「医療現場でこそ活きるキントーン導入事例まとめ:ペーパーレス化と情報共有を強化する実践ポイント」

医療業界では、患者情報の取り扱いや院内連携、研究データの共有など、さまざまな業務が複雑に入り組んでいます。しかも、近年は感染症対策やリモートワークの普及、働き方改革への対応など、限られた時間とリソースの中で膨大な情報を正確に扱わなければなりません。こうしたなかで注目を集めているのがサイボウズ社のクラウドサービス「キントーン(kintone)」です。ノーコード・ローコードで多彩なアプリを作成し、情報を一元管理できるため、紙やメールに依存してきた医療現場のワークフロー改善に使いやすい手段として期待されています。

本記事では、ITに詳しくない方や多忙な中間管理職の方でもわかりやすいよう、医療業界でのキントーン導入事例とそのメリット、そして運用を成功させるためのポイントを詳しくご紹介します。現場の混乱を減らし、正確かつスピーディな医療サービスを提供するために、ぜひご一読ください。

  • kintoneは、医療機関の情報共有や業務管理を紙・Excelから置き換えやすいノーコードの業務アプリ基盤です。
  • 診療記録は電子カルテ、職員管理・報告・申し送りなどの周辺業務はkintoneと役割を分けると整理しやすくなります。
  • 患者情報を扱う場合は、医療情報の安全管理に関するガイドラインと院内規程に沿って範囲と権限を決めます。
  • まずは患者情報を含まない業務から小さく始め、効果を確認して広げるのが現実的です。
目次

本文

なぜ医療業界でキントーンが注目されるのか

医療業界では患者情報や処方箋、検査結果など、高度な機密データを管理しなければなりません。従来は紙のカルテや専用ソフトウェアを使ってデータを取り扱っていましたが、紙ベースの運用では検索性や共有性が低く、業務効率に課題を抱えるケースが多く見られます。一方、従来型の医療情報システムはカスタマイズに時間とコストがかかるため、現場の要望を素早く反映しにくいというジレンマもありました。

このような背景の中で注目されるのが、クラウドベースで利用できるノーコード/ローコードのプラットフォームとしてのキントーンです。サイボウズ社が提供するキントーンは、必要な項目をドラッグ&ドロップで配置して簡単にデータベースやアプリを作成できるのが特長です。医療現場に特化した専門知識がなくとも、院内スタッフが主体となって業務フローに合わせたアプリを作成・改善していくことができます。

さらに、キントーンはインターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、病院やクリニックの複数拠点で共通のデータを扱いやすくなります。例えば大学病院や大規模医療機関の場合、各診療科や研究チームがそれぞれ独自の管理ツールを使っているケースがあり、データの一元化が進まず情報が点在することもしばしばです。キントーンを導入することで、部署間の壁を越えたスムーズな情報共有を実現し、医師や看護師、事務スタッフが横断的に必要なデータへ即座にアクセスできるようになります。

2026年10月時点のkintone公式料金では、ライトコース、スタンダードコース、ワイドコースが用意されています。外部連携、プラグイン、APIの利用条件、最低ユーザー数、セキュリティオプションはプランによって変わるため、医療機関で導入する際は公式料金ページで現行条件を確認してください。

医療現場では些細な情報共有の遅れやデータの誤りが患者の安全に直接関わるため、システム選定には慎重にならざるを得ません。kintoneを検討する場合も、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、院内規程、委託先管理、電子カルテ等との役割分担を整理したうえで、扱うデータ範囲を決めることが重要です。

補足:上記のプラン条件は、2026年10月9日にkintone公式料金ページで確認しました。外部サービス連携・プラグインなどの拡張機能はスタンダードコースとワイドコースが対象で、ライトコースは対象外です。最低契約ユーザー数はライトコースとスタンダードコースが10ユーザー、ワイドコースが1,000ユーザーです。セキュアアクセスは各コースに追加できる有料オプションです。クラウド基盤や第三者認証の情報はkintone公式セキュリティページを参照してください(確認日:2026年10月9日)。

キントーン導入で何が変わる?医療現場の課題と解決策

医療現場における典型的な課題としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 紙資料や手書きの記録が多く、検索や共有に時間がかかる
  • 部門ごとに独立したシステムを使用しており、データが分散している
  • 業務フローが複雑で、オーダーメイドのシステムを導入すると費用がかさむ
  • セキュリティ対策を強化したいが、システム管理負荷が高い

