在宅勤務の勤怠管理方法【2026年版】テレワークの打刻・中抜け・残業とシステム比較
はじめに
在宅勤務(テレワーク)は、大企業から中小企業まで幅広い職場で定着しました。出社と在宅を組み合わせるハイブリッド勤務も一般的になり、働く場所は人や日によって変わります。その一方で、「どうやって勤務時間を管理すればいいのか」「出社と違って打刻があいまいになる」という悩みは、導入から時間がたった会社でも消えていません。
オフィスでタイムカードを押す仕組みは、在宅勤務ではそのまま使えません。自宅では子どもの送迎や通院、宅配の受け取りや家事による中抜けも起きやすく、休憩なのか私用なのかの線引きも必要です。管理者が近くにいないため、長時間労働やサービス残業に気づきにくい点も見逃せません。在宅日数に応じた手当の計算や、出社日と在宅日で別々の表を使うことによる集計の手間も、人事労務担当者を悩ませる原因になっています。在宅勤務の勤怠管理では、働く姿を監視するのではなく、労働時間と申請ルールを明確にすることが出発点になります。
この記事では、在宅勤務で勤怠管理が難しくなる理由、厚生労働省のガイドラインで押さえる労働時間把握の考え方、代表的な勤怠管理方法5選、システム導入のポイント、2026年9月時点の公式料金をもとにした比較表を順に解説します。社内ルールの整備、よくあるトラブルと解決策、フレックス制・裁量労働制との組み合わせ、人事部門の役割、自社システムとして開発した事例までまとめました。これから勤怠管理システムを導入する会社はもちろん、すでに導入済みで運用がうまく回っていない会社も、自社の勤怠ルールを見直すときのチェックリストとしてご活用ください。
在宅勤務での勤怠管理が難しい理由

在宅勤務にはオフィスにない課題があります。
- 物理的な打刻ができない: ICカードやタイムレコーダーが使えず、在宅用の打刻手段が必要
- 勤務実態が把握しづらい: いつ働き始め、いつ休んでいるのかが見えにくい
- 自己申告になりやすい: 手入力の報告は過少・過大申告やサービス残業の温床になりやすい
- 業務中かどうかの判断が難しい: PCがついているだけで勤務中と見なされることがある
| 課題 | 起きやすい問題 | 解決策 |
|---|---|---|
| 打刻漏れ | 始業・終業が曖昧になる | スマホ/PC打刻と未打刻通知 |
| 中抜け | 休憩か私用か判断しにくい | 中抜け申請を用意する |
| 残業 | 自宅で長時間労働になりやすい | 事前申請とアラート |
| 在席確認 | 監視感が強くなる | 業務報告と成果物で補う |
| 給与連携 | 手入力でミスが出る | CSV/API連携を使う |
こうした事情から、在宅勤務では業務の可視化、労働時間の信頼性、法令遵守の3つを同時に満たす仕組みが求められます。
厚生労働省ガイドラインで押さえる労働時間把握
厚生労働省のテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインは、テレワークでも労働時間を適正に把握する必要があるとしています。始業・終業の記録は、PCの使用時間などの客観的な記録が原則です。自己申告に頼る場合も、労働時間の適正な把握のためのガイドラインにあるとおり、申告できる残業時間に上限を設けるなど適正な申告を妨げる運用は避けます。
| 中抜けの扱い | 運用方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 把握する(休憩扱い) | 終業時に中抜け時間を報告し、終業時刻を繰り下げる | 報告方法を就業規則で定める |
| 把握する(時間単位年休) | 中抜け時間を時間単位の年次有給休暇にする | 労使協定の締結が必要 |
| 把握しない | 始業から終業までを休憩を除いて労働時間とする | 長時間の私用中抜けには向かない |
長時間労働を防ぐため、同ガイドラインは時間外のメール送付の抑制や、システムへのアクセス制限なども対策として挙げています。
在宅勤務に最適な勤怠管理方法5選

