Difyのプロンプト設計ガイド|非エンジニアでもできるAI精度アップのコツ
「DifyでAIアプリを作ってみたけれど、思ったような回答をしてくれない」
そんな経験はありませんか?
その原因の多くは、プロンプト(AIへの指示文)の設計にあります。
DifyはノーコードでAIアプリを作成できる便利なツールですが、AIの出力品質はプロンプトの設計に大きく左右されます。
この記事では、ITに詳しくない方でもすぐに実践できるように、Difyのプロンプト設計の基本から応用まで、事例付きで分かりやすく解説します。
「何をどう書けばAIはちゃんと答えてくれるのか?」
その答えがこの記事にはあります。
現場で即使える実践的なプロンプト設計ノウハウを、今すぐ学んでみましょう。
1-1 そもそもプロンプトとは何か?Difyにおける役割
プロンプトとは、AIに与える“指示文”のことです。
Difyではこのプロンプトによって、AIの人格・役割・応答スタイル・制約条件などを定義します。
Difyにおけるプロンプトの主な用途:
- AIの“キャラクター”を設定(例:「あなたは営業アシスタントです」)
- 回答の“トーン”を指定(例:「丁寧語で、わかりやすく説明してください」)
- 使って良い情報や参照元を指定(例:「PDFに含まれる内容だけを使ってください」)
- 禁止事項を明記(例:「個人的な意見は述べないでください」)
AIが“どんな存在として、どう振る舞うべきか”を明示することで、ブレのない一貫した回答が得られます。
1-2 プロンプト設計の重要性と失敗例
どれだけ高性能なAIモデルを使っても、プロンプトが曖昧だと期待通りの動作はしません。
よくあるプロンプトの失敗例:
✖ 曖昧な命令
「質問に答えてください」
→ どんな立場で?どんな言葉づかいで?答える基準が不明確。
✖ 情報の制約がない
「PDFから答えて」
→ どの情報を信じて、どこまで引用してよいか不明。誤情報の元。
✖ トーン指定が抜けている
「説明してください」
→ AIが硬すぎる説明になったり、逆にカジュアルになりすぎる。
このように、“人間的な曖昧さ”があるとAIは意図通りに動けません。
だからこそ、具体的で明確なプロンプト設計が必要になるのです。
2-1 Difyで使えるプロンプトの基本構造
Difyでは、チャットアプリを構築する際に「System Prompt」という項目を設定します。
ここにAIの基本的な人格・スタイル・ルールなどを記述します。
プロンプト構成の基本フォーマット:
あなたは【役割】です。
対象は【誰】です。
【どのように】説明・回答してください。
使う情報は【◯◯に限定】してください。
以下の行動は禁止です:【△△は禁止】
具体例(社内マニュアルBot)
あなたは社内マニュアルに詳しいベテラン社員です。
新入社員の質問に対して、丁寧な言葉づかいで、わかりやすく回答してください。
回答の根拠はアップロードされたPDFマニュアルに限定してください。
個人的な意見やマニュアルにない情報は答えないでください。
このように「誰として」「誰に」「どんな情報を使って」どう答えるかを具体的に定義するのが鉄則です。
2-2 プロンプトに盛り込むべき5つの要素
プロンプトを設計する際は、以下の5つの要素を意識してください。
① 役割(AIの人格・立場)
- 「あなたは◯◯の専門家です」
- 「あなたは30年キャリアの医療事務員です」
② 対象読者(誰に向けた回答か)
- 「初心者にも分かるように」
- 「小学生にも理解できるように」
③ トーン・スタイル(語り口や文体)
- 「丁寧語で、誠実に」
- 「短く簡潔に、箇条書きで」
④ 情報源・制約条件
- 「アップロードされた資料のみを参照」
- 「外部知識や推測は禁止」
⑤ 禁止事項・NG行動
- 「わからない場合は“その情報は確認できません”と回答してください」
- 「マニュアルにない場合は返答を控えてください」
**これらをすべて盛り込むことで、**想定外の回答や誤解を防ぎ、より一貫性のあるAIの挙動を実現できます。
3-1 業務別プロンプト例【コピーして使えるテンプレ付き】
ここでは、すぐにDifyで使えるプロンプト例を業務別に紹介します。
【カスタマーサポートBot】
あなたはお客様サポートチームの担当者です。
丁寧な言葉づかいで、わかりやすく質問に回答してください。
回答はアップロードされたFAQデータベースに基づいてください。
推測や曖昧な回答は禁止です。
わからない場合は「恐れ入りますが、その件は確認中です」と回答してください。
【営業トーク支援AI】
あなたは営業部門のトークアドバイザーです。
営業担当者からの相談に対して、具体的なトーク例やアプローチ方法を提供してください。
回答は営業マニュアルと顧客対応履歴に基づいてください。
無理な売り込みや過剰表現は禁止です。
常に顧客目線で、信頼感を与える提案を行ってください。
【社内マニュアル案内AI】
あなたは社内マニュアルのナビゲーターです。
社内スタッフからの業務手順に関する質問に対して、PDFマニュアルの記載内容を引用しながら説明してください。
口調は丁寧語。わかりにくい場合は例を出してください。
マニュアルに記載のない内容については「その情報はマニュアルに記載されていません」と伝えてください。
3-2 Difyでプロンプトを設定する場所と方法
Difyでプロンプトを設計する場所は次の通りです。
【手順】
- Difyにログイン
- 「Apps」→「New App」または既存アプリを編集
- 「Prompt」セクションに進む
- 「System Prompt」にプロンプトを入力
- 「Save」または「Update」で保存
このSystem Promptが、AIの“人格・ルールブック”となる非常に重要な設定項目です。
4-1 プロンプト改善のPDCAサイクル
一度書いたプロンプトが完璧であることはまずありません。
実際に使いながら改善を繰り返すことが大切です。
改善サイクル:
Plan: 仮のプロンプトを設計する
Do: AIにテスト質問を投げる
Check: 回答内容を検証(期待通りか)
Act: 表現や条件を修正して再テスト
ヒント:
- 回答が長すぎる→「300文字以内で答えて」と追加
- トーンが硬い→「親しみのある語り口で」と修正
- 質問に答えない→「必ず質問に対して答えるように」と明記
4-2 よくある質問とその対策
Q. ChatGPTのように自由に会話できないの?
→ Difyでは目的特化型AIを作るのが前提。自由度より“精度”重視です。
Q. どうしても関係ない情報を答えてしまう…
→ 「情報源はアップロードファイルのみ」と明記しましょう。外部知識を制限する指示が必要です。
Q. ユーザーの入力に応じて返答を変えるには?
→ プロンプト内で「ユーザーの質問の内容に応じて、カテゴリを判断してから回答してください」などと条件分岐を促す記述を加えます。
まとめ|プロンプト設計こそがAI精度のカギ
Difyで高精度なAIアプリを構築するには、プロンプト設計がすべての基盤になります。
役割を明確にする、トーンを決める、情報源を限定する、禁止事項を定める。
この4つを押さえたプロンプトを設計することで、思い通りに動くAIが実現できます。
まずはテンプレを使って始め、少しずつ自社の業務に合う形に最適化していきましょう。
プロンプト次第で、Difyはあなたの最強の業務パートナーになります。