッチは複雑なソースコード記述(コーティング)によって構築される仕組みです。低機能のアプリでさえ作業に手間がかかるため、割に合わないといえます。
ハイスペック機能のアプリの場合、開発もそれに比例して複雑な作業が必要です。しかしフルスクラッチ開発はどんな複雑な開発であってもしっかりと対応できます。
ノーコード開発の場合(フルスクラッチの1/3程度)
ノーコードでアプリ開発をした際の費用相場は、以下の通りです。
- 最低限の機能搭載のアプリ:50〜100万円
- 基本的な機能搭載のアプリ:100〜250万円
- さまざまな機能が搭載されたアプリ:250〜500万円
- ハイスペック機能が満載のアプリ:500〜1,000万円
ノーコードは、コーティングのための知識・スキルがなくても開発作業ができ、時間もかかりません。そのため、開発にかかる費用もフルスクラッチと比較した場合、大幅に減少します。
ただし、複雑な作業には対応が難しいため、ハイスペックなアプリの開発には向いていないといえるでしょう。
アプリ開発の費用相場【アプリの種類別】
アプリ開発は、アプリの種類によってかかる費用が異なる仕組みです。アプリ開発にかかる費用相場を種類別に以下の表にまとめました。
ノーコード開発の場合 | フルスクラッチ開発の場合 | |
---|---|---|
SNS系 | 100万円~500万円 | 300万円~1,500万円 |
EC系 | 100万円~300万円 | 300万円~900万円 |
学習アプリ系 | 300万円 | 900万円 |
位置情報系 | 300万円 | 900万円 |
予約システム系 | 200万円〜400万円 | 600万円〜1,200万円 |
管理ツール系 | 100万円~500万円 | 300万円〜1,500万円 |
アプリ開発の内訳費用
アプリ開発はさまざまなセクションがあり、それが統合されることによって開発が進む仕組みです。アプリ開発における費用の内訳は以下のように分類されます。
- 人件費
- 開発期間
- 開発方法
- 対応OS
- 追加機能
- デザイン
- 公開後の保守管理費用
- 諸費用
ではアプリ開発の内訳の内容はどうなっているのか、次より説明しましょう。
人件費
アプリ開発の人件費は、実務担当のプログラマー・エンジニア・デザイナーのことです。実務以外を担当するプロジェクトマネージャーなどもいますが、アプリ開発における人件費はエンジニアなどにかかる費用を指します。
エンジニアなどの人材はスキル・知識のレベルによって報酬が変わる仕組みです。人件費の相場は1人あたり40万〜180万円といわれています。複雑・大規模なアプリ開発であれば、実務担当者のレベルも上がり人数も増えるため、人件費も上がる仕組みです。
開発期間
アプリ開発は、開発にかかる期間によって費用が変動するため、期間も内訳の重要な要素となっています。アプリ開発は、アプリの機能によって開発にかかる期間が決定される仕組みです。機能がシンプルであれば短期間で完了し、多機能でハイスペックであれば、それだけ工数も多くなり開発期間も長引きます。
アプリ開発にかかる期間は最短で1ヶ月ほど・最長で1年以上で、費用相場は200万〜2,500万円です。
開発方法
先述したように開発方法がフルスクラッチ・ノーコードのどれかによって費用にも違いが生じる仕組みです。開発方法はこの2つに加えて、あらかじめ存在するパッケージに沿って開発を進めるパッケージ開発もあります。3つの開発方法の特徴は以下の通りです。
・フルスクラッチ:複雑で高機能なアプリ、長期間の開発に向いている方法だが、単調な機能な場合コスパが悪い
・ノーコード:安く短期間でできる、コードを書くことで高度な開発も可能
・パッケージ:パッケージに沿っての開発なので期間はかからない、パッケージにない機能の追加は難しい
自社が手がけるアプリのタイプに適した開発方法を選ぶことが大事です。
対応OS
対応するOSの数によっても、開発費用は変動します。代表的なOSはPCの場合はWindows・Mac、スマホの場合はios・Androidです。対応できるOSの数が多いほどユーザーも増えるためアプリの収益が増えますが、それだけ開発にかかる費用も増えます。
OSを追加した場合の費用は1種類につき100〜200万円です。対応OSを1種類に絞れば、それだけ開発にかかる初期費用を抑えられます。しかしアプリが気になっているユーザーがいたとしても、そのユーザーの保有デバイスがアプリの推奨OSでない場合、そのユーザーはアプリを使用できません。
また、各OSは開発言語が異なる仕組みです。増やしたいOSの開発に対応できる多様なスキルをマスターしているスタッフがいないといけません。
追加機能
アプリの機能を充実させるためには追加機能を搭載しなくてはいけません。機能が増えればそれだけアプリのクオリティも向上しますが、その分、費用もかかります。
アプリ開発で追加できる機能は、各種ツール機能・ログインおよびデータ連携・決済システムなどです。これらの開発には40万〜100万円ほどかかります。
新たな機能を追加すれば、新規のユーザーも増えやすくなりますが、数十万〜100万ほどの費用がかかることも忘れてはいけません。
デザイン
アプリ開発で大事なのはデザインです。機能が優れていても見た目が地味・スタイリッシュでない場合、見た目だけでユーザーがダウンロードしたくないと判断される恐れがあります。
アプリにおけるデザインは、アプリアイコン・レイアウト・アプリキャラクターなどです。費用相場は1万〜10万円ほどかかります。外注ではなく自社でデザインスキルのある人材がいれば、費用節約が可能です。
公開後の保守管理費用
アプリ開発は、リリース後の保守管理も大事です。リリースしたアプリに不具合があってもそれを放置したままでいると信用を失います。不具合が起きてもすぐに対処できるように保守管理もしっかりと行わないといけません。