業務内容や勤務制度に合わせて選べる、代表的な5つの方法です。
- クラウド型打刻システム: PCやスマホのブラウザから打刻。最も汎用的な方法
- チャットツール連携(Slack・Teams): チャット上で出退勤を記録し、チームにも共有される
- 勤怠アプリ(モバイル対応): スマホからワンタップで打刻。移動中や出張先でも記録できる
- PCログの自動記録: PCのログイン・ログアウト時刻を記録し、申告との乖離を確認する
- 業務日報と勤怠報告の併用: 業務内容と勤務時間をセットで提出。裁量労働制やフレックス制向き
| 方法 | 向いている会社 | 弱点 |
|---|---|---|
| クラウド型打刻 | 全社で統一したい | 打刻忘れ対策が別途必要 |
| チャット連携 | 日常的にSlack・Teamsを使う | 勤怠システムとの連携設定が要る |
| 勤怠アプリ | 外出・移動が多い | 端末管理のルールが要る |
| PCログ | 客観的な記録を重視する | 監視感が出やすい |
| 日報併用 | 成果で評価したい | 提出の負担が増える |
クラウド打刻を土台に、チャット連携や日報を組み合わせると、正確さと運用のしやすさを両立できます。
勤怠管理システム導入のポイントと注意点
在宅勤務に対応した勤怠管理システムを選ぶときは、次の点を確認します。
- モバイル対応: スマホからの打刻・申請ができるか
- 不正打刻対策: IP制限や勤務場所の申請で、打刻場所を確認できるか
- 操作の簡便さ: 毎日使う画面が直感的か
- レポート・アラート: 残業時間の警告や有給取得状況を自動で出せるか
- クラウド集計: 管理部門が場所を問わず勤怠データを確認できるか
- 勤務場所の記録: 在宅日数の集計や在宅勤務手当の計算に使えるか
多くのサービスに30日程度の無料トライアルがあります。現場と管理側の双方で、打刻から給与連携まで試してから判断します。
おすすめの在宅勤務対応勤怠管理システム比較表

2026年9月27日時点の各社公式料金です。改定されることがあるため、契約前にリンク先でご確認ください。
| サービス | 公式料金(前提条件) | 在宅勤務で見るポイント |
|---|---|---|
| KING OF TIME | 1人月額300円(税抜)、初期費用不要、固定基本料金なし、30日間無料体験 | PC/スマホ打刻、登録かつ在籍人数で課金 |
| ジョブカン勤怠管理 | 公式ページで確認(利用する機能の組み合わせで変動、無料版あり) | 出勤・シフト・休暇申請・工数を選んで使える |
| Touch On Time | 1人月額300円(税別)、初期費用0円、1名から、30日間無料トライアル | 全機能を利用可、打刻端末は別途 |
| HRMOS勤怠 | 30名以下は無料、有料は1人月額100円(税抜)〜、月額プラン最低利用料金3,000円(税別)、初期費用0円 | 有給・申請やシフトはオプション |
| TeamSpirit | TeamSpirit 勤怠 月額24,000円〜(税抜、50ユーザー分を含む最低料金)、初期費用あり | 工数・経費とのセット利用、中〜大規模向け |
| freee勤怠管理Plus | 1ユーザー月額300円、初期費用ゼロ(税区分・最小ライセンス数は公式ページで確認) | freee人事労務との給与連携 |
少人数ならHRMOS勤怠の無料枠、全機能を人数課金で使うならKING OF TIMEやTouch On Time、工数や経費まで管理したい中〜大規模ならTeamSpiritが候補です。無料枠だけで判断せず、承認フローやCSV出力、給与連携まで確認します。
勤怠管理を正しく運用するための社内ルール整備
システムを導入するだけでは不十分です。次の項目を明文化し、社内ハンドブックやイントラネットで周知します。
- 打刻タイミング(業務開始・終了・休憩)
- 遅刻・早退・中抜け時の報告方法
- 残業は事前申請か事後承認か
- 打刻ミス時の修正フローと管理者の承認期限
- 勤怠不備が続いた場合の対応
勤怠データは給与計算と労務管理の根拠になるため、修正履歴を残すことが大切です。本人が修正を申請し、上長が承認し、人事労務担当が締める流れにします。集計の自動化は勤怠管理の自動集計も参考になります。まず一部の部署で試験運用し、ルールが固まってから全社に広げると問い合わせを減らせます。
在宅勤務で起きやすい勤怠トラブルと解決策

