システム開発の費用相場は?コストの内訳について解説

「自社でシステムを構築する際、費用はいくらぐらいかかるのか」
「専門会社にお願いしたいが、どこに依頼すればいいのかわからない」
そのようなお悩みを抱えている方もいるでしょう。自社でシステム開発・構築をするためには、費用相場を把握することが大事です。
今回は、システム開発の費用相場、費用を抑えるための秘訣、システム開発会社を選ぶ際のポイントなどについて、詳しく解説します。システム開発における質問もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
システム開発の費用相場
システム開発は後で説明しますがさまざまな種類があり、それによって費用に差があるのが特徴です。手間のかからない簡易的なシステムであれば数十万、複雑なプログラミングが必要なもの・大規模なシステムであれば数千万円もの費用がかかります。
システムによって費用は異なりますが、平均すると1000万円程度が相場です。この金額はあくまで平均的な相場であり、1000万円よりはるかに安く済ませることも可能であり、1000万円以上かかる場合も珍しくありません。
システム開発費用はどう決まる?構成要素と見積の仕組み
システム開発のコストは、一律の基準では決められません。プロジェクトの規模や技術的要件、対応するエンジニアのレベルによって構成要素が変わるためです。
とくに「人月」による工数見積や単価の設定が費用の大半を占める傾向にあります。加えて、サーバやライセンス、環境構築といった外的コストも無視できません。
ここでは、開発費用の算定に必要な3つの視点を整理して解説します。まずは見積の基盤となる「人月」とは何かを理解しましょう。
人月(にんげつ)と人月単価の考え方
システム開発における「人月」とは、エンジニアが1か月間稼働した場合に発生する作業量の単位です。
たとえば1人のエンジニアが3か月間フルタイムで稼働した場合、「3人月」となります。費用を算出する際には、作業に要する人月数に対して人月単価を掛け合わせる方法が一般的です。人月単価は技術者のスキルレベルや業務内容によって異なり、プログラマーとプロジェクトマネージャーでは倍近い開きが出ることもあります。
開発期間が長くなると人月数も増えるため、初期の段階で必要な機能と規模を明確にしておくことが、予算の最適化につながります。工数の見積もりを軽視すれば、結果的に費用が想定を超過するリスクを高めるでしょう。
エンジニア単価の相場(職種・スキル別)
エンジニアの単価は職種や経験年数によって変動します。たとえば、プロジェクトマネージャーは月80万円以上が相場であり、システムアーキテクトや上級エンジニアも70〜90万円程度の単価となるケースが多く見られます。
対して、ジュニアクラスのプログラマーは月30〜50万円程度と比較的低価格です。発注企業が費用を抑えたい場合、タスク内容に応じて人員構成を調整する必要があります。
業務の複雑さや開発言語の特性によっても単価は左右されるため、単に金額だけで人材を判断するのではなく、適切なスキルセットを持つエンジニアに適切な価格を支払うことが、結果として開発全体の効率化を促します。
必要に応じてオフショアやフリーランスの選択肢も視野に入れると良いでしょう。
諸経費・ライセンス・サーバ費用の割合とは
人件費以外にも、開発に伴う固定的な支出が存在します。代表的なものとして、クラウドサービス利用料やソフトウェアライセンス費、データベース設計や構築にかかるコストが挙げられます。
上記の費用は、全体の開発予算のうち30%前後を占めるケースが一般的です。とくにクラウド型の開発環境を利用する場合は、月額課金によるランニングコストが継続的に発生するため、初期費用だけでなく長期的な支出の見積もりも重要です。
また、セキュリティ対策に関するツール導入や、開発用ツール・サンドボックス環境の準備費も忘れてはならない項目でしょう。これらの経費を含めて総額を把握しないと、開発完了後に予算超過が発覚するリスクが高まります。事前の精緻な見積もりと管理体制が求められます。
システム開発種類別の費用相場
システム開発は種類によって費用相場が異なる仕組みです。システム開発には以下のような種類があります。
- アプリ開発
- 基幹システム
- 業務支援システム
- Webシステム
次より、システム開発の費用相場を、種類別に説明しましょう。
アプリ開発
アプリ開発は、アプリのタイプ・開発方法・対応OSの数によって費用が異なります。安い場合は100万円程度で完成しますが、高機能で対応OSが多い場合は、2,000万〜3,000万円ほどかかる場合も珍しくありません。
かかる費用だけにとらわれずに、どのようなアプリが自社にとってふさわしいか事前に考えることが大事です。
基幹システム