これらの課題に対して、キントーン導入によって期待できる効果をまとめると次のとおりです。

1. 情報共有の迅速化

紙ベースやエクセル管理では、必要な情報を探すのに時間がかかったり、最新のデータがどれなのか判断が難しくなったりすることがあります。キントーンを導入すれば、クラウド上に最新のデータを集約し、誰がいつ更新したかを追跡しやすくなります。

2. ワークフローの最適化

キントーンはノーコードでアプリを作成できるため、現場レベルの要望を取り入れたワークフロー設計が可能です。例えば、薬剤師や看護師、医事課スタッフそれぞれが扱うデータを連動させることで、従来は二重入力や手動での照合作業が必要だった工程を減らせます。

3. セキュリティと可用性の両立

医療情報を扱う上で最も重要なのは、やはりセキュリティです。サイボウズはクラウド基盤、バックアップ、脆弱性対応、第三者認証などのセキュリティ情報を公開しています。また、IPアドレス制限や多要素認証(MFA)、アクセス権設定などを組み合わせることで、院内の情報管理ルールに合わせた対策を検討できます。

4. コスト確認と柔軟な拡張性

医療機関が個別にカスタム開発を行うと初期費用やメンテナンス費用が大きくなりやすい一方、kintoneは月額利用モデルで導入規模を調整しやすいサービスです。ただし、ライトコースでは外部サービス連携・プラグイン・拡張機能に制約があるため、電子カルテ、検査システム、BIツールなどと連携する場合は、スタンダードコース以上の要否を公式情報で確認しましょう。

このように、キントーンを導入すると医療現場の煩雑な業務フローを整理し、紙やメール、分散されたシステムを横断していた情報を一元化しやすくなります。導入当初はスタッフの操作習熟やシステム移行の準備に負荷がかかるため、個人情報を含まない業務や部門内の管理台帳から小さく試す進め方が現実的です。

導入事例①:患者情報管理の効率化

医療機関でのキントーン導入事例の中でも、特に多くの施設が取り組んでいるのが患者情報管理の効率化です。紙のカルテやエクセルなどで患者基本情報・診療履歴を管理する場合、必要なデータを探すまでに手間と時間がかかり、スタッフ間で情報の認識にズレが生じやすいという問題がありました。

キントーンでは、患者ID、氏名、生年月日、担当医、診断結果、治療方針などの項目をひとまとめにしたアプリを作成し、登録情報を一元管理できます。各患者の情報はカード形式で表示され、検索機能を使えば目的の患者データにアクセスしやすくなります。

さらに、診療記録をタイムライン形式で残していけるため、カルテの更新履歴が可視化されます。これまで紙カルテであれば「誰がいつ記録を追加したのか」「変更点はどこなのか」を確認するのに時間がかかりましたが、キントーンのアプリ上では担当医や看護師の名前と更新日時を記録できるため、二重入力や記入漏れを減らしやすくなります。また、緊急時にはスマートフォンやタブレットからでもアクセスできるため、夜間や休診日の対応にも役立ちます。

サイボウズ公式の医療福祉向け情報でも、患者情報管理、医療記録、予約管理などの活用例が紹介されています。ただし、電子カルテの代替として扱うか、部門内の業務管理として扱うかで必要な安全管理は変わります。

こうした患者情報管理の効率化は、医療の質を高めるだけでなく、スタッフの働き方改革にも直結します。業務の見える化により、誰が何をどのタイミングで行うべきかが明確になるため、引き継ぎミスや煩雑な確認作業を減らし、患者対応に集中できる時間を増やしやすくなります。紙カルテやエクセル管理からの脱却を図りたい医療機関にとって、キントーンは検討しやすい選択肢です。

導入事例②:院内コミュニケーションの活性化

続いては、院内コミュニケーションを円滑にする例です。医療従事者は日々忙しく、メールや電話ではタイムリーに連絡が取りづらい場面が少なくありません。そこでキントーンのチャットや掲示板機能を活用し、同じアプリ上でメッセージをやり取りできるようにした事例があります。単に“会話”を交わすだけでなく、患者情報や検査結果のリンクを直接貼り付けることで、会話とデータを結び付けられるのが魅力です。

