システム保守 費用の相場と内訳【2026年版】契約別の見方
はじめに
開発費用の見積もりや予算の置き方のご相談は、お問い合わせから承ります。
「開発が終われば、あとは使うだけ」。そう考えて稼働を迎えると、しばらくしてから想定外の費用と手間に気づくことがあります。システムは稼働後も、不具合の修正、セキュリティ更新、利用者からの問い合わせ、業務の変化に合わせた改修などが続きます。これらを誰に、どの範囲まで、いくらで任せるかが、稼働後の総コストを大きく左右します。
保守の見積もりを受け取ったとき、担当者が迷うのは「この金額は高いのか安いのか」「月額に何が含まれているのか」という点です。保守契約は会社ごとに対象範囲や対応時間の前提が違うため、金額だけを並べても比較できません。安さを理由に選んだ結果、障害時の対応が対象外だったという事態も起こりえます。開発会社とは別の会社へ保守を依頼する場合や、既存の保守契約を見直す場合は、特に前提をそろえて比べる作業が欠かせません。
システム保守の費用は、金額より先に「含まれる範囲」と「対応の約束」を確かめることで妥当性を判断できます。 相場の数字は、その範囲と約束を読み解くための物差しとして使うのが適切です。
本記事では、開発が終わった後の保守費用に絞り、公開されている調査をもとにした相場の目安、月額固定・従量・スポットの契約別の違い、費用の内訳と保守・運用の境界を解説します。さらに、見積書やSLAで確認したい項目と、保守範囲を絞れるケース・絞れないケースも整理します。保守契約の新規締結や見直しを検討している担当者の判断材料になれば幸いです。
結論を先にまとめると、次のとおりです。
- システム保守費用は、開発費に対する年間の割合を目安に見積もることが多いです。
- ただし金額は、対応時間・監視の有無・改修枠などの含まれる範囲で大きく変わります。
- 月額固定・従量・スポットの契約形態ごとに、年間の想定依頼量で総額を比べます。
- 見積もりは「保守一式」のまま受け取らず、内訳とSLAの項目をそろえて比較します。
- 契約後も月次の実績を確認し、更新前に範囲と委託先を見直します。
システム保守 費用の相場はいくら?開発費に対する割合

保守費用は、システムの規模や求める対応水準で大きく変わるため、目安には開発費に対する割合がよく使われます。業界では開発費に対する一定の割合を経験則として示す説明も見られますが、これは公的な統計値ではありません。
実測データとしては、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)のソフトウェアメトリックス調査2020 システム開発・保守調査があります。同調査の考察では、スクラッチ開発のシステムの7割強で追加開発が行われ、保守と追加開発を合わせた費用は開発費の20%程度、つまり5年で開発費と同額になるとまとめられています(2026年10月24日確認)。
この20%には機能追加の費用も含まれるため、不具合修正や問い合わせ対応だけの契約なら、これより低くなることもあります。開発費から年間費用の上限側の目安を逆算すると次のとおりです。
| 開発費(税抜) | 年間の保守+追加開発費の目安(税抜・開発費×20%) | 月額換算(税抜・年額÷12) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約60万円(税抜・JUAS調査の20%で換算) | 約5万円(税抜・月割り) |
| 1,000万円 | 約200万円(税抜・JUAS調査の20%で換算) | 約17万円(税抜・月割り) |
| 3,000万円 | 約600万円(税抜・JUAS調査の20%で換算) | 約50万円(税抜・月割り) |
見積もりがこの目安を大きく上回る場合は、24時間対応や機能改修の枠が含まれていないかを確認します。大きく下回る場合は、障害対応や改修が対象外になっている可能性があります。起点となる開発費の見積もりの読み方は、アプリ開発の見積もりの費用内訳と比較ポイントで解説しています。
システム保守 費用の相場を契約別に比較

保守契約の料金体系は、大きく月額固定・従量・スポットの3つに分かれます。
| 契約形態 | 費用の決まり方 | 含まれやすい範囲 | 向く運用 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 月額固定 | 毎月定額。対応時間や件数の上限を決めることが多い | 監視、問い合わせ、軽微な修正、定期アップデート | 業務で毎日使い、止まると困るシステム | 利用が少ない月も同額。上限を超えた作業の扱いを確認 |
| 従量(時間・チケット) | 作業時間や消化したチケット数に応じて支払う | 依頼した作業のみ | 改修の依頼が月によって大きく変わる | 繁忙月の費用が読みにくい。監視は含まれないことが多い |