システムの中核を担う重要な役割をするのが、基盤システムです。基盤システムは、生産管理・販売管理などさまざまな種類があり、種類や規模によって費用が異なります。
基盤システムの費用は小規模なものであれば500万円から、大規模なシステムであれば1000万〜1億円ほどが相場です。また、システム導入後のカスタマイズの可能性もある場合は、導入のための初期費用に加えて数百万円以上がかかります。
あらかじめ構築されたシステムではなく自社に見合う基盤システムをオリジナルで作成する場合は、かかる費用は3,000万円以上です。
業務支援システム
企業が行う業務の効率化・生産性の向上のためのシステムが業務支援システムです。顧客管理・業務プロジェクト管理・セキュリティ管理などその支援範囲は幅広く、従業員たちの負担を軽減し、業務の効率化を向上させる目的のために設置されます。
業務支援システムのツール導入にかかる費用は月額5万円程度です。ツール導入だけの場合、月額5万円程度ですが、ツール導入に加えてカスタマイズも付与した場合は50万〜500万円ほどかかります。
自社の特性にあわせて完全オリジナルの業務支援システムをフルスクラッチで開発した場合、かかる費用の相場は500万円以上です。費用に加えて開発期間もかかるため、オリジナルにすべきかツール導入にすべきか検討しましょう。
Webシステム
Webシステムとは、インターネットを介して情報提供やサービス提供を行うシステムで、一般的にはWebサイト・掲示板などを指します。
Webシステムは、自社の公式サイト・ECサイト・マッチングや予約サイトなど多様な種類があり、サイトの機能性・情報量などによって費用相場が変動します。
Webシステムは、安いものであれば100万円程度、高額のものであれば1000万円ほどが相場です。サイトだけでなくサーバーやデータベースなどの存在も入れると高額になります。どのようなタイプが自社にとって適切であるか事前に考慮することが大事です。
システム開発の費用内訳
システム開発を実践する前に費用を把握することも大事ですが、費用の内訳も覚えておくことが必要です。それを知ることによって費用の事前算がしやすくなります。システム開発における費用の内訳は以下の通りです。
- 人件費
- 諸費用
次より内訳の内容について説明しましょう。
人件費
システム開発で発生する費用のうち、8割ほど占めているのが人件費です。システム開発における人件費とは、実務作業をするプログラマー・エンジニアなどに支払う費用を指します。
また、システム開発の計画を総括する存在が、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーです。この立場の人間に支払う報酬も、人件費に含まれます。
人件費は、開発にかかる期間も含めて、以下のような算出方法になります。
「人月単価(人材1ヶ月の稼働で発生する費用) × 人数 × 開発期間」
開発に関わる人材の立場によって費用は変わりますが、人件費の相場は1人あたり40万〜200万円です。システム開発の規模が大きければ関わる人材の数も増えるため、人件費の合計額は高額になります。
諸費用
諸経費は、システム開発のための設備にかかる費用です。具体的には人材が使うパソコン・サーバー・データベース・ソフトウェアにかかる費用を指します。諸費用はサーバーなどの種類・開発するシステムの規模によって変動する仕組みです。
また業務を行う職場環境にかかる費用も、諸費用に含まれます。職場環境が充実していないと円滑に業務を進められないため、実務を担当する従業員たちが働きやすい環境を提供することも重要です。
見積書の見方と妥当性チェックポイント
システム開発を進める際、提示された見積書が適正な内容かどうかを判断することが重要です。金額の大小だけで判断すると、本来必要な項目が漏れていたり、反対に不要なコストが含まれていたりする恐れがあります。構成要素ごとの金額配分や内容の精査を行うことで、妥当性の高い見積かどうかを見極めることが可能です。
ここでは、内訳の基本構造と金額帯の目安、さらに割高・割安の見抜き方、注意すべきチェックポイントについて詳述します。
要件定義/設計/開発/保守の内訳と金額感
見積書には、フェーズごとに明確な金額が記載されていることが望まれます。初期段階の要件定義では、ヒアリングや仕様整理に5万〜50万円が一般的です。
次に設計工程では、機能仕様や画面設計に対して10万〜100万円程度の費用がかかります。開発工程では、最も大きな割合を占め、規模や機能数に応じて100万〜1,000万円以上の見積が提示されることも珍しくありません。
そして納品後の保守・運用については、月額ベースで5万〜30万円程度が平均的な水準です。各フェーズの金額感が過不足ないかを比較し、全体の整合性を確認することが大切です。
相場から見て割高・割安を見抜く視点