ある総合病院では、従来は全スタッフ向けのお知らせを掲示板に張り出したり、メール一斉送信を行ったりして周知していました。しかし、忙しい現場スタッフはメールを開封するタイミングがまちまちで、見落としや記憶違いが生じやすかったとのことです。キントーンへの切り替え後は、重要な連絡やマニュアルがアプリ内でひと目でわかる形で整理され、コメント欄で疑問や意見を即座にやり取りできるようになりました。

スタッフの交替が多い夜間・休日でも、前担当者がどんな申し送りを残したか、チャット履歴をすぐにチェックできます。緊急時の申し送りもキントーンの通知機能を使えば見逃しが減り、必要な情報を即時に共有できる体制が構築されました。また、重症患者が急変した際の対応状況を、複数部署が同時に把握することで連携ミスが減り、患者への処置が迅速になったとの報告もあります。

さらに、実績や業績に関するレポートを院内の管理職同士で共有し、次の診療体制やチーム編成を議論する場としてもキントーンが活用されています。データが一元化されているため、メールや紙資料を何度もやり取りする手間が省け、ミーティング時間が短縮されたという声が多く挙がっています。

以下の表は、実際に院内コミュニケーションで発生していた課題と、キントーン導入後に得られた効果を簡単にまとめたものです。

課題キントーン導入による効果
メール連絡や掲示板で周知しても見落としが発生しやすいアプリ内通知でスタッフ全員へ確実に情報を届ける
多様な部門やチームにまたがる情報共有が難しい関連アプリ・チャットを横断してリンク表示可能
申し送りや緊急連絡の抜け漏れリアルタイムなコメント機能で記録がスムーズ
会議準備に時間がかかり集計ミスも多いデータが一元化されているため簡単にレポート作成

このように、チャットや掲示板といったコミュニケーション機能を核に、必要な書類や患者データを一括で参照できる環境を整備すると、医療従事者同士の意思疎通が格段にスムーズになります。特に、中間管理職の立場にある方は、複数のチームや部門を跨いで調整を行うことが多いため、この利便性は大きなメリットと言えるでしょう。医療の質向上だけでなく、スタッフの働きやすさやモチベーションアップにも寄与する点が、キントーン活用の要注目ポイントです。

導入事例③:研究・学会活動のデータ共有

多くの医療機関では、診療だけでなく研究や学会活動も活発に行われています。特に大学病院や総合病院では、新しい治療法の検証や症例研究など、日常診療とは別軸でのデータ管理が必要になる場面が少なくありません。ここでもキントーンは有効な手段として活用されています。

研究チームが抱える課題としては、まず膨大な症例データや検査結果の取り扱いに加え、共同研究者との情報共有や進捗管理が挙げられます。従来はエクセルファイルをメールでやり取りしたり、USBメモリに保存したデータを持ち運んだりする方法が一般的でした。しかし、これではバージョン管理の混乱が生じたり、最新データを更新し忘れて誤った情報を元に議論が進むリスクがあったりします。

そこでキントーンのアプリ上に症例データや検査数値、画像などを登録し、チームメンバーだけが閲覧・編集できる権限を設定することで、最新情報を常にクラウド上に集約する仕組みを整えた医療機関があります。研究チームのメンバーは院内のPCだけでなく、自宅や学会先など、場所を問わずに安全にデータへアクセス可能です。オンライン会議やチャット機能を併用すれば、物理的に離れた拠点からでも実験結果や統計データのディスカッションをリアルタイムに行えるようになります。

また、学会発表用のスライドやポスターの下準備として、共同研究者が同じキントーンアプリを利用してコメントやファイルを追加していけば、作業工程を可視化したまま同時進行できるのがメリットです。以前は「どのファイルが最新か」「どこまで修正が進んだか」をメールのやり取りだけで追う必要があり、混乱しやすかった部分がスムーズになったといいます。

さらに、倫理委員会や各種審査手続きに関する書類管理もキントーン上で行うことで、必要書類を探し回る手間が省け、「どの申請がいつ承認されたか」「次に何をすべきか」といったプロセスが明確になります。研究活動は一度に複数のプロジェクトが走ることも多いため、カレンダーやタスク管理と連動させることで「やるべきことの抜け漏れを防ぎながら、学会発表の準備を進める」という運用を実現しているケースもあります。