| スポット | 依頼のたびに見積もり・支払い | 個別の修正や障害対応 | 利用者が少なく、止まっても業務影響が小さい | 着手までに時間がかかりやすい。緊急時の優先度が低い |
前章の目安は、月額固定に改修枠まで含めた場合の上限側と考えると比較しやすくなります。従量やスポットは単価だけで判断せず、1年間の想定依頼量を掛けて年額で比べることが大切です。
保守の契約形態(準委任と請負)の違い
料金体系とは別に、契約の類型も確認しておきたい点です。月次の保守は、問い合わせ対応や監視といった作業そのものを提供する作業提供型(準委任)で結ぶことが多く、機能追加などの個別の改修は、完成した成果物を納める成果物型(請負)で結ぶことが多くあります。
類型によって、受託側が負う責任の範囲と支払いの条件が異なります。作業提供型は合意した作業を行うことに対して支払う考え方で、成果物型は完成した成果物の引き渡しに対して支払う考え方です。同じ「保守」という名前の契約でも、障害が直らなかった場合や改修が仕様どおりにならなかった場合の扱いは類型と条項で変わります。
範囲を文書にまとめる際は、IPAと経済産業省が公表している情報システム・モデル取引・契約書(第二版)が参考になります。2020年12月22日に公表されたもので、受託開発に加えて保守運用も対象に含めています(2026年10月24日確認)。契約類型ごとの責任や支払い条件の法的な解釈は個別の契約内容によって異なるため、判断に迷う場合は弁護士などの専門家に確認してください。
保守費用の内訳

見積書の「保守一式」は、主に次の6項目に分かれます。
| 内訳 | 主な作業 | 月額固定に含まれやすいか | 区分 |
|---|---|---|---|
| 監視 | 死活監視、エラー検知、アラート通知 | 含まれやすい | 運用寄り |
| 障害対応 | 原因調査、復旧、再発防止 | 対応時間内は含まれやすい | 保守 |
| 問い合わせ | 操作方法や不具合の一次受付 | 件数上限付きで含まれやすい | 保守・運用の両方 |
| アップデート | ライブラリ・プラグインの更新、脆弱性対応 | 含まれやすい | 保守 |
| 軽微改修 | 文言変更、項目追加などの小さな修正 | 時間枠付きで含まれることがある | 保守 |
| インフラ費 | サーバー・クラウド利用料、ドメイン、SSL | 実費として別請求が多い | 運用・実費 |
保守と運用の境界
保守はシステムを正しく動く状態に保つ作業、運用はシステムを日々動かす作業です。 不具合修正やアップデートは保守、データの登録やバックアップの確認、利用者アカウントの追加は運用にあたります。見積書に「保守運用」とまとめて書かれている場合は、どちらの作業を誰が担うのかを一覧で出してもらいましょう。
システム開発後のサポート内容一覧
開発後のサポートは、大きく4つに分類できます。契約内か追加費用かの区分とあわせて確認してください。
- 基本保守(契約内):軽微な不具合修正、簡単な設定変更、問い合わせ対応。月額契約に含まれることが多い作業です
- 障害対応(契約条件による):サーバー停止やデータ不整合など、業務が止まる事態への対応です。夜間や休日の対応は、別料金や上位プランになることがあります
- 機能拡張(追加費用):新機能の追加、画面の変更、外部サービスとの連携追加など。都度見積もりになるのが一般的です
- インフラ・セキュリティ管理:OSやミドルウェアの更新、脆弱性への対応、バックアップ運用。クラウドを使っていても、設定や更新の責任が発注側に残る部分があります
見積書・SLAで確認する項目

SLA(サービスレベル合意)は、保守会社が守る対応水準を数値で約束するものです。次の6項目がそろっているかを確認すると、見積もりを同じ前提で比べられます。
| 確認項目 | 確認する内容 | 確認 |
|---|---|---|
| 対応時間 | 平日日中のみか、夜間・休日も含むか | □ |
| 一次応答 | 連絡から最初の返答までの目標時間 | □ |
| 復旧目標 | 障害の重要度ごとの復旧までの目標時間 | □ |
| 対象外作業 | 機能追加、データ修正、他社サービス起因の障害などの扱い | □ |
| 追加費用 | 上限を超えた作業の単価と、事前見積もりの有無 | □ |
| 引き継ぎ条件 | 契約終了時に渡す資料、アカウント、ソースや設定情報 | □ |
復旧目標や対応時間の考え方は、IPAの非機能要求グレード2018が項目を整理しており、発注側の要求をまとめる参考になります(2026年9月24日確認)。これらは開発前の要件定義で決めておくと保守費用の見通しが立ちます。要件定義の段階でかかる費用と決める内容は、要件定義 費用の相場と内訳を参考にしてください。
保守範囲を絞れるケースと絞れないケース

保守費用を抑える近道は、利用状況に合わせて必要な範囲を見極めることです。