見積金額の妥当性を見極めるには、相場との比較が有効です。ただし、単純な金額だけでは判断できません。人月単価が相場より高い場合でも、高度な技術を要するシステムであれば合理的です。
反対に安価な見積もりでも、要件定義が不十分だったり、保守費用が含まれていない場合は、のちの追加費用で総額が跳ね上がる可能性があります。とくに注意すべきは、工数の見積が不自然に少ないケースです。
業界経験のある担当者が作成した見積は、作業工程や工数が細かく分解されており、各項目に対する妥当性のある単価設定がなされています。複数社の見積を比較し、項目の透明性や根拠の明示度に注目すると精度が高まります。
見積書の例とチェックすべき注意点
見積書を確認する際は、単に総額を見るのではなく、各項目が具体的に記載されているかを確認することが重要です。よくあるトラブルとして、設計やテスト費用が省略されていたり、運用費用が別途計上となっているパターンがあります。
チェックポイントとしては、開発内容が項目ごとに分かれているか、工数の根拠が記されているか、ライセンスやインフラコストが明示されているかなどが挙げられます。
また、保守費用については対応時間・対応範囲が曖昧な記載になっていないかを精査することが欠かせません。形式的に整っていても、内容に不透明さが残る場合は、後から追加費用が発生するリスクを伴います。事前のすり合わせと明細の確認が、適正な契約への第一歩です。
システム開発費用を抑えるコツ
システム開発においてなるべく費用を抑えたいと考えている方もいると思います。費用を抑えるためには、以下のような3つのポイントを把握することが大事です。
- 要件定義をおこなう
- 補助金を活用する
- 自社でできることを考える
次より、上記3つのポイントの内容について、それぞれ説明しましょう。
要件定義をおこなう
開発費用を抑えるために必要なのは、「なぜシステム導入をはかるのか」という要件を定義することです。システム開発の目的は「管理にかかる手間の軽減」「新規顧客の獲得」「Webサイトのアクセス数アップ」などが挙げられます。
このような目的を具体的な数値を設定してさらに明確にすることで、本当に必要なシステムの機能が把握できます。それにより目的達成のために必要のない機能も明確になり、それで実現するのがシステム開発の費用削減です。事前にしっかりと準備をすれば、無駄な出費を回避できます。
補助金を活用する
システム開発は、国や自治体が行っている補助金制度の対象です。システム開発が対象になっている補助金制度には、以下のような種類があります。(※条件によって補助額は上下する可能性があります。)
- IT導入補助金:上限450万円
- 小規模事業者持続化補助金:上限200万円
- ものづくり補助金:上限5,000万円
- 事業再構築補助金:上限7,000万円
これらを活用すれば、自社で出す費用を抑えられます。ただし、補助金を受給するためには条件をクリアしないといけないため、各補助金制度の条件を確認しないといけません。
なお「Solashi Co., Ltd」では、システム開発の補助金申請のご相談を多数受け付けております。申請のサポートから開発まで幅広く対応可能です。
はじめてのシステム開発の補助金にご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。
自社でできることを考える
システム開発に関する知識・スキルがない会社はどうしても外注に頼らなくてはいけません。この時点ですぐに外部の会社に頼るのではなく、自社で可能な作業を見つけることも費用削減の手段です。
プログラムにある程度精通している人材・デザインができる人材など、自社で抱えている優秀な人材がいるかもしれません。自社でできることがあればそれだけ外注に支払いをする必要がないため、費用節約になります。
ノーコードでのアプリ開発なら「ノーコード総合研究所」
ノーコード総合研究所は、ノーコードツールを活用し、従来の約3分の1の期間と費用でWebアプリや業務システムを開発している、国内最大規模の受託開発会社です。開発だけでなく、新規事業の立ち上げ支援や業務効率化、AI導入まで幅広く対応しています。
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システム開発会社を選ぶポイント
システム開発を代行してくれる専門会社は多数あるため、どの会社に依頼していいのかわからないという方もいると思います。自分に適した専門会社を選ぶためには、以下のポイントを押さえることが大事です。
- 実績や得意分野を確認する
- コミュニケーションの円滑さ
- サポート内容
- 運用や保守費用なども含めた費用か
次より、システム開発会社を選ぶ際に大事な、4つのポイントについてそれぞれの内容を説明しましょう。