医療分野における研究や学会活動は患者の治療法や医療サービスの質を向上させる重要な取り組みです。キントーンは現場の診療業務を支えるだけでなく、研究開発や学術活動の効率化にも一役買っていることが、導入事例から伺えます。データ共有とコミュニケーションが融合したプラットフォームとして、研究成果を最大限に引き出す環境を提供している点が大きな特徴です。

医療機関で作られやすいkintoneアプリの例

医療機関のkintone活用は、電子カルテの周辺業務から整理できます。 スタッフのシフト・当番管理、インシデント報告、病床・入退院の調整など、担当者が別々の紙やExcelを更新している業務が検討対象です。以下はアプリ設計の例であり、特定の医療機関の導入実績や効果を示すものではありません。

医療機関のkintoneアプリ例と確認事項

業務アプリで管理する内容患者情報の有無と確認事項
シフト・当番管理職員の勤務表、当番の割り当て、交代の申請患者情報なし。職員の個人情報は含むため、所属部署と管理者など閲覧できる範囲を決めます。
インシデント報告発生状況の報告、傾向の集計、再発防止策と実施状況記載によって患者情報を含みます。匿名化の方針と閲覧者を決め、自由記述や添付資料にも識別できる情報が残らないか確認します。
病床・入退院管理空床状況、入退院予定、受け入れ調整の進捗患者と予定を結び付ける運用では患者情報を含みます。共有項目と安全管理、電子カルテ側との更新担当を確認します。
訪問記録訪問診療・訪問看護の予定、実施状況、関係職員への連絡記録患者情報を含みます。外出先での閲覧範囲、端末紛失時の連絡先とアクセス停止手順を決めます。
研究・学会の資料管理申請書類、提出期限、研究や発表準備の進捗進捗だけなら患者情報なしで設計できます。症例データを添付する場合は患者情報を含むものとして扱い、利用条件と閲覧・編集権限を確認します。

まずは患者情報を含まないシフト台帳や資料の進捗管理で、入力から確認までを試します。アプリ台帳に「患者情報を含む/含まない」と責任者を記録しておけば、利用範囲を広げる際にも確認対象を追えます。氏名の欄をなくすだけで匿名になるとは限らないため、報告文や添付ファイルも点検してください。

訪問診療・訪問看護では、承認されたタブレットから訪問予定や必要な連絡事項を確認する使い方が考えられます。外出先の利用開始前に、端末紛失時の対応を決めておくことが必要です。 管理者への連絡、接続制限、利用停止などの担当と手順を院内規程に定めます。セキュアアクセスを使う場合、端末を紛失したときは管理者がユーザーのパスワードを変更し、そのユーザーのクライアント証明書を無効にして再発行する手順が公式ヘルプで案内されています。遠隔からの接続制限と端末内データの消去は別の対策のため、端末管理の仕組みもあわせて検討してください。

用途・モバイル対応の出典はkintone公式「医療福祉にkintone」、端末紛失時の手順の出典はcybozu.comヘルプ「ユーザーがクライアント証明書をインストールした端末を紛失した」です(確認日:2026年10月9日)。

キントーン導入のメリット:安全性・柔軟性・拡張性

医療業界での導入事例から見えてくるキントーンのメリットを、改めて整理すると以下の3つが大きな柱となります。

1. 高い安全性(セキュリティ)

医療情報は個人情報の中でも特に機微なデータと位置づけられ、法令やガイドラインに基づく厳重な管理が求められます。キントーンはクラウドサービスのセキュリティ情報を公開しており、アクセス権設定、IPアドレス制限、多要素認証(MFA)などを組み合わせて不正アクセス対策を検討できます。ただし、患者情報を直接扱う場合は、院内の安全管理責任者や委託先管理の観点も含めて利用範囲を決める必要があります。

2. 柔軟なアプリ作成と運用

医療機関内では、患者データ管理だけでなく、研究管理や院内コミュニケーション、部署ごとの物品管理など、多種多様な業務アプリが必要になります。キントーンはノーコードの画面設計ツールを備えており、現場の要望に応じてフィールドを追加したり、ワークフローをカスタマイズしたりすることが簡単です。大がかりなシステム改修を行うことなく、運用担当者が自ら手を動かして小規模な改修を積み重ねられるため、「欲しい機能が完成するまで長い期間待たされる」というストレスを回避できます。

