キントーン(kintone)で業務効率を劇的に改善!非エンジニアでも使いこなせる活用術

近年、デジタル変革(DX)の流れが加速する中、業務アプリケーションの内製化や情報共有の促進は、多くの企業にとって避けては通れない課題となっています。ところが、社内システムを開発・管理するには高度なプログラミング知識が必要と思われがちで、「自分たちでは難しいのでは?」と導入をためらうケースも少なくありません。そこで注目されているのが、サイボウズが提供するクラウドサービス「kintone(キントーン)」です。ノーコード・ローコードで柔軟にアプリを作れるほか、非エンジニアでも管理や運用がしやすい点で、多くの企業が業務効率化の切り札として導入を進めています。本記事では、ITに詳しくない中間管理職の方でもわかりやすいように、kintoneで何ができるのか、そしてどのように活用すればビジネスの現場にメリットをもたらすのかについて、詳しく解説していきます。


目次

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1.kintoneとは?基本機能と導入のメリット

kintone(キントーン)は、サイボウズが提供する業務改善プラットフォームです。クラウド上で動作し、企業内のさまざまなデータやプロセスを一元管理できる点が大きな特徴です。例えば、顧客管理やプロジェクト進行管理、問い合わせ対応など、多岐にわたる業務をひとつのプラットフォーム上で構築・運用できます。さらに、従来はプログラミング知識がないと難しかったシステム開発も、kintoneならドラッグ&ドロップの直感的な操作でアプリを作成できるため、専門外の方でも簡単に業務システムを内製化できる可能性が広がります。

導入のメリットとしてまず挙げられるのは、「生産性の向上」です。紙ベースの管理やExcelファイルのやり取りをやめて、kintone上にデータを集約することで、最新情報を誰もがリアルタイムに参照できるようになります。結果として、二重入力やファイルのバージョン違いなどの混乱が減り、管理工数を大幅に削減できるようになるのです。また、チームでのコミュニケーションもスムーズになります。各アプリの中にコメント機能が備わっており、必要に応じてメンションを飛ばせるため、メールの数が減りやすく、情報の見落としも防ぎやすくなります。

さらに、kintoneはクラウドサービスですので、外出先や在宅勤務でも同じようにアクセスが可能です。VPN接続や自社サーバー構築などの大掛かりな準備が不要で、導入コストや運用負荷を抑えられるのも魅力です。セキュリティ面でも、サイボウズ独自の堅牢な管理体制により、安心してデータを預けられる仕組みが整っています。こうした要素から、IT部門やエンジニアのリソースが限られている中堅・中小企業でも積極的に導入が進んでいるのです。

また、システムに手を加えたくなった際も、専門家に依頼しなくとも多くのケースで社内担当者が対応できます。例えば、項目の追加やレイアウト変更など、運用を始めてから気づいた点をその場で修正できるので、柔軟な改善サイクルを回しやすいのが利点です。その結果、現場の声をリアルタイムで反映した「使いやすいシステム」が生まれ、定着もしやすくなるでしょう。こうしたメリットが相まって、kintoneはビジネスの現場で大きな注目を集めています。


2.ノーコードで作る業務アプリ:kintoneの操作感

kintoneが注目される要因として、その「ノーコード」開発環境に対する評価の高さが挙げられます。専門的なプログラミング言語を覚える必要がほとんどなく、ドラッグ&ドロップやマウス操作でアプリの骨格を作れるのが魅力です。具体的には、まず「フォーム作成」の画面で、テキストボックスや数値入力欄、日付選択欄など、必要なフィールドをレイアウト上に配置します。あとはフィールド名を付け、運用ルールを設定するだけで、立派な業務アプリが完成するわけです。

たとえば、営業チームが使う「顧客管理アプリ」を作りたい場合には、会社名、担当者名、連絡先、商談進捗状況などの項目を自由に配置し、必要に応じて必須入力や重複チェックなどの設定も行えます。プルダウンメニューやラジオボタンなどを活用することで、入力ミスやデータのばらつきを減らす工夫ができますし、数字の合計や日付計算などの簡易的な集計も標準機能として用意されています。

また、kintoneは作成したアプリに関連付けて「レコード(データ)」をどんどん登録していくスタイルです。Excelのように表形式で閲覧・編集できるため、従来のスプレッドシート運用から移行しても違和感が少ない点も好評です。データが更新されると即座に全利用者に反映されるため、常に最新情報を共有できるという強みがあります。さらに、一覧表示の条件を変えたり、グラフやチャートをカスタマイズしたりといった設定も、専門知識なしにできる柔軟さが特徴です。

