「AI開発の著作権問題を徹底解説|商用利用で気をつける5つのポイント」
はじめに:AI開発で「知らなかった」では済まされない法務リスク
- 課題:生成AIによるコード・画像生成物の著作権と責任の所在
- 本記事のゴール:AI開発を安全に進めるための実務的な判断軸と備え
- 現行法での原則:AI単独の生成物には「著作権なし」
- 実務上の論点:「AI生成物のどこまでが人の創作とみなされるか」
2. 生成AIによる成果物(コード・文章・画像)の著作権の扱い
- 種類別課題:元の学習データによる「間接的な著作権侵害」リスク
- 注意点:著作権が発生しないことと、リスクがゼロであることは別問題
- 曖昧な成果物とトラブルの発生源
- 必須の対応:開発手法の透明性とAI使用範囲の契約明記
- 契約書で明記すべき事項:「責任の所在」と「権利の帰属」
- リスクヘッジ:AIツール使用ポリシーと成果物の社内レビュー体制
- 企業信頼性を高める「契約設計力」の重要性
- 法的リスク管理と「技術的な効率化」の両立
- 外注時は「AI生成物を含む成果物の取り扱い」を明記
はじめに
ChatGPTやClaudeなどの生成AIを使って、社内業務の自動化やアプリ開発を行う企業が急増しています。しかし近年、「AIが生成したコードや画像に著作権はあるのか?」「AIを活用した開発を外注したとき、その成果物は誰のものになるのか?」といった法的な疑問が多くの企業で浮上しています。
特に中小企業やスタートアップでは、AIを導入したい一方で、「もし著作権侵害があった場合の責任はどこにあるのか」と不安に感じるケースも少なくありません。
本記事では、AI開発の著作権に関する基本的な考え方から、外注時に注意すべき契約上のポイントまでをわかりやすく解説します。Pythonなどの自社開発ではなく、ChatGPTやGeminiなどの生成AIを利用した“AIコード生成型開発”を前提としています。
専門的な法解釈に踏み込みすぎず、「実務でどこまで気をつけるべきか」を中心にまとめています。
AI活用を進める企業にとって、「知らなかった」では済まされないのが著作権の領域です。
本記事を読めば、AIを使った開発を安全に進めるための実務的な判断軸と、契約・体制面での備え方が理解できるでしょう。
AIを使った開発は、従来のプログラミングのようにゼロからコードを書く必要がなく、ChatGPTやGeminiなどのツールを使えば数分でアプリの原型を作ることも可能です。
しかしそのスピードの裏には、生成物がどこまでオリジナルといえるのかという新たな課題が潜んでいます。特に、企業がAIで作成した資料やコードを商用利用する場合、「著作権を誰が持っているのか」「生成AIを使っても安全なのか」という疑問が生じます。
本記事では、こうした実務で頻発している疑問を解消するための具体的な考え方を提示します。

1. AI開発における著作権とは?
AI開発で扱う「著作権」は、人が創作した成果物に自動的に発生する権利を指します。
しかし、AI自身が生成した文章や画像、コードは「人の創作」といえるのか?という点で議論が続いています。
現行の日本の著作権法では、「人間の創作性」がある場合のみ著作物と認められるため、AIが自律的に生成したものには著作権が発生しないとされています。
つまり、ChatGPTなどで出力されたコードやテキストには、原則として「著作権はない」と考えられています。
ただし、人がAIに対して指示(プロンプト)を出し、その結果を取捨選択・編集した場合は、人の創作性が加わるため著作権が認められる可能性があります。
このように、**「AI生成物のどこまでが人の創作とみなされるか」**が、実務上の重要な判断ポイントです。例えば、ChatGPTに「会員登録機能のコードを書いて」と入力すると、数秒で実用レベルのコードが出力されます。
このとき、AIがどこかの既存コードを学習している場合、その一部を似た形で出力する可能性があります。つまり、AIが参照したデータに著作権がある場合、結果的にその著作物を模倣した状態になることもあり得ます。
また、AI生成物を商用サービスに組み込んだ後に「他社ソースコードに類似している」と指摘されるケースも増えつつあります。AI開発の利便性が高まる一方で、法的なグレーゾーンが生じているのが現状です。
2. 生成AIによるコード・文章・画像の著作権の扱い
生成AIが作る成果物には、以下のような著作権上の課題があります。
| 種類 | 著作権の扱い | 注意点 |
| コード | 原則著作権なし(AI生成) | 元の学習データが著作物を含む場合は注意 |
| 文章 | 編集・選択があれば人に帰属 | そのまま利用すると同一表現になる可能性 |
| 画像 | AI単独生成は著作権なし | 有名キャラなどを模倣すると侵害リスク |
| 音声・音楽 | 著作権なし(AI生成) | 学習元データに著作権作品がある場合はリスク |
特に、AIが既存の著作物を学習して生成しているため、「間接的な著作権侵害」が起こる可能性もゼロではありません。
商用利用する場合は、AIツールの利用規約(特にOpenAIやGoogleのライセンス部分)を必ず確認しておくことが重要です。
特に注目すべきなのは、「AI生成物は自由に使ってよい」と誤解している企業が多い点です。
著作権が発生しないことと、リスクがゼロであることはまったく別問題です。
AIの出力が、著作権を有する第三者の作品に類似していた場合、法的責任を問われる可能性があります。
たとえば、AIに「ジブリ風のキャラクターを描いて」と指示して生成した画像を広告に使えば、意図せず商標・肖像・著作権すべてに抵触するおそれがあります。
このