勤怠管理システムのAPI連携とは?業務効率化を実現する最強の仕組みを解説
はじめに
働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、勤怠管理システムの導入が進んでいますが、その真価を最大限に引き出すには「API連携」が不可欠です。API(Application Programming Interface)連携とは、異なるシステム同士がデータを自動でやり取りするための仕組みのことで、人手による入力作業をなくし、リアルタイムかつ正確な情報の流通を可能にします。
本記事では、勤怠管理システムにおけるAPI連携の仕組みやメリット、連携できる代表的な外部システム、活用事例、そして導入時の注意点までを詳しく解説します。業務効率化とミス削減を両立させたい企業にとって、API連携は今や必須の機能です。
勤怠管理システムにおけるAPI連携とは?
勤怠管理システムのAPI連携とは、出退勤データや労働時間などの勤怠情報を、他のシステム(例:給与計算ソフト、会計システム、人事システムなど)と自動で同期する仕組みです。従来のようにCSVデータを手動でダウンロード・アップロードする手間を省き、リアルタイムな情報連携が可能になります。
たとえば、従業員の出勤データが勤怠システムに記録された瞬間に、給与計算システムに自動反映されることで、締め処理が迅速かつ正確に行えるようになります。API連携は、業務プロセスの中に「無駄な手作業」がある場合に非常に効果的なソリューションです。
API連携がもたらす主なメリット
API連携を導入することで得られるメリットは非常に多く、特に以下のような効果が顕著です。
- 業務の自動化による工数削減
勤怠データの手動転記が不要となり、月末処理や給与計算にかかる時間が大幅に短縮されます。 - ヒューマンエラーの防止
手作業による転記ミスやデータの取りこぼしがなくなり、正確な処理が実現します。 - リアルタイムな情報共有
管理者・人事部・経理部が常に最新の勤怠データにアクセスでき、意思決定の迅速化につながります。 - システム連携による一元管理
各部門の情報が散在せず、管理画面上で一括して業務を俯瞰できるようになります。 - 法令対応のスピードアップ
労基法改正や給与制度変更にも迅速に対応可能となります。
連携可能な代表的な外部システム一覧
API連携を活用すれば、さまざまな業務システムとシームレスなデータ連携が可能になります。以下は、勤怠管理システムと連携しやすい代表的なシステムです。
連携先カテゴリ | システム例(API対応) | 主な連携内容 |
---|---|---|
給与計算システム | freee人事労務、マネーフォワード給与、弥生給与 | 労働時間データ・残業時間・有休残数の連携 |
会計ソフト | 勘定奉行、弥生会計、MFクラウド会計 | 給与支払データの自動仕訳 |
人事評価システム | HRBrain、カオナビ、あしたのチーム | 勤怠データをもとに評価指標を自動生成 |
シフト管理・工数管理 | シフオプ、TimeCrowd、Jooto | 実働時間とシフト計画のギャップ分析 |
ERP・基幹システム | SAP、ZAC、OBIC7 | 勤怠データのマスタ連携・労務管理全体との統合管理 |
実際のAPI連携活用事例
たとえば、全国に複数拠点を展開する小売企業では、勤怠管理システムと給与計算ソフトをAPI連携することで、月末処理にかかる時間を従来の8時間から1時間に短縮しました。また、複雑なシフト勤務や深夜手当の計算も自動化され、労務担当者の負担が大きく軽減されました。
さらに、製造業のある企業では、工場の打刻データをERPと連携することで、部署別の工数管理やコスト配分の可視化を実現し、経営層の意思決定スピードが向上したとの報告もあります。
API連携導入時の注意点と課題
API連携は非常に便利な仕組みですが、導入にあたってはいくつかの注意点があります。
- システム間の仕様が異なる場合がある
APIがオープンでない、または仕様が非公開の場合、連携に追加開発が必要となる可能性があります。 - セキュリティリスクへの配慮が必要
外部システムとデータをやり取りするため、認証管理や通信の暗号化、IP制限などの設定が必須です。 - 保守・運用体制の整備が求められる
一度設定すれば終わりではなく、システムアップデート時や法改正時に連携が切れるリスクもあります。継続的な監視体制が必要です。 - 社内にITリテラシーが必要
API連携を正しく活用するには、最低限の技術理解や設定ノウハウを持った担当者の存在が望まれます。
API連携が可能な主要勤怠管理システム(2025年最新版)
システム名 | API対応状況 | 特徴 |
---|---|---|
KING OF TIME | ◎(REST API対応) | 多数の外部システムと連携、IC打刻や顔認証にも対応 |
ジョブカン勤怠管理 | ○(CSV/API両対応) | シンプル操作、給与ソフトとの自動連携が豊富 |
Touch On Time | △(一部API) | タイムレコーダー連携中心、柔軟な運用が可能 |
勤革時 | ◎(API連携強化) | グループ企業向け、ERPとの連携に強み |
今後のAPI連携の展望とDX推進への影響
今後の労務管理は「クラウド化×API連携」による完全な自動化へと進化していきます。APIの標準化が進み、より多くのサービスが相互に連携可能になることで、人事・労務・会計・経営分析の垣根が消えていく時代が到来します。
また、ChatGPTなどのAIツールとの連携により、「API連携×AI自動分析」によるスマートな勤怠運用も現実化しつつあります。単なる労務管理ではなく、戦略的人材活用への転換期を迎えているのです。
まとめ
勤怠管理システムにおけるAPI連携は、業務効率化・正確性の向上・コスト削減の三拍子を兼ね備えた強力な仕組みです。給与計算ソフトやERPなどとの自動連携を実現することで、手作業やミスの発生を最小限に抑え、現場と経営をつなぐ「データの橋渡し役」となります。
導入の際は、連携対象や技術サポート、セキュリティ体制などを十分に確認し、自社に最適な勤怠管理システムを選定することが重要です。今後の人事DXを見据え、API連携を前提としたシステム導入をぜひ検討してみてください。