このように、ノーコードで気軽にアプリを作れる環境は、業務担当者が「こうしたい」「ああしたい」というアイデアをすぐ形にできる点で大きな意味を持ちます。外部ベンダーを経由しなくても、自分たちの手で必要なシステムを育てていけるため、開発費用や時間を大幅に節約できるのです。特に中間管理職の方々にとっては、「現場の声」を即座に反映しやすくなるため、組織全体の業務改善サイクルをスピーディに回せる利点があります。


3.情報共有とコミュニケーションを円滑にする仕組み

kintoneは、データの一元管理だけでなく、コミュニケーションを円滑にするためのさまざまな機能を備えています。具体的には、アプリの各レコードにコメントを付けて他のメンバーをメンションしたり、添付ファイルを共有したりすることで、会話の文脈とデータが一体化したやり取りを実現できるのです。従来のメールベースのやり取りと比べて、やりとりが散逸せず、後から参照しやすい点が大きなメリットと言えます。

例えば、顧客管理アプリのレコードに直接コメントを投稿することで、担当者同士が最新の進捗状況を把握しながら提案方法を議論できます。メールでやり取りをしていると、どのメールが最新か、誰がどの情報を持っているかを追跡するだけでも手間がかかることが多いですが、kintone上なら、顧客情報とコミュニケーションログが一元管理されるため、「あのやりとりはどこにあったっけ?」という混乱を最小限に抑えられます。また、ファイル添付も簡単にできるので、見積書や仕様書などの重要書類をまとめて管理でき、バージョン管理にも役立ちます。

さらに、kintoneには「スペース」と呼ばれる機能があり、特定のプロジェクトや部署ごとに専用の画面を作成できます。スペースには関連するアプリや掲示板を配置し、メンバー限定のコミュニケーション場を設けることが可能です。これにより、プロジェクトごとに必要な情報をまとめておけるため、進捗確認やタスク管理、書類共有などの日常業務が飛躍的に効率化されます。アクセス権限の設定も細かく行えるので、機密情報の保護や承認者だけに情報を開示するといった運用もしやすい点が魅力です。

このようにkintoneは、ただデータを蓄積するだけのシステムではなく、「現場のコミュニケーションをデータと紐づけて最適化する」プラットフォームとして機能します。非エンジニアの管理職にとっては、難しいITスキルを習得することなく、日常的なチームマネジメントや業務改善に役立てられるのが嬉しいところです。組織全体の情報共有を円滑にしながら、属人的になりがちな業務を可視化し、引き継ぎもしやすくなることは、企業の生産性向上に大きく貢献するでしょう。


4.ワークフロー機能で承認プロセスをスピードアップ

企業の現場では、稟議書や経費精算、勤怠申請など、さまざまな承認フローが存在します。これらが紙ベースやメールベースで行われていると、承認者不在で処理が滞ったり、申請内容にミスがあって何度も書類を差し戻したりと、余計な時間が取られてしまうことが少なくありません。kintoneでは、こうした承認業務をシステム上で完結させる「ワークフロー機能」が備わっているため、プロセス全体を大幅にスピードアップできます。

ワークフローの設定は、やはりドラッグ&ドロップなどの操作で行うことが可能です。まず、誰がどのタイミングで承認するかというルートをあらかじめ登録しておきます。申請者がアプリ上でフォームを入力し、申請ボタンを押すだけで、次に承認すべき人に通知が飛ぶ仕組みです。その際、kintoneならではのコメント機能や添付ファイル機能が活用できるため、内容確認や追加資料のやり取りもひとつの画面上で済ませることができます。承認者が不在の場合でも、別の承認ルートに自動的に切り替える設定ができるため、申請が止まらないように配慮が可能です。

また、承認の状況や処理のステータスがアプリ内で可視化されるため、申請者は「いま自分の申請がどこで止まっているのか」をすぐに確認できます。これにより、メールで督促を送らなければならないといった手間も減りますし、どの段階で誰が承認しているかが明確になるため、内部統制の観点からもメリットがあります。修正依頼があった場合も、同じアプリ内でコメントや再申請ができるため、一連の流れを一元管理できるのです。

特に中間管理職の立場では、部下からの申請処理に日々多くの時間が割かれることもあるでしょう。kintoneでワークフローを整備しておけば、承認作業が簡素化されると同時に、申請の段階でミスや不備を発見しやすくなるため、処理全体の精度と速度が上がります。結果として、紙の書類を郵送したり、上司の机に書類が積み重なったりといった非効率が解消され、本来注力すべきコア業務に時間を回すことが可能になるでしょう。


