DXとRPAに違いはある?導入を成功させる秘訣や成功事例を紹介

DXとRPAの違い

近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)は企業の成長と競争力の要となっており、その一環としてロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)が注目されています。

本記事では、DXとRPAの違いやRPA活用によるメリット・デメリット、導入手順、成功事例を詳しく解説します。さらに、成功の秘訣も紹介し、DXとRPAの連携による競争力向上を支援する具体的な情報も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

RPAとDXの違いは?

RPAとDXの違いは?

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)はどちらも業務改革を目指すものですが、その範囲と目的が大きく異なります。

RPAとは?

RPAとは、反復的でルーティン化した業務をソフトウェアロボットが自動化する技術です。主に以下のような業務に適用されます。

  • データ入力や集計
  • 書類の送受信
  • 請求書の作成
  • システム間のデータ転送

RPAは即効性があり、迅速に効果を発揮するのが特徴です。一方で、特定の業務プロセスに特化しているため、企業全体のビジネスモデルを変革するには限界があります。

DXとは?

DXとは、デジタル技術を駆使して、企業のビジネスモデルや文化そのものを進化させるプロセスを指します目的は、競争力を高め、新たな価値を創出することです。DXの範囲は広く、以下を含みます。

  • 新しいビジネスモデルの構築
  • 顧客体験の向上
  • 組織構造や業務フローの再設計

DXは長期的な取り組みであり、RPAのように即効性があるわけではありません。しかし、企業全体の大規模な改革を可能にします。

違いを理解して活用する

RPAはDXの一部として位置付けられることが多く、両者を組み合わせることで、迅速な業務改善と長期的な企業改革を同時に実現できますたとえば、DXの推進において、まずRPAで業務効率化を図り、その後に得られたデータを基にさらなる改革を行う、というアプローチが有効です。

DX推進でRPAを活用する5つのメリット

DX推進でRPAを活用する5つのメリット

DX推進においてRPAを活用することは、単なる業務効率化にとどまらず、組織全体の競争力を向上させ、従業員の働きやすさを大幅に改善します。ここでは、RPAがDX推進においてどのようなメリットをもたらすのか、具体例を交えながら5つの観点から詳しく解説します。

1.市場において競争力を強化できる

現代のビジネス環境は、顧客のニーズが急速に変化し、競争がますます激化しています。このような状況下で、RPAを導入することは、企業が市場の変化に迅速に対応し、競争優位性を確保する手段となります。

例えば、顧客からの問い合わせに即座に応答することが求められるカスタマーサービス部門では、RPAが自動で情報を収集し、顧客に最適な回答を提供するプロセスを支援します。これにより、従業員は複雑な問題の解決に集中でき、サービスの質が向上します。同時に、迅速な対応が競合他社との差別化を生み、顧客満足度の向上にもつながります。

また、RPAは製造業においても、受注処理やサプライチェーン管理の迅速化を実現します。特に大量のデータを処理する必要がある業界では、RPAの高速処理能力が競争力の強化に直結します。このように、RPAの活用は業種を問わず、市場での競争優位を確立するための強力な武器となるでしょう。

2.業務の明瞭化による課題の発見・改善ができる

RPAを導入する際には、まず業務プロセスを詳細に可視化する必要があります。このプロセスは、企業の抱える無駄や非効率な部分を明らかにする機会となります。例えば、手作業で行われていたデータ転記作業が複数部署で重複していた場合、それを発見することで業務の統合や再構築が可能になります

さらに、RPAが実際に運用を開始すると、どのプロセスでどれだけの時間が削減されたか、どの業務が特に負担となっていたかがデータとして明確になります。

これにより、継続的な業務改善が可能となり、結果として企業全体の効率性が向上します。また、課題の特定が進むことで、他のデジタル技術やツールの導入を検討する土台が作られるため、DXのさらなる推進を加速させる要因となるでしょう。

3.現代の多様な働き方にも対応できる

リモートワークやフレックスタイム制といった多様な働き方が広がる中で、RPAはその柔軟性を活かし、従業員が働く場所や時間に縛られずに業務を遂行できる環境を提供します

例えば、RPAはクラウド環境での動作も可能であるため、従業員が自宅や出張先からアクセスして業務を進めることができます。また、夜間や早朝など、従業員が業務に携われない時間帯にもRPAが自動でタスクを処理するため、業務の停止時間を最小限に抑えることが可能です。

さらに、従業員の負担を軽減することで、仕事と家庭のバランスを取りやすくなり、従業員満足度の向上や離職率の低下といった効果も期待できます。このように、RPAの導入は、多様な働き方を支援する基盤として機能します。