3. 拡張性と連携機能

キントーンはAPIやプラグイン、外部サービス連携を活用できる設計です。医療機関ではすでに導入済みの電子カルテシステムや検査機器のデータをキントーンに取り込みたい、あるいは逆にキントーンのデータを院内のBIツールで分析したいといった要望も出てくるでしょう。そうしたニーズに合わせて外部ツールと連動する余地がありますが、API・プラグイン・外部連携はプラン条件や連携先の仕様確認が必要です。

これらのメリットを最大限に活かすには、医療機関全体の運用ルールや権限設定をきちんと定め、セキュリティポリシーと照らし合わせながら導入ステップを踏むことが重要です。中間管理職の方が導入を主導する際は、現場スタッフや関連部門からの意見を聞きつつ、優先度の高い課題解決アプリから始めるのが定石です。ユーザーが使って「便利」と感じれば、他の業務フローへの展開もスムーズに進むでしょう。

導入の際に押さえておきたいポイント:業務フローと権限管理

キントーンを医療現場に導入する際には、以下のポイントに注意を払うことでスムーズな定着と高い導入効果を期待できます。

1. 現在の業務フローを整理する

導入前に、紙やエクセルでどのようにデータを扱い、誰がどのタイミングで更新・承認しているのかを明らかにしましょう。医療機関の業務フローは複雑になりがちですが、これを可視化しておくことでキントーンで再現すべきプロセスや、削減できる無駄な工程が浮き彫りになります。

2. 必要最低限からスタート

いきなり大規模なアプリを構築すると、使いこなしや運用管理が困難になる可能性があります。最初は患者情報管理やスタッフ間のチャットなど、インパクトの大きいアプリを優先して開発し、実際に使いつつ改良を重ねる方が現場からの抵抗が少なくなります。

3. 権限設定の徹底

キントーンでは、ユーザーやグループごとに閲覧・編集・管理権限を細かく設定できます。医療情報は扱いを誤ると重大な事故や法的問題につながるため、「どのスタッフがどのデータにアクセスできるか」を明確にし、ログイン履歴やアクセス履歴を定期的に確認する体制を整えておきましょう。

4. 操作マニュアルと研修の実施

ITに詳しくない医療スタッフが戸惑わないよう、操作マニュアルや簡単な動画チュートリアルを用意するとスムーズです。管理職やリーダー層だけでなく、実際にデータを扱う看護師や事務スタッフ向けの研修機会を設け、質問しやすい雰囲気を作ることも大切です。

5. 小さな成功事例を積み重ねる

最初に導入したアプリで「作業時間が減った」「情報漏れが減った」といった具体的なメリットが実感できれば、現場の意欲が高まり、他の業務へのキントーン活用が広がりやすくなります。成功事例を共有する場を設けると、横展開のスピードが加速します。

医療機関では安全面やコンプライアンスが重視されるため、新しいシステムを導入するには慎重さが求められます。一方で、導入メリットが高いのも事実です。特に中間管理職の方は上層部と現場の橋渡し役として、キントーン活用がもたらす効率化やリスク低減をアピールしながら、導入フローの全体像を管理する必要があります。アプリの開発・改善サイクルを回しやすいプラットフォームだからこそ、段階的なステップを踏むことで、無理なく現場に浸透させていくことが可能です。

ほかの業種でのkintone活用事例については、【2026年最新】kintone 活用事例を業種別・業務別に総まとめ|導入事例から学ぶ成功のポイントをご覧ください。

医療機関のkintone導入でつまずきやすい点

電子カルテをそのまま置き換えられると考えると、診療記録と周辺業務の境界があいまいになります。診療記録の正本をどこで管理するかを先に決め、kintoneには何を転記・連携するのかを整理してください。同じ情報を両方で更新する設計では、内容が食い違った際の確認作業が増えます。

患者情報の扱いを決めずにアプリを増やすと、担当者が把握していない場所に機微な情報が蓄積します。アプリを作る前に項目・利用目的・保存先・閲覧者を確認し、変更時にも見直せる責任者を置きます。クラウドサービスを契約するだけで院内の安全管理が完了するわけではありません。

医師や看護師の入力欄を増やしすぎると、診療や看護の合間に登録できず、使われなくなることがあります。現場担当者と入力のタイミングを確かめ、同じ内容を別の台帳にも書いていないかを点検します。必須項目を絞り、試行時に入力負担と確認作業の変化を見てから展開する進め方が適しています。