5.拡張性と連携力:外部サービスとの組み合わせ

kintoneは、標準機能だけでも十分活用可能ですが、それだけに留まりません。多種多様な外部サービスやプラグインと連携することで、より高度な業務フローを構築できます。たとえば、チャットツール(SlackやTeamsなど)と連携すれば、kintoneで更新された情報をリアルタイムに通知し、社員が普段使っているチャット画面から必要な情報を確認できるようにすることが可能です。また、Google Workspace(Googleドライブやスプレッドシート)と連携すれば、資料作成やデータ分析の効率をさらに高められます。

さらに、kintoneには「JavaScriptカスタマイズ」や「プラグイン」などの拡張機能が用意されており、要件に応じて細かい動作を追加・調整できる仕組みがあります。ノーコードで対応しきれない複雑なロジックや表示のカスタマイズを行いたい場合でも、スクリプトを少し書くだけで実現可能です。もし社内にプログラミング知識を持った方がいなくても、kintoneを専門に取り扱う開発パートナーが多数存在するため、必要な部分だけ外部に委託して最小限のコストで対応することもできます。

また、kintoneのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用することで、基幹システムとの連携や他のクラウドサービスとのデータ連携を自動化することも可能です。たとえば、受注データをkintoneに登録すると同時に、会計ソフトへデータを送信する仕組みを作れば、二重入力の手間を大幅に削減できます。こうした連携によって、kintoneを中核とした業務の“ハブ”を築く企業も増えています。

非エンジニアの管理職であっても、「kintoneの標準機能 + 必要に応じた連携やカスタマイズ」という考え方を理解しておくと、社内にある多様なニーズに柔軟に応えやすくなるでしょう。はじめはシンプルに導入し、徐々に機能拡張していくことで、組織の成長や変化にもスムーズに対応できます。こうした拡張性と連携力こそが、kintoneの大きな強みの一つと言えます。


6.導入や運用に必要なコストと費用対効果

kintone導入を検討する際、多くの企業が気にするのが「コスト」です。従来型のシステム開発では、大規模な初期投資やサーバー構築費用、保守費などがかかり、社内に専任のIT要員を確保しなければならないケースもあります。一方、kintoneの場合はクラウドサービスとして提供されているため、導入時に大がかりなサーバー設備を用意する必要がなく、月額費用を支払う形で利用を始められます。基本的にはユーザー数ごとや、組織で利用するプランごとに料金が設定されているため、自社の規模や利用範囲に合わせた選択が可能です。

もちろん、まったくコストがゼロというわけではありません。現場が使いやすいアプリを作るための初期設計や、データ移行の手間、社員に対する研修などは必要になります。ただし、プログラミング開発が多くの場合不要であるため、従来のシステム開発と比べると大幅に費用を抑えられるケースが多いです。運用開始後に機能追加や調整が必要になった場合でも、ノーコードで対応できる範囲が広いため、外注コストやエンジニアの工数が抑えられるメリットがあります。

費用対効果(ROI)の面では、以下のような要素が得られます。まず、データの一元化により入力作業や検索に要する時間が削減され、人件費やコミュニケーションコストを圧縮できます。ワークフロー機能で承認スピードが上がれば、意思決定が早まりビジネスチャンスを逃しにくくなります。加えて、リアルタイムでの情報共有により、トラブルやミスの早期発見・対処が可能になるなど、企業全体の業務効率が向上する効果が期待できます。

非エンジニアの管理職にとっては、「社内で完結できる部分が増える」点も見逃せません。データベースやシステム運用に外部リソースを依存しすぎず、自分たちの手でシステムを微調整できることで、長期的なメンテナンス費用を抑えられる利点があります。結果として、導入時の投資を上回る効果を比較的短いスパンで得られる可能性が高いと言えるでしょう。以下の表は、kintone導入時に検討すべき費用項目と効果の例をまとめたものです。

費用・投資項目具体例期待できる効果
月額利用料ユーザー数、プランによる課金サーバー不要・必要な分だけ支払う
アプリ設計・構築業務要件の洗い出し、フォーム作成など外注不要が多く、内製化コスト低減
データ移行過去のExcelやCSVデータ取り込み一元管理による検索時間の削減
研修・教育kintoneの操作説明や運用ルールの整備社員のITリテラシー向上と現場の負担減
カスタマイズ費特殊要件へのスクリプト追加や連携開発業務効率化のさらなる拡充

7.導入プロセスと社内浸透のポイント

kintoneを効果的に導入するためには、単にシステムを契約して使い始めるだけでなく、社内全体での受け入れ体制や導入プロセスを慎重に考慮する必要があります。特に中間管理職の立場で導入を推進する場合、現場の抵抗感を最小限に抑えつつ、業務改善のメリットを明確に示す工夫が求められます。

