自社で使えるDifyのインストール方法|非エンジニアでもできるセルフホスティング手順
「Difyを自社サーバーにインストールして、より自由に活用したい」
そう思っても、「技術的に難しそう」「コマンド操作がよくわからない」と感じる方も多いはずです。
ですがご安心ください。DifyはDocker(ドッカー)を使えば、複雑な開発スキルがなくてもインストールが可能です。
この記事では、ITエンジニアではない方でも理解できるように、自社サーバーにDifyをインストールする具体的な手順を、ステップバイステップでわかりやすく解説します。
「ChatGPTを社内専用で使いたい」「セキュリティを確保した上でAIを活用したい」そんな課題の解決にもつながる内容です。
1-1 Difyを自社サーバーにインストールする理由とは?
Difyはクラウドでも使えますが、自社サーバーにインストールすることで以下のようなメリットがあります。
●自社データを外部に出さずにAI活用できる
→ 機密情報や顧客情報を含むナレッジも安心してAIに学習させられます。
●カスタマイズ性が高まる
→ 画面デザインの変更や、独自機能の追加も可能。
●APIキーやリソースを自由に管理できる
→ OpenAI以外のLLM(Claude、Geminiなど)も柔軟に切り替えられる。
●長期的にはコストダウンにもつながる
→ SaaSの課金体系に縛られず、必要なリソースだけ使える。
1-2 インストールの前提知識と準備
非エンジニアでも安心してインストールするために、以下の準備をしておきましょう。
●必要な前提:
- 基本的なPC操作ができる(コピー&ペーストなど)
- クラウドサーバー(VPSなど)を契約している
- ターミナル(コマンド操作)に抵抗がない
●推奨環境:
項目 | 推奨内容 |
---|---|
OS | Ubuntu 20.04 or 22.04 |
メモリ | 最低2GB(4GB以上推奨) |
ストレージ | 20GB以上の空き容量 |
ネットワーク | 外部からのHTTPS接続ができる状態 |
●事前に準備するもの:
- ドメイン(SSLを利用したい場合)
- OpenAIのAPIキー(GPT利用時)
2-1 DifyをDockerでインストールする手順【基本版】
DifyはDockerを使ってインストールするのがもっとも簡単です。以下にステップごとに解説します。
ステップ1:サーバーにSSH接続する
- 例)MacやWindowsのターミナルから:
ssh username@your-server-ip
ステップ2:DockerとDocker Composeをインストール
sudo apt update
sudo apt install docker.io docker-compose -y
インストール後、Dockerが正しく動くか確認:
docker --version
docker-compose --version
ステップ3:DifyのGitHubリポジトリをクローン
git clone https://github.com/langgenius/dify.git
cd dify
ステップ4:環境変数ファイルをコピーして編集
cp .env.example .env
nano .env
以下の項目を自分の環境に合わせて編集します。
APP_ENV=production
OPENAI_API_KEY=sk-xxxxxx
(ご自身のAPIキーに置き換え)- 必要であればメール設定やストレージ設定も記述
編集後は Ctrl + X
→ Y
→ Enter
で保存
ステップ5:Docker Composeで起動
docker-compose -f docker-compose.yml up -d
これでDifyが自動でバックエンド・フロントエンド含めて立ち上がります。
ステップ6:ブラウザでアクセス
http://your-server-ip:3000
にアクセス- 初回ログイン画面が表示されます(アカウント登録が必要)
2-2 Difyの初期設定と使い方
初回ログイン後、以下の流れで基本設定を進めていきます。
●管理者アカウントの登録
→ メールアドレスとパスワードを設定
●ワークスペースの作成
→ チーム名や用途に応じたスペースを作成
●LLM(大規模言語モデル)の選択
→ ChatGPT、Azure OpenAI、ClaudeなどAPIキーで連携可能
●アプリ作成の開始
→ 「New App」から業務向けAIアプリを作成
3-1 DifyをHTTPS(SSL)対応させるには?
インターネット越しに安全にアクセスするためには、SSL証明書によるHTTPS対応が必要です。
方法①:Cloudflare+リバースプロキシ(初心者向け)
- ドメインをCloudflareに設定
- NginxなどのWebサーバーでSSL化
- Dockerコンテナにポートフォワードする
方法②:Let’s Encryptを使って直接SSL化(中級者以上)
sudo apt install certbot
sudo certbot certonly --standalone -d yourdomain.com
その後、Nginxなどでリバースプロキシ設定を行い、SSL証明書を組み込む形になります。
3-2 よくあるトラブルと対処法
●画面が真っ白になる・表示されない
→ .env
ファイルの設定が不足していないか確認
→ Docker再起動:docker-compose restart
●ChatGPTが動かない
→ OpenAIのAPIキーが正しく入力されているか確認
→ 使用モデルの指定が正しいかチェック(gpt-4 など)
●メール送信ができない
→ .env
のSMTP設定が正しいか確認(GmailやSendGridなど)
4-1 セルフホストでDifyを安全に運用するためのポイント
●セキュリティ対策は必須
- ファイアウォールの設定
- Dockerに外部アクセス制限
- SSHログインのセキュリティ強化(公開鍵認証など)
●定期的なバックアップを取る
docker volume
ごとに定期バックアップを設定- データベースやファイルのバックアップを自動化
●Difyの更新情報をチェック
- GitHubでのアップデート情報を定期確認
docker-compose pull && docker-compose up -d
で更新可能
まとめ|Difyを自社で運用して、より自由なAI活用を実現しよう
Difyを自社でインストールすることで、セキュアかつ柔軟なAI運用が可能になります。
クラウド版ではできない細かな設定や、機密データの学習など、業務に合わせたAI活用を社内でコントロールできます。
Dockerを使えば、専門知識がなくても構築は現実的です。
この記事を参考に、まずはテストサーバーなどで構築し、段階的に本番環境へと進めてみてください。
AIを社内資産にする時代は、もう始まっています。
Difyのセルフホスティングで、あなたの組織のAI活用を本格始動させましょう。