| 区分 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 絞れる | 利用者が社内の数名で、止まっても翌営業日の対応で足りる | 夜間・休日対応を外し、平日日中の契約にできる |
| 絞れる | 改修の予定が少なく、仕様が安定している | 改修枠を外し、必要時にスポットで依頼できる |
| 絞れない | 顧客が使うサービスや、売上・決済に関わる | 停止が直接の損失になり、監視と障害対応が欠かせない |
| 絞れない | 外部サービスとAPIで連携している | 連携先の仕様変更に合わせた修正が発生する |
| 絞れない | 個人情報を扱い、権限の管理が必要 | 権限設定の見直しやアクセスログの確認が続く |
ノーコード開発(Bubble)で保守費用が下がる範囲
Bubbleで開発したシステムでは、サーバーやOSの管理をBubble社が担います。そのため、OSやミドルウェアの更新といったインフラ保守は、発注側や開発会社の作業から外せます。
一方で、保守がなくなるわけではありません。監視、利用者の権限管理、外部サービスとの連携の修正、障害時の原因調査は残ります。Bubbleのプラン料金も継続費用として必要です。
| Bubbleのプラン(Web + Mobile) | 料金(2026年10月24日確認) | 含まれる処理量 |
|---|---|---|
| Starter | 月額$59(年払い・税別・米ドル表示) | 175K workload units/月 |
| Growth | 月額$209(年払い・税別・米ドル表示) | 250K workload units/月 |
| Team | 月額$549(年払い・税別・米ドル表示) | 500K workload units/月 |
料金はBubble公式の料金ページの表示です。ブラウザで使うWebアプリだけなら、Web onlyのプランを選べます。Web onlyの年払いの月額は、Starter $32、Growth $119、Team $349です(Bubble Manual「Pricing and plans」、2026年10月24日確認)。月払いの料金、税、為替は公式ページで確認してください。処理量を超えると追加購入か従量での支払いになるため、利用量の推移も保守の確認項目に入ります。ノーコードで下がるのはインフラと改修の工数であり、監視と障害対応の体制は別に用意する必要があります。 当社では、Bubbleで開発したシステムについて、保守範囲の整理から監視・改修の体制づくりまで支援できます。
保守を誰に任せるか(開発元・別の保守会社・社内対応)
保守費用は、どこまでを任せるかに加えて、誰に任せるかでも変わります。委託先は、開発した会社、別の保守会社、社内対応、その併用から選べます。
開発した会社に任せる利点は、仕様や設計の経緯を理解しているため、不具合の原因調査や改修に早く取りかかれることです。一方で、ほかに対応できる会社がない状態が続くと依存が強まり、費用や対応水準を比べにくくなるため、価格交渉の余地も小さくなります。
別の保守会社に移す場合は、引き継ぎ資料の準備が前提になります。少なくとも、システム構成図、サーバーや外部サービスなどの環境情報とアカウント、障害履歴、デプロイ手順、ソースコードや設定情報の所在をそろえます。新しい会社が仕様を把握するまでの立ち上げ期間も見込んでおきます。
社内で一部を担う場合は、役割を分けると外部の作業量を抑えられます。たとえば、業務上の優先順位の判断、保守予算の確保、利用者からの問い合わせの一次受付は社内が担い、原因調査や修正は外部に任せる形です。
選ぶ際は、仕様の安定度と改修の頻度を軸に考えます。改修が続くシステムは仕様を知る開発元が向き、仕様が安定していて改修が少ないシステムは、別の保守会社への移管や社内対応も選択肢になります。
保守の委託先ごとの比較
| 委託先 | 向いている状況 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 開発した会社 | 仕様変更や改修が続くシステム | 仕様を理解しており対応が早い | 依存が強まり比較検討しにくい |
| 別の保守会社 | 開発会社の体制や費用に課題がある | 費用や対応水準を比較して選べる | 引き継ぎ資料の準備と立ち上げ期間が必要 |
| 社内対応 | 仕様が安定し社内に担当者がいる | 業務判断と対応が近い | 担当者の異動・退職で継続できなくなるリスク |
| 併用(一次受付は社内・技術対応は外部) | 問い合わせが多く技術対応は少ない | 外部の作業量を抑えやすい | 切り分けルールと連絡手段の取り決めが必要 |
当社では、Bubbleで開発したシステムについて、他社が開発したものも含めて引き継ぎ資料の整理から保守の体制づくりまで相談を受け付けています。
保守契約の選び方と注意点
保守契約を結ぶ前に、次の5点を確認しましょう。