まずは、小規模の部門やプロジェクトでの試験導入(PoC:Proof of Concept)を行うのがおすすめです。いきなり全社的に導入すると、運用ルールが定まる前に混乱が生じたり、細部の不具合を修正しにくくなる可能性があります。小さな成功体験を積むことで、社内への説得材料が増え、「kintoneを使えばこれだけ効率化できるのか」という実感を得やすくなります。

次に、アプリの設計や運用ルール作りの段階では、現場の声をしっかり取り入れることが大切です。管理職だけで決めたルールは、現場の実態に合わず、形骸化してしまう危険性があります。フォームやワークフローの設定については、実際に使うメンバーと試行錯誤しながら進め、使いやすさと業務効率が両立するようなバランスを目指すとよいでしょう。kintone上で業務を回し始めたら、定期的なフィードバック会議を開き、困りごとや改善アイデアを都度取り上げながら調整を続けるのがポイントです。

また、導入初期には「kintone運用マニュアル」や「FAQ」を整備して、社員が迷わずに使い始められるようにしましょう。研修などで実際の操作を体験してもらうのも効果的です。kintoneのインターフェースは直感的とはいえ、人によっては「画面のどこを操作すればいいのか?」という戸惑いがあります。特にITリテラシーが高くない社員へのサポートを手厚くすることで、社内全体への浸透をスムーズに進められます。

最後に、導入後もしばらくは運用状況をモニタリングし、必要に応じてアプリのカスタマイズや利用ルールの見直しを行う姿勢が重要です。kintoneはノーコードで変更しやすい分、改善や微調整を繰り返しながら成熟度を高めていくことができます。管理職の方が主導して「どうすればもっと使いやすくなるか?」「この業務でも活用できないか?」といったアイデアを出し続けることで、kintoneを活かした業務改善の輪が組織内に広がっていくでしょう。


8.kintoneで実現するこれからの働き方

kintoneを導入すると、業務の効率化やデータの一元管理が進むだけでなく、それが企業文化や働き方の変革につながる可能性があります。例えば、これまで紙やメールに依存していたコミュニケーションがアプリのコメント機能やチャット連携に移行することで、社内コミュニケーションの質が向上し、意思決定のスピードも上がります。テレワークや在宅勤務においても、クラウド上で一貫して業務を行えるため、場所を選ばずに生産性を維持できる体制が整いやすくなるのです。

また、kintoneは属人的になりがちな業務の引き継ぎをスムーズにする効果も期待できます。人事異動や退職などで担当者が変わっても、業務データや会話の履歴、承認フローがすべてkintone上に残っているため、後任者が短期間でキャッチアップしやすくなるでしょう。これは、組織全体のリスク管理にも繋がりますし、社員一人ひとりの業務負荷を軽減することにも貢献します。

さらに、kintoneがもたらす「現場主導のシステム開発文化」は、企業に新たなイノベーションを起こす基盤となり得ます。非エンジニアの社員がアイデアを柔軟に形にできるようになれば、顧客対応や商品開発、内部手続きの改革など、あらゆる場面で小さな改善提案が生まれやすくなるのです。それが組織全体のモチベーションアップや競争力向上につながり、結果として企業価値を高める大きな要因になる可能性があります。

総じて、kintoneの導入は単なるシステム導入にとどまらず、「チームのコラボレーションを深め、働き方をより柔軟かつ効率的にする」プロセスを後押しする存在と言えます。これからの時代、環境変化に素早く対応できる組織こそが生き残れる時代です。中間管理職としては、こうした可能性を最大限に引き出しながら、メンバーとともに活用方法を模索し続ける姿勢が求められるでしょう。


まとめ

kintone(キントーン)は、ノーコード・ローコードでアプリを作成し、データの一元管理やコミュニケーション強化を実現できるクラウド型の業務改善プラットフォームです。紙やExcelで管理していたさまざまな業務をkintoneに集約することで、承認フローのスピードアップや情報共有の円滑化、そして業務効率の向上が期待できます。さらに、外部サービスやプラグインとの連携も可能であり、自社の成長やニーズに合わせて柔軟に拡張していける拡張性が大きな魅力です。

非エンジニアの管理職でも、画面上での直感的な操作でシステムを作り、運用し、改善を加えられるため、現場の声を素早く反映できます。導入時には小規模から試験的にスタートし、社員がその効果を体感しながら徐々に範囲を拡大していくのが成功の近道です。単なる業務効率化だけでなく、働き方の柔軟性や組織文化の変革をも見据えながら、kintoneを活用した新しいビジネススタイルを模索してみてはいかがでしょうか。

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