顧客管理システム乗り換え【2026年版】CRM移行の進め方
はじめに
顧客管理システムやCRMを使っていても、営業担当が入力しない、顧客情報が重複する、レポートが見づらい、外部ツールとつながらないといった不満が増えると、他社製品への乗り換えを検討する時期です。ただし、新しいCRMへ切り替えるだけでは解決しません。現行業務、データ品質、権限、連携、運用ルールを整理しないまま移行すると、同じ課題を新システムへそのまま持ち込んでしまいます。特に営業部門では、入力負荷が高いほど情報が古くなります。
2026年時点では、CRMにもAIエージェント、営業自動化、チャット連携、データ統合、ノーコード拡張が広がっています。便利な機能が増えた一方で、料金体系も複雑になりました。Salesforceはエディション構成が変わり、HubSpotは日本円のシート課金になっています。上位プランではオンボーディング費が別にかかる製品もあり、ライセンス費だけを並べても実際の負担は見えません。導入前に「管理する情報」と「管理しない情報」を分けておくと、移行後の入力負荷も大きく変わります。乗り換え判断では、月額料金だけでなく、移行後に誰が使い、どのKPIを改善するかまで決めることが重要です。
この記事では、乗り換えのメリットとデメリット、乗り換えのサイン、5ステップの移行手順、データ移行の進め方、2026年10月時点の主要CRMの公式料金、よくある失敗と対策をまとめます。システム乗り換えは、ツールの入れ替えではなく顧客管理の業務を作り直す機会です。無駄な再構築を避け、現場に定着するCRMへ移行するための実務ガイドとして活用してください。
他社CRMへ乗り換えるメリットとデメリット

乗り換えの最大の理由は、自社の成長段階と業務に合った機能とコスト構造を手に入れることです。主なメリットは次の5つです。
- AI・自動化機能の活用: リードスコアリング、商談要約、メール作成支援などを標準機能で使える
- コスト最適化: ユーザー数や利用機能に合った料金体系へ移り、使わない機能の費用を減らせる
- 使いやすさの向上: モバイル対応やダッシュボードの自由度が上がり、現場の入力率が上がる
- サポート体制の強化: 導入支援やオンボーディングが用意された製品を選べる
- 連携の拡充: MA、会計、チャット、問い合わせ管理とAPIでつなぎ、二重入力を減らせる
一方でデメリットもあります。移行作業と教育の間は、一時的に営業の生産性が落ちます。データの項目がそろわず履歴の一部が移せないこともあり、移行支援費やオンボーディング費がライセンス費とは別にかかる製品もあります。メリットが移行の負担を上回るかは、改善したいKPIを一つ決めてから判断します。Nocoderiでは、移行する項目と残す項目を先に決め、テスト移行で欠落を確認してから本番へ進めることで、これらの負担を小さくしています。
2026年にCRM乗り換えが必要になるサイン
CRM乗り換えのサインは、料金の高さだけではありません。深刻なのは、現場が使わず、経営判断に使えるデータが集まらない状態です。ログイン率が下がり、Excelやチャットに顧客情報が散らばっているなら、ツールと運用の両方を見直す段階です。
| サイン | 起きている問題 | 乗り換え判断 |
|---|---|---|
| 利用率が低い | 画面や項目が多く、現場が入力しない | 社内で基準値(例: 月間ログイン率)を決めて下回るか確認 |
| データが重複する | 顧客、会社、商談の名寄せができない | 移行前にクレンジングが必要 |
| 機能が業務に合わない | 追加開発の依頼が続き、営業プロセスと合わない | 標準機能で足りる製品か比較 |
| 連携できない | MA、会計、問い合わせ管理と分断 | APIや外部連携を比較 |
| 費用が読みにくい | ユーザー増や機能追加で月額が上がる | 総額で比較 |
| サポート品質が低い | 問い合わせへの回答が遅い状態が続く | 導入支援・サポート窓口を比較 |
| 組織や戦略が変わった | 新規事業や組織再編でCRM要件が変わった | 要件定義からやり直す |
複数に当てはまるほど、本格的に検討すべき段階です。
乗り換え成功のための5ステップ移行プロセス

失敗させないためには、計画的な移行プロセスが欠かせません。次の5ステップで段階的に進めます。
- 現行システムの棚卸し・要件定義: 利用中の機能、使われていない機能、カスタム項目を洗い出し、新CRMに必要な要件をまとめる