4.スモールステップで始められる

DXのような大規模な変革は、多くの企業にとって初期投資やリスクが大きいものです。一方、RPAは小規模なプロジェクトから導入が可能であり、スモールステップでの開始を選べる柔軟性があります。

例えば、特定の部門や業務に限定してRPAを導入し、その効果を確認したうえで、他部門や他業務へと展開するアプローチが一般的です。これにより、導入時のコストを抑えることができるだけでなく、失敗のリスクを最小限にできます。

また、スモールスタートの成功事例を社内で共有することで、他部門からの導入要望が自然と増加し、全社的な展開がスムーズに進むメリットもあります。このような段階的なアプローチは、中小企業やリソースの限られた組織にとって特に有効です。

5.ケアレスミスが減るため品質を維持できる

人間が関与する業務では、注意力の低下や疲労によるミスが避けられません。しかし、RPAは設定された通りに正確に作業を遂行するため、ケアレスミスが大幅に削減されます

例えば、請求書の作成業務において、従業員が金額を誤入力するケースがあった場合、RPAを導入することでこのようなミスを防ぐことができます。これにより、顧客や取引先との信頼関係が損なわれるリスクがなくなり、ビジネスの信頼性が向上します。

さらに、品質の一貫性が保たれることで、業務全体の精度が向上し、顧客からの信頼を獲得しやすくなります。RPAがもたらす品質向上の効果は、特に金融業や製造業といった正確性が重要視される業界で顕著です。

DX推進でRPAを活用するデメリット

RPAには多くのメリットがありますが、導入や運用において考慮すべき課題もあります。

サーバーがダウンして停止する可能性がある

RPAはデジタルツールであるため、インフラの安定性に依存します。サーバーダウンやシステム障害が発生すると、業務が停止するリスクがあります。このリスクを軽減するためには、バックアップ体制の構築や障害発生時の対応計画が必要です。

専門的なスキルが必要

RPAを効果的に運用するには、設定やトラブルシューティングを行える専門知識が求められます。特にカスタマイズが必要な場合、プログラミングスキルが必要になることも多いです。そのため、内部でスキルを持つ人材を育成するか、外部の専門家を活用する必要があります。

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DX推進でRPAを導入する5つの手順

RPAの導入は計画的に進めることで成功率が高まります。以下では、DX推進の一環としてRPAを導入する際の具体的な手順を詳しく説明します。

手順1.自社の抱える問題点を把握しておく

最初のステップは、現状の業務プロセスを分析し、自社の課題を明確にすることです。たとえば、「従業員が単純作業に多くの時間を費やしている」「ミスが頻発している業務がある」などの具体的な問題を洗い出します。

課題を特定することで、RPAを導入すべき箇所が明確になります。また、従業員や各部門からヒアリングを行うことで、現場での具体的な課題感を把握することが大切です。

手順2.RPAを導入した後の目標を設定する

次に、RPA導入の成功を測定するための具体的な目標を設定します。この目標は、KPI(重要業績評価指標)として数値化するのが理想です。

たとえば、「処理時間を50%削減する」「ミス率を0.1%以下に抑える」といった具体的な指標を設定することで、導入効果を可視化できます。目標設定は経営陣と現場の双方で共有することで、全社的な取り組みを促進します。

手順3.業務プロセスを可視化しておく

RPAを導入するには、対象業務のフローを詳細に可視化する必要があります。業務プロセスをフローチャートなどで視覚化することで、手作業で行われている部分や非効率な箇所が一目でわかります。さらに、どの業務がRPAによる自動化に適しているかを判断する基準にもなります。この段階で、各タスクの優先順位をつけることも大切です。

手順4.自社に合ったRPAツールを選定する

市場にはさまざまなRPAツールが存在します。選定にあたっては、自社の業務内容や課題に最適なツールを選ぶことで成功へとつながります。具体的には、以下のようなポイントを基に検討しましょう。

  • コストパフォーマンス:初期費用やランニングコストが予算に見合っているか
  • 操作性:プログラミングの知識がなくても運用可能か
  • サポート体制:トラブル発生時のサポートが充実しているか

手順5.運用の実施、定期的にメンテナンスをする

RPA導入後は、運用とともに定期的なメンテナンスを行うことが必要です。業務プロセスは時間とともに変化するため、RPAの設定も適宜見直す必要があります。

また、トラブル発生時の迅速な対応ができる体制を整えておくことも大切です。さらに、従業員が新しい業務プロセスに順応するためのトレーニングを実施することで、スムーズな運用が可能になります。

RPAを活用してDX推進を成功させる秘訣

RPAをDX推進に活用する際、成功を収めるためにはいくつかのポイントがあります。単なるツールとして導入するだけでなく、組織全体での取り組みが鍵を握ります。

専門的な知識を有する人材を確保する

RPAは導入そのものが簡単な場合もありますが、運用やトラブル対応には専門的な知識が求められますそのため、以下のような方法で専門知識を持つ人材を確保することがおすすめです。