- 対象範囲が明記されているか:どこまでが保守で、何が追加費用になるかを契約書で確認します。「一式」表記だけの契約は、後の認識違いにつながります
- 緊急時の対応水準が明示されているか:SLAとして一次応答と復旧の目標時間を確認します
- 問い合わせ手段が複数あるか:メール、電話、チャットなど、障害時に確実に連絡できる手段があると安心です
- 担当者の継続性が確保されているか:開発時の担当者が保守も担うか、交代時の引き継ぎ方法を確認します
- 価格改定の条件が明記されているか:年間契約の場合、更新時の価格変更のルールを事前に確認します
契約後に保守費用の妥当性を見直す方法
保守費用は、契約した時点で妥当でも、利用状況の変化で合わなくなることがあります。契約後は、保守会社から受け取る月次報告をもとに定期的に確かめます。
月次報告で確認したい項目は次のとおりです。
- 問い合わせの件数と内容
- 一次応答や復旧にかかった対応時間
- 障害の件数と原因
- 契約した作業時間や改修枠の消化状況
数か月分を並べると、見直すべき項目が見えてきます。たとえば、作業時間の枠が毎月ほとんど使われていない場合は、枠を小さくするか、従量やスポットへの切り替えを検討できます。逆に、上限を超えた追加作業が続く項目があれば、枠を広げたほうが年間の総額を抑えられることがあります。障害が同じ原因で繰り返している場合は、保守の範囲ではなく改修で根本から直すことも選択肢になります。
見直しは、契約の更新時期より前に始めます。まず契約書で更新の条件と解約の申し出期限を確認し、次に月次報告の実績から必要な範囲と契約形態を決めます。そのうえで現在の保守会社と条件を相談し、必要に応じてほかの会社の見積もりも同じ前提で取り寄せて比べます。
よくある質問(FAQ)
Q1. システム保守の費用相場はどのくらいですか?
JUASの調査では、保守と追加開発を合わせて開発費の年20%程度です。改修を含まない保守のみなら、これより低くなることがあります。
Q2. 保守と運用の違いは何ですか?
保守は不具合修正やアップデートなどシステムを正しく保つ作業、運用はデータ登録やアカウント管理など日々動かす作業です。
Q3. ノーコード開発(Bubble)の保守費用は安くなりますか?
サーバーやOSの管理はBubble社が担うため、その分は外せます。監視や障害対応、プラン料金は残ります。
Q4. 保守契約なしで開発を依頼できますか?
可能です。ただし障害時は都度見積もりのスポット対応になり、着手までに時間がかかりやすくなります。
Q5. 月額固定と従量はどちらがよいですか?
毎日使い、止まると困るシステムは月額固定、改修の依頼が不定期なシステムは従量が向いています。
Q6. 開発会社以外に保守だけを依頼できますか?
可能です。ソースコードや環境情報、障害履歴などの引き継ぎ資料をそろえ、移行期間を設けて依頼します。
Q7. 保守費用は契約後に見直せますか?
更新時に、月次報告の実績をもとに対応時間や改修枠の範囲を調整できる場合が多いです。契約書の更新条件を確認してください。
Q8. 保守契約は準委任と請負のどちらになりますか?
継続的な保守は作業提供型(準委任)、個別の改修は成果物型(請負)で結ぶことが多いです。責任範囲の違いを契約前に確認してください。
まとめ|システム保守 費用の相場と総コストの考え方
システム保守の費用は、JUASの調査では保守と追加開発を合わせて開発費の年20%程度が一つの目安です。ただし、この数字は機能追加まで含んだ水準であり、どこまでを任せるかによって実際の金額は変わります。
見積もりを比べるときは、月額固定・従量・スポットのどの形態か、監視・障害対応・問い合わせ・アップデート・軽微改修・インフラ費のどれが含まれるかを確認しましょう。そのうえで、対応時間、一次応答、復旧目標、対象外作業、追加費用、引き継ぎ条件をSLAや契約書で確かめると、金額の差の理由が読み解けます。
費用を抑えたい場合も、削るべきは障害対応の体制ではありません。利用者数や業務への影響を踏まえ、夜間対応や改修枠など外しても困らない範囲を見極めることが近道です。ノーコード開発ではインフラ保守を外せますが、監視や外部連携の修正は残ります。単年の金額ではなく、数年間の保守費用と改修費用を合わせた総額で比べる視点を持ってください。
見積もりを受け取ったら、この記事の内訳表とSLAのチェックリストに照らし、含まれていない項目を保守会社に質問してみてください。回答の具体性から、その会社の保守体制も見えてきます。
当社では、Bubbleで開発したシステムの保守範囲の整理や、既存の保守契約の見直しの相談を受け付けています。「今の保守費用が妥当か分からない」「どこまで任せるべきか決めたい」という場合も、無料相談で現状を伺い、必要な範囲を一緒に整理します。
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