保守管理の内容は、システム監視・バグおよび誤動作修正・OSアップデート対応・機能追加・セキュリティ対策などです。これら保守管理にかかる費用は、開発費用の15%ほどが相場といわれています。
諸費用
アプリ開発には人件費以外にも、以下のような諸費用が初期費用としてかかります。
- サーバー代:月額数千円~2万円
- 開発者アカウント費用:Google Play約3,700円(25ドル)、Apple約14,000円(年間99ドル)
- SSL証明書:年間50,000~100,000円
- ドメイン費用:年間1,000円~数万円
諸費用はアプリの種類・開発方法によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
アプリ開発費用を抑えるコツ
アプリ開発において、なるべく費用を抑えたいと考えている方もいると思います。費用を抑えるためには、以下のような4つのポイントを把握することが大事です。
- 補助金を活用する
- 要件定義を明確にする
- レベニューシェア型の契約
- 大手以外の契約
次より、上記4つのポイントの内容について、それぞれ説明しましょう。
補助金を活用する
アプリ開発は、国や自治体が行っている補助金制度の対象です。補助金制度に申請をすれば補助金を受給でき、自社で用意する開発費用を軽減できます。アプリ開発が対象になっている補助金制度の種類は、以下の通りです。
- IT導入補助金:上限450万円
- 小規模事業者持続化補助金:上限50万円
- ものづくり補助金:上限1,250万円
- 事業再構築補助金:上限7,000万円
ただし、各種補助金は申請すれば必ず受給できるわけではありません。補助金を受給するための条件をクリアしないといけないため、申請方法・必要書類・受給のための条件などを確認することが大事です。
要件定義を明確にする
アプリ開発の費用を抑えるうえで重要なのは、「なぜアプリ開発を実施するのか、それによって自社にはどのようなメリットがあるのか」という要件を明確に定義することです。
要件定義を曖昧にしたまま「他社もやっているから」「儲かるらしいから」という理由でアプリ開発を実践すると、無駄な費用がかかってしまいます。
具体的な数値を設定して明確にすることで得られるのは、本当に必要なアプリの特徴・他社との差別化の明確化です。
それにより開発における無駄な作業も明確になり、開発の費用削減も達成できます。事前にしっかりと準備をすれば、無駄な出費を回避することが可能です。
レベニューシェア型の契約
アプリ開発を外注する場合、レベニューシェア型で契約することも費用削減の手段です。レベニューシェア型とは、アプリで発生した収益を会社と開発担当の業者で分配する成果報酬型の契約方法を指します。
外注依頼の費用を支払う必要がない、あるいは安価になることもあるため、依頼する会社側は初期費用の負担を最小に抑えられます。
ただしすべての専門業者がレベニューシェア型を採用しているわけではないので、必ず実践できるとは限りません。また収益は分配のため、得られる収益が従来より少なくなるデメリットもあります。
大手以外の契約
大手の専門業者は実績があるため外注依頼すれば高品質のアプリを開発してくれますが、その分かかるのが開発代行の費用です。そのため費用を抑えたい場合は、大手以外の業者と契約するという手段もあります。
ただし、有名でない業者の場合、実績が乏しく低クオリティで、アフターサービスもほとんどないという可能性もあるでしょう。口コミなどをチェックしてその業者が信頼できる業者稼働か確認をすることが大事です。
アプリ開発をする注意点
アプリ開発を進めるうえでは、いくつかの注意点を把握しないといけません。その注意点とは次の3つです。
- 費用だけを重視しない
- すべて丸投げにしない
- 開発以外の費用も確認する
では、アプリ開発における3つの注意点について、次よりそれぞれの内容を説明しましょう。
費用だけを重視しない
アプリ開発で大事なのは、費用削減だけにこだわらないことです。費用を少しでも少額で済ませればそれだけ金銭面の負担はかかりません。しかし、費用を抑えるとそれだけ品質も下がる可能性があります。
多機能でない簡易的なアプリであれば低予算でも問題ありません。しかし実績のない無名の専門業者に開発代行を依頼した場合、こちらが希望するクオリティには達しない可能性もあります。完成度の高いアプリ開発を達成するためにも、費用を削減することだけにこだわってはいけません。
すべて丸投げにしない
アプリ開発の際は、すべてを開発代行会社に任せるのではなく、自社でもできることを見つけましょう。
プログラミングなどの専門的なスキルを持った人材は、自社では見つかりにくいかもしれませんが、デザインに関してはタブレットなどで高品質なものを生み出す人材がいるかもしれません。
何もかもを外注で任せるのではなく、できるものを自社で担当すれば、それだけ費用も抑えられます。
開発以外の費用も確認する
開発にかかる費用だけに注目するのではなく、開発以外の運用・保守にかかる費用についても事前に計算しておきましょう。
アプリ開発は、開発後の運用・保守も重要な仕事です。運用・保守をおろそかにするとアプリの評判および会社の評価が下がります。品質を保つために、運用・保守に関する費用についても、考えておきましょう。
まとめ
アプリ開発を自社で行う場合、まずやるべきことは開発にかかる費用の相場を知ることです。それにより費用をいくら用意すればいいのかがわかります。
アプリはそのタイプ・開発方法によって費用が変わるため、どんな開発方法があるのか、どんなタイプがいくらかかるのか、という点も把握しておくことが大事です。
アプリ開発のための注意点、大事なポイントを頭に入れて、円滑なアプリ開発を目指しましょう。