システム開発費用を大きく抑えたい方は、弊社や「Swooo」といったノーコード開発に対応した企業への相談がおすすめです。
ノーコードを活用することで、従来の開発と比較して、約50%ほどのコスト削減が期待できます。
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実績や得意分野を確認する
システム開発の外注をするうえで大事なポイントは、依頼するシステム開発代行専門会社の実績・得意分野のチェックです。開発の専門会社は、すべての業務に実績があるところもあれば、全般ではなくいくつかの業務を得意分野としているところもあります。
自社が開発を希望しているシステムがどの分野であるか、そしてそれを得意としていて安心して任せられる専門会社はどこか、という点を確認することが大事です。
それを判断するための手段が口コミ・評判の確認、そして専門会社がサイト上に挙げている実績数です。実績を多く挙げていればそれだけの信頼を築いている証拠なので、安心して依頼できます。
コミュニケーションの円滑さ
システム開発の専門会社の窓口・スタッフと円滑なコミュニケーションをはかれているかどうかという点も、会社選びのポイントです。いくら専門会社が開発に関して信頼と実績を持っていても、スタッフとのコミュニケーションがスムーズにできないと、こちらが希望するアプリは完成しません。
担当者との意思疎通ができていないと、こちらの希望にズレが生じて違う方向性のアプリが完成する恐れがあります。またこちら側に疑問点・納得いない点があったとしても、それを迅速にわかりやすく答えてくれない場合、開発の方向性が間違ったままで進んでしまうでしょう。
こちらの要望にすぐに答えてくれて、レスポンスも早い専門会社であれば、安心して開発を任せて進めることが可能です。
サポート内容
サポート体制が万全であるかどうかという点の確認も、専門会社選びでは重要な点です。アプリ運用時に不具合があった場合自社では対応できないため、頼れるのは実際に開発作業をした専門会社しかありません。
しかし、こちらが連絡をしてもすぐに対応してくれない場合、ユーザーからの信用を失います。トラブル時にサポートしてくれる体制が万全であるか、どのようなサポート内容であるのか、事前に確認しましょう。
運用や保守費用なども含めた費用か
開発費用以外では、運用・保守の費用はいくらなのか、確認することが会社選びでは大事なポイントです。運用・保守にかかる費用は開発費用の15%ほどなので、事前に開発費用だけでなく運用・保守の費用も計算しておきましょう。
この専門会社なら運用・保守費用はいくらかかるといった具合に、複数の会社を比較することも大事です。
システム開発費用に関するよくある質問
システム開発費用に関してよく挙がる質問は、以下の2つです。
- システム開発にかかる費用は平均いくら?
- システム開発の運用費用はいくら?
2つの質問とその回答を以下より紹介します。
システム開発にかかる費用は平均いくら?
システム開発にかかる相場の平均は100万円ほどです。高額の場合は数千万、安い場合は数十万円で済みます。システムの種類・依頼する開発代行会社によって費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。
システム開発の運用費用はいくら?
システム開発の運用・保守にかかる費用は、開発費用の15%ほどです。開発費用に300万円かかった場合、運用・保守にかかる費用は45万円、開発に1,000万円かかった場合は150万円という計算になります。
システム開発をする際は、事前に運用・保守にかかる費用も計算しておきましょう。開発作業が終了した時点で安心をせず、運用・保守のための費用を用意しておくことが大事です。
まとめ
システム開発にかかる費用を算出する場合、自社で保有するシステムの種類・規模がどれくらいなのか、事前に考える必要があります。
システムの種類・規模によって簡易的なプログラミングで構築可能なものもあれば、複雑なスキルがないと完成できないものもあり、そのタイプはさまざまです。自社の規模・抱えている情報量を事前に把握して、それに見合うシステムを選ぶことが大事です。
そして、システム開発にかかる費用を抑えるためにはどのような方法があるのか、覚えておくことも重要といえます。国や自治体から出る補助金制度の種類、申請方法を確認しましょう。また、開発代行会社にすべて任せるのではなく、自社でできることも探しておきましょう。それにより費用削減が実現します。
そして、開発の代行専門会社に依頼する際は、会社選びのポイントを押さえておきましょう。費用だけでなく実績や得意分野・サポート体制などを確認することが大事です。自社が希望するシステムを構築してくれるか、複数の会社を比較してから選ぶことが重要といえます。
費用相場などを把握して、理想のシステムを自社で所有しましょう。