- ベンダー選定・PoC: 複数製品の無料トライアルで、自社の営業シナリオを実際に動かして画面・連携・権限を確かめる
- データ移行計画: 顧客マスタ、商談、対応履歴の抽出とクレンジング、項目対応表の作成、テスト移行を行う
- ユーザー教育・導入支援: 管理者向けの設定研修と現場向けのハンズオンを行い、マニュアルと社内の問い合わせ窓口を用意する
- 本番切り替え・運用改善: 切替日と旧システムの読み取り専用期間を決め、切替後1か月は利用状況を見て画面を直す
各ステップの終わりに「次へ進む条件」を決めておくと、PoCの結論が出ないまま契約する、テスト移行を省いて本番に入るといった手戻りを防げます。
乗り換え前に決めるデータ移行と要件

CRM移行で最初に決めるべきことは、どのデータを移すかです。顧客マスタ、担当者、商談、活動履歴、メール、添付ファイル、カスタム項目をすべて移す必要があるとは限りません。過去データを残すだけならアーカイブで足りる場合もあります。
実務では、100件程度の顧客と商談を先に移し、項目欠落、文字化け、重複、権限、レポートを確認します。Nocoderiでは、顧客管理システム開発の費用相場と設計手順でも整理している通り、要件定義と運用設計を先に固める進め方を重視しています。手順の詳細は顧客管理システムのデータ移行完全ガイドで解説しています。
本番では、営業部門だけ先に切り替える段階移行も有効です。旧CRMを読み取り専用で残す並行期間を設けると、不具合や権限設定の抜けを早く見つけられます。
主要CRMの料金と乗り換えポイント比較

料金は公式ページで毎回確認します。下表は2026年10月20日に各社の公式ページで確認した内容です。同じ製品でも支払い方法や最小契約数で総額が大きく変わるため、条件まで含めて比較することが重要です。
| 製品 | プランと料金 | 条件 |
|---|---|---|
| Salesforce Sales Cloud | Starter Suite 3,000円 / Pro Suite 12,000円 / Core 23,400円(1ユーザー/月) | Starterは月払い・年払い、Pro Suite以上は年間契約。税区分は公式ページに明記なし |
| HubSpot Sales Hub | Free 0円 / Starter 2,400円 / Professional 12,000円から(1シート/月) | Freeは2ユーザーまで。Starterは新規契約向けの期間限定価格あり(1,200円から)。Professionalは初期費用として導入支援(オンボーディング)費が別途かかる。税区分は明記なし |
| kintone | ライト1,000円 / スタンダード1,800円 / ワイド3,000円(1ユーザー/月) | 税抜。最小10ユーザーから(ワイドは1,000ユーザーから)。外部連携・プラグインはスタンダード以上 |
| Zoho CRM | スタンダード1,760円 / プロフェッショナル3,260円 / エンタープライズ5,660円(1ユーザー/月額換算) | 税抜。年間契約で最大34%オフの表記あり。3ユーザーまでの無料版あり |
| Mazrica Sales(旧Senses) | Starter 6,500円 / Growth 12,500円(1ID/月) | 税抜・年間契約。最小10IDから(最低月額はStarter 70,000円)。初期費用無料 |
乗り換えのしやすさは、料金とは別に確認します。
| 製品 | 向いているケース | 乗り換えしやすさ・注意点 |
|---|---|---|
| Salesforce | 営業組織が大きく、権限やレポートを細かく設計したい | データインポートの標準ツールと導入パートナーが多い。設定自由度が高いぶん管理者設計が必要 |
| HubSpot | マーケティング、営業、サポートを一体で使いたい | 無料から試せる。上位プランはオンボーディング費が別途かかる |
| kintone | 業務アプリをノーコードで柔軟に作りたい | CSVの読み込み・書き出しで基本移行できる。連携はスタンダード以上 |
| Zoho CRM | 費用を抑えながらCRMを整えたい | 無料版で項目設計を試せる。既存ツールとの連携範囲は事前に検証 |
| Mazrica Sales | 案件の進み具合を直感的な画面で見たい | 画面の考え方が他製品と違うため、現場教育の時間を見込む |
