SaaS UI/UX改善事例10選|顧客満足度と定着率を劇的に上げた実践アプローチ
「機能は優れているのに、なぜか解約(チャーン)されてしまう」
「無料トライアルに登録してもらえるが、有料プランへの転換(コンバージョン)が進まない」
多くのSaaS事業者が直面するこの深刻な課題の正体は、実は「機能不足」ではなく「UI/UXの負債」にあることがほとんどです。
SaaS市場が飽和し、似たような機能を持つツールが溢れる2025年において、ユーザーがツールを選ぶ基準は「何ができるか(機能)」から「いかに迷わず使えるか(体験)」へと完全にシフトしました。複雑なダッシュボード、不親切なオンボーディング、タップしにくいスマホ画面。これらはすべて「使いにくい」という一言で片付けられ、ユーザーは1秒で離脱し、二度と戻ってきません。
逆に言えば、UI/UXを戦略的に改善することで、顧客満足度(CS)、定着率(リテンション)、そして顧客生涯価値(LTV)を劇的に向上させることが可能です。UI/UXへの投資は、もはや「デザインの話」ではなく、事業成長を左右する「経営戦略」そのものなのです。
本記事では、SlackやNotion、HubSpotといった世界的な成功企業が実践した「劇的な成果を生んだUI/UX改善事例」を10個厳選し、そのメカニズムを解剖します。「どこをどう変えれば数字が伸びるのか」という具体的なヒントを持ち帰ってください。
1. なぜSaaSにおいてUI/UXが「機能」以上に重要なのか

事例を見る前に、SaaSビジネスにおけるUI/UXの役割を再定義します。
SaaSのビジネスモデルは「継続利用」が前提です。パッケージソフトのように「売って終わり」ではないため、ユーザーが日々の業務でストレスを感じれば、契約更新のタイミングで必ず解約されます。
- PLG(Product-Led Growth)の加速
営業担当者が説明しなくても、プロダクトの力だけでユーザーが価値を理解し、課金に至る流れが主流になっています。これを実現するには、「説明書なしで使えるUI」が必須です。 - コグニティブ負荷(認知負荷)の低減
2025年のトレンドは「考えさせないUI」です。ユーザーは忙しく、ツールの使い方を覚える暇はありません。脳に負担をかけないデザインこそが、最強の定着施策となります。
2. 【徹底解剖】UI/UX改善で成功したSaaS事例10選
ここからは、実際に大きな成果を上げた10の事例を、改善のアプローチ別に分類して紹介します。
以下の表は、各事例の「改善ポイント」と「得られた成果」のサマリーです。
| 分類 | 企業名 | 改善したポイント | 劇的な成果(Before → After) |
| オンボーディング | 1. Notion | 「空のページ」を廃止し、テンプレート選択フローを導入。 | アクティブ率が45%→80%へ倍増。 |
| 2. Trello | 新規ボード作成時に「次にやること」をガイド表示。 | タスク登録率が47%→87%へ向上。 | |
| シンプル化 | 3. Basecamp | 利用率の低い70%の機能を削除・統合。 | 1人あたりのタスク登録数が1.6倍に増加。 |
| 4. Dropbox | アップセル画面のボタン色と文言をA/Bテストで最適化。 | 有料プランへの転換率が30%アップ。 | |
| モバイル 最適化 | 5. Slack | PC版の縮小表示をやめ、スマホ専用のナビゲーションを実装。 | モバイルでの離脱率が38%→22%へ減少。 |
| 離脱防止 | 6. Figma | 長いロード時間を「操作のTips」を表示する学習時間に変えた。 | 待機中の離脱率が17%改善。 |
| 7. HubSpot | 複雑だった設定画面を整理し、FAQへの導線を常設。 | 設定完了率が43%→82%へ劇的改善。 | |
| サポート 効率化 | 8. Zendesk | 迷子になりやすいメニュー構造を「業務フロー順」に再配置。 | 直帰率が42%→29%へ低下。 |
| 9. Intercom | チャット画面に「よくある質問」の自動提案機能を追加。 | 有人対応の問い合わせ件数が40%減少。 | |
| コンバージョン | 10. Canva | 「無料で始める」などのCTAボタンの文言と表示タイミングを調整。 | クリック率(CTR)が1.6倍に改善。 |
特に注目すべき3つの「神改善」
事例1:Notionの「空白の恐怖」解消
自由度が高いツールほど、初心者は「何をしていいかわからない」状態に陥ります。Notionは、真っ白な画面を見せるのをやめ、「メモ」「タスク管理」などのテンプレートを選ばせる方式に変更しました。これによりユーザーは「選ぶだけ」で使い始められるようになり、定着率が爆上がりしました。
事例6:Figmaの「待ち時間の体験化」
WebベースのデザインツールであるFigmaは、起動に時間がかかるのが弱点でした。しかし、技術的に時間を短縮するのではなく、ローディング画面に「知っておくと便利なショートカットキー」を表示することで、ユーザーの体感時間を短縮し、待ち時間を「有益な時間」に変えるという逆転の発想で離脱を防ぎました。
事例8:Intercomの「自己解決型UI」
「使い方がわからない」という問い合わせは、サポートコストを圧迫します。Intercomは、問い合わせチャットを開いた瞬間に、AIがユーザーの状況に合わせて「この記事で解決しませんか?」と提案するUIを実装。これにより、ユーザーは待たずに問題を解決でき、企業側はサポートコストを大幅に削減できました。
3. 2025年のトレンド:AIと「コグニティブ負荷」の低減

これからのUI/UX改善において無視できないのが「AI」です。
これまでの改善は「クリック数を減らす」「配置を見やすくする」といった物理的な操作性の向上が中心でした。しかし2025年は、AIがユーザーの意図を先読みし、入力そのものを不要にするアプローチが標準になります。
- 入力フォームの自動化: AIが過去の履歴から入力を補完。
- 動的なUI生成: ユーザーの習熟度に合わせて、初心者にはシンプルに、上級者には多機能に、画面自体が変化する。
「ユーザーに考えさせない」「操作させない」ことこそが、究極のUXへと繋がります。
まとめ
SaaSにおけるUI/UX改善は、決して「見た目を綺麗にする」だけの施策ではありません。NotionやSlackの事例が証明するように、ボタン一つ、文言一つを変えるだけで、アクティブ率や売上が2倍になる可能性を秘めた、極めてROI(投資対効果)の高いビジネス戦略です。
しかし、これらの改善を自社だけで行うには、ユーザー行動データの分析、仮説検証、A/Bテストの実施、そして実装という多くのプロセスと専門知識が必要です。「どこから手をつければいいかわからない」「改善したいがエンジニアのリソースが足りない」という企業様も多いのではないでしょうか。
私たちノーコード総合研究所では、BubbleやFlutterFlowといったノーコード技術を活用し、UI/UXの改善を圧倒的なスピードで実行する支援を行っています。ノーコードであれば、デザインの修正や機能の配置換えを数時間〜数日で実装・テストできるため、PDCAサイクルを高速で回し、最短で「正解のUI」に辿り着くことが可能です。「自社SaaSの使い勝手を診断してほしい」「MVPのUIをプロに直してほしい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