起きやすいトラブルと対策です。
| トラブル | 解決策 |
|---|---|
| 打刻忘れ・漏れ | 未打刻アラートと1日1回の確認リマインド |
| サービス残業の常態化 | 残業の事前承認制と、PCログとの乖離チェック |
| 打刻だけして業務をしていない | 業務日報やチャットでの報告を併用 |
| 勤務実態が見えず評価に不満 | 勤怠とタスク進捗をあわせて評価する |
| 中抜けの扱いが人によって違う | 中抜け申請の項目を用意し、扱いを統一 |
| 出社日と在宅日で集計が二重になる | 同じ勤怠データに勤務場所の項目を追加 |
失敗しやすいのは、監視ツールを入れれば解決すると考えることです。PC操作時間やチャットのオンライン表示は参考になりますが、それだけで労働時間を判断すると現場の納得感を損ねます。在宅勤務と出社勤務を同じデータ構造で扱うことが、給与連携と分析の精度を上げます。
フレックス制・裁量労働制との組み合わせ
フレックス制や裁量労働制を在宅勤務と組み合わせる会社もあります。相性は良いものの、勤怠の見える化はより難しくなります。
| 制度 | 記録で重視する点 |
|---|---|
| フレックス制 | コアタイムの有無と、清算期間内の実労働時間 |
| 裁量労働制 | みなし時間とは別に、健康確保のための在社・在宅時間 |
どちらの制度でも、深夜・休日労働や健康確保の観点から時間の把握は必要です。勤務ルール、申告方法、評価基準をあわせて設計します。
テレワーク対応の業務管理システム開発事例

当社では、業務委託を含む従業員110名規模のペットシッティング事業者向けに、予約・顧客・スタッフの業務管理を1つにまとめるシステムをBubbleで開発しています。LINEとスプレッドシートを行き来していた連絡や転記をシステム上に集約し、スタッフが場所を問わず業務を完結できる環境を目指しています。
また、警備会社向けには、現場配置とシフト・勤怠を一体で扱う勤怠管理システムをノーコードで開発しました。既製の勤怠SaaSの標準項目に収まらない現場ごとの勤務時間や交代制のシフトを、画面や承認フローから設計し直せる点が自社システム化の強みです。詳しくは勤怠管理システムをノーコードで作る方法で解説しています。
Nocoderiで支援できる範囲
既製の勤怠管理システムは導入が早い一方、独自の手当計算や承認フロー、他システムとの連携では機能が足りないことがあります。Nocoderiでは、標準の勤怠システムで足りる範囲はそのまま使い、足りない集計や通知、申請画面をノーコードで補います。
支援範囲は、現状フローの棚卸し、勤怠システムの選定、申請フォームと承認画面、CSV/API連携、ダッシュボード、保守までです。タスク管理と勤怠を連携させる考え方はタスク管理と勤怠管理の連携ガイドも参考になります。
在宅勤務の勤怠管理で人事がやるべきこと
人事・総務部門の役割は、集計業務からルール設計・モニタリング・支援へ広がっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度設計 | 打刻ルール・中抜けの扱い・承認フロー・残業管理 |
| システム導入 | クラウド勤怠・アラート・自動集計の活用 |
| 社内教育 | 操作説明・Q&A対応・ルール周知 |
| モニタリング | 労働時間の傾向把握と長時間労働の早期発見 |
| 改善PDCA | 現場の声を集めて制度を見直す |
人事部門が能動的に関わるほど、在宅勤務でも透明性の高い勤務管理を続けられます。
まとめ
在宅勤務の勤怠管理は、時間と成果の両面を見える化し、社員の自律性と業務効率を両立させるための仕組みです。打刻方法だけを決めても十分ではなく、始業、終業、休憩、中抜け、残業、業務報告、承認、給与連携までを一つの流れとして設計します。中抜けの扱いや長時間労働の防止は、厚生労働省のガイドラインを基準に決めると社内で説明しやすくなります。
勤怠管理システムは、KING OF TIMEやTouch On Timeのような人数課金型、HRMOS勤怠のように少人数なら無料で始められるもの、TeamSpiritのように工数・経費まで一体で管理できるものなど、2026年時点でも選択肢が豊富です。料金は人数、利用機能、最低利用料金で変わるため、公式ページで条件を確認し、無料トライアルで自社のルールに合うか試すことが重要です。
導入の第一歩は、現在の勤怠表、申請方法、承認者、給与ソフト、困っている締め作業を洗い出すことです。在宅勤務の対象者や勤務場所の組み合わせも整理しておくと、必要な機能を絞り込みやすくなります。そのうえで、既製システムで足りる範囲とノーコードで補う範囲を分けると、過剰なカスタマイズを避けられます。Nocoderiでは、勤怠フローの整理からシステム選定、申請・承認画面、CSV/API連携まで支援しています。従業員数、在宅勤務の頻度、現在の打刻方法を整理しておくと、初回のご相談で実現方法と費用感を具体化しやすくなります。
費用の目安:基幹システムの費用相場【2026年版】|導入形態別の内訳と見積もり方
関連する事例・活用例:勤怠管理を自動化する方法【2026年版】RPA連携・ツール比較・導入事例
群別サービス:業務システム開発の相談