料金比較では、ライセンス費だけで判断しないことが大切です。データ移行、初期設定、権限設計、レポート作成、外部連携、教育、保守まで含めると、安いプランが低コストとは限りません。
MAと連携して使う予定なら、移行先でどのデータをMAへ渡すかによって設定や開発の工数が変わります。役割分担と連携データの決め方は顧客管理システムとMAの連携ガイドにまとめているので、見積もりや外注を判断する前に確認しておくと、必要な作業を洗い出しやすくなります。
CRM全体の機能・料金・選定基準も比較する際は、CRMおすすめランキング【2026年版】|企業向け機能・料金・選び方を比較をご覧ください。
乗り換え時によくある失敗パターンと対策
1. 要件定義の甘さ
ツール名から選び、業務の流れを後から合わせようとすると、必要な項目や承認の段階が足りなくなります。現場ヒアリングを重ね、権限やデータ量などの非機能要件まで決めてから選定に入ります。営業、インサイドセールス、カスタマーサクセスで必要な画面が違う場合は、部署ごとに要件を分けて書き出します。
2. データ移行トラブル
項目名が違う、顧客名が揺れている、退職者の担当データが残っている状態では、移行後のレポートが信用できません。移行前に捨てるデータ、残すデータ、集計に使うデータを分けることが欠かせません。クレンジングとテスト移行は複数回行います。
3. ユーザー定着率の低下
画面が整っていても、入力のタイミングや必須項目が決まっていなければ定着しません。移行初月は入力率、商談更新率、重複件数を追い、使いづらい画面をすぐ直します。現場の意見を集めて画面を直す担当者を、移行前に決めておくことが定着の分かれ目です。
4. コストオーバーラン
オンボーディング費、追加ユーザー、連携の開発費を見積もりに入れておかないと、予算を超えます。移行支援費を含めた総額で見積もり、余裕を持った予算を組みます。
既製CRMで足りない業務はノーコードで補う
CRMの標準機能だけで業務に合わない場合は、ノーコードの補完アプリを作る選択肢があります。営業報告フォーム、顧客ポータル、見積依頼、社内承認をBubbleで作り、API連携でCRMとつなぐ形です。標準機能の範囲で済むならCRMカスタマイズの方法も参考になります。Nocoderiは、CRM単体の置き換えだけでなく、業務フロー全体に合わせた移行設計と周辺アプリ開発を支援しています。
まとめ
顧客管理システムの乗り換えは、古いCRMを新しいCRMへ置き換えるだけの作業ではありません。現場が入力しやすい項目、経営が見たいKPI、営業が使うダッシュボード、顧客対応履歴、外部連携、権限設計まで含めた業務の再設計です。目的が曖昧なまま進めると、移行後もデータが散らばり、使われないCRMになります。
2026年時点では、Salesforce、HubSpot、kintone、Zoho CRM、Mazrica Salesなどの選択肢があり、料金体系も契約条件も異なります。公式料金を確認しつつ、オンボーディング費、移行支援費、教育費、保守費まで含めた総額で比較してください。ユーザー数が増える企業では、月額費用と管理工数の両方を見て判断することが重要です。年間契約が前提の製品は途中解約がしにくいため、無料版やトライアルで操作感を確かめてから契約しましょう。
乗り換えを成功させるには、現行システムの棚卸し、ベンダー選定とPoC、データ移行計画、教育、本番切り替えと運用改善の5ステップで進めます。Nocoderiに相談する場合は、現行ツール、ユーザー数、移行したいデータ、連携したい外部サービス、改善したいKPIを整理しておくと、提案の精度が上がります。まずは移行の目的を一つに絞り、小さく検証してから本番移行へ進めましょう。乗り換え後の初月で完成と考えず、入力されない項目や止まる承認を見つけて直し続けることが、現場に定着するCRMへの近道です。
CRMを乗り換える際は、これまでの顧客情報と取引履歴を新しいシステムでどう検索し活用するかを先に決めておくことが大切です。当社では、紙やExcelで管理していた顧客の基本情報と過去の全取引履歴を一元管理し、氏名や電話番号から該当顧客を検索できる顧客管理システムを開発しました。既存データの整理と、移行後の使い方の設計の段階からご相談いただけます。
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