  • 内部育成
  • 外部採用
  • 外部パートナーの活用

社内全体でDX推進の必要性を理解してもらう

DXの推進は、一部の部署やプロジェクトチームだけの取り組みでは不十分です。全社員がDX推進の目的を理解し、協力的な姿勢を持つことが重要でとなります。そのためには、以下のような取り組みが有効です。

  • 経営陣からのメッセージ:トップダウンでDXの意義を明確に伝える
  • 従業員向けセミナーや研修:DXやRPAのメリットを理解させるための教育を行う
  • 成功事例の共有:他社や自社内の成功事例を共有し、具体的な成果を示す

DX推進にRPAを用いて成功した企業の成功事例

DX推進にRPAを用いて成功した企業の成功事例

RPAをDX推進の一環として活用し、業務効率化や競争力強化を実現した企業の成功事例は数多くあります。ここでは、業界別に代表的な5つの企業事例を詳しく紹介します。これらの事例は、RPA導入の可能性や成功要因を具体的に示し、他の企業が参考にできる重要なポイントを提供します。

企業1.ダイキン工業株式会社

ダイキンは、「オールコネクテッド戦略」を通じてクラウド型空調管理システムを構築し、業務効率化とエネルギー消費の削減に成功しました。オフィス空調のエネルギー消費最適化を求める顧客ニーズや、人手不足による設備管理効率化が課題となっていたためです。

同社は空調設備をクラウドでつなぐ「DK-CONNECT」を導入し、100万台以上のエアコンをリアルタイムで管理可能にしました。スマホで監視や設定ができるため、業務時間を短縮しつつ、温度調整の自動化により消費エネルギーを削減しました。この取り組みは、業務の効率化と持続可能性の両立に貢献するDXの成功事例です。

企業2.戸田建設株式会社

戸田建設は、AI技術を活用して現場管理や医療現場の効率化を実現しました。点検現場では、移動カメラの映像に多くの不要部分が含まれ、現場管理者の動画視聴時間が長時間化する課題がありました。また、精神科病院では、目視による見守り対応の限界が指摘されていました。

そこで、AIが「不安全な箇所」を評価し、ダイジェスト動画を自動生成するプラットフォームを導入。さらに、防犯カメラ映像を活用した患者行動の検知・通知システムを実証実験しました。この結果、動画視聴時間を9割削減し、大幅な効率化を達成しました。これらはAI活用によるDXの成功例と言えます。

企業3.株式会社ファミリーマート

ファミリーマートは、外国籍従業員の在留資格確認業務を効率化する独自ツールを導入しています。都心部店舗では外国籍従業員の割合が高く、複雑な法制度による確認ミスが課題でした。

これに対し、在留カードのICチップ情報を読み取るアプリ「ロムテン」を導入し、確認作業を1人当たり平均10~20分から約5分に短縮しました。この仕組みにより労務管理も効率化し、不法就労の防止も実現しています。これらの取り組みは、業務効率化と法令遵守を両立させた成功事例です。

企業4.サントリーホールディングス株式会社

サントリーは、働き方改革を競争戦略と位置付け、テレワークの拡大を通じてDX推進に成功しました。グローバル展開が進む中、付加価値を生み出すための柔軟な働き方が求められています。

これに応じて、テレワークを所属長の許可があればどこでも可能とし、取得単位を10分単位に設定するなど、フレキシビリティを向上。さらに、高性能TV会議システムやノウハウ共有サイト「変えてみなはれ」を導入しました。これにより、ワークライフバランスが向上し、テレワーク利用者は6年間で約15倍に増加する成果を達成しました。

企業5.株式会社ジンズ

JINSは、AIを活用した「JINS BRAIN」で顧客体験を向上させ、DX推進に成功しました。多くの顧客が「自分に似合うメガネが分からない」という課題を抱えていたため、顔の形や髪型を分析して似合い度を判定するAIサービスを導入しました。

このサービスは、ランキング形式でおすすめのメガネを提示し、オンラインで簡単に選べる仕組みを提供しています。その結果、顧客が自分に合うメガネを効率よく選べるようになり、購入プロセスの利便性が大幅に向上しました。この取り組みは、顧客満足度向上と業務効率化の好例です。

まとめ

RPAはDX推進において重要な役割を果たし、業務効率化や競争力の強化を実現します。一方で、導入には専門知識の確保や全社的な取り組みが必要です。本記事で紹介した成功事例や手順を参考に、自社に適した形でRPAを活用し、DXを成功させてください。

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