部署ごとに患者の識別方法やステータス名が異なると、kintone上でもデータが再び分散します。共通に使う項目と各部署に必要な項目を分け、変更の相談窓口を決めてください。部署をまたぐ業務では、入力ルールと更新責任をそろえることが集計・申し送りの前提です。

患者情報を扱う範囲を検討するときは、厚生労働省が公開する医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版(令和8年6月)と院内規程を照合します。同ページには概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編・保守委託機関編と、医療機関・薬局におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストが掲載されています。院内の責任者と委託先で担当範囲を確認し、対象業務に必要な安全管理を整理してください(確認日:2026年10月9日)。

キントーンをさらに活用するための今後の展望

医療業界では今後もデジタル化が進み、オンライン診療や遠隔モニタリングなど、新たなサービスやシステムが導入されていくでしょう。その際、患者や医療従事者が生み出すデータの量は増え、リアルタイムかつ安全に情報を共有する基盤が重要になります。キントーンは、こうしたニーズに対応しやすい業務アプリ基盤の一つです。

例えば、ウェアラブル端末やAIによる画像解析など、外部システムとの連携を視野に入れる場合は、kintone側のAPI条件だけでなく、連携先システムの医療情報管理要件、データ保存場所、契約上の責任分界点を確認する必要があります。

中間管理職としては、単にシステムを導入して終わりではなく、今後の業務拡張やデジタル化に合わせて柔軟にアプリを改善し続ける意識が重要です。現場からのアイデアを吸い上げて、より実践的なアプリ開発に結び付ければ、スタッフのやる気やスキルアップにもつながります。こうした仕組みを継続的に運用するためのチームやリーダーを育成し、定期的にバージョンアップを行うことで、キントーン導入の効果を長期的に高めやすくなります。

医療機関のkintone活用に関するよくある質問

kintoneは電子カルテの代わりになりますか?

電子カルテの代替ではなく、その外側にある業務管理や情報共有に使う位置づけで検討するのが一般的です。診療記録は電子カルテで管理し、kintoneには職員の業務台帳や調整状況などを分けて持たせると役割を整理しやすくなります。連携を行う場合も、電子カルテ側の仕様と契約条件を確認してください。

医療機関でkintoneをスマートフォンやタブレットから使っても大丈夫ですか?

端末から利用できることと、患者情報を安全に扱える運用が整っていることは別です。アクセス制限や多要素認証の設定に加え、紛失時の連絡・利用停止・情報漏えいの確認手順を院内規程で定め、利用範囲を決めます。kintoneのゲストユーザーは2要素認証を利用できないため、外部関係者を含む場合はアカウントの種類も確認してください(出典:cybozu.comヘルプ「2要素認証」、確認日:2026年10月9日)。

紙の記録からkintoneへ移行するとき、どこから始めるべきですか?

入力件数が多く、患者情報を含まない台帳や報告業務から始めると進めやすくなります。たとえば備品の点検記録で、記入項目と確認担当を整理し、紙とアプリへの二重入力をいつ終えるかまで決めます。試行結果を確認したうえで、他業務への展開を検討してください。

まとめ

医療業界が抱えるデータ管理や情報共有の課題を解決する手段として、キントーン(kintone)は有力な選択肢の一つです。患者情報や院内コミュニケーション、研究・学会活動など、多岐にわたるシーンで活用を検討できます。

医療機関には高度なセキュリティ要件や複雑な業務フローが存在しますが、キントーンの柔軟なアプリ作成機能や権限管理、クラウド基盤による運用のしやすさは、その課題整理に役立ちます。実際に導入する際は、現状の課題を整理し、公式料金ページでプラン条件を確認し、医療情報の取り扱い範囲を決めたうえで段階的にアプリを作っていくことが重要です。

今後、医療の現場はオンライン診療や地域連携など、さらに広範囲へ業務領域が拡張していくと予想されます。そのため、データの安全な管理と効率的な活用はますます重要になるでしょう。そうした背景の中、中間管理職の方がキントーン導入をリードし、院内外での連携をスムーズに行える基盤を築くことは、患者にとってもスタッフにとっても、より良い医療サービスを提供するためのカギとなります。ぜひ事例を参考に、キントーンの特性を活かした運用を検討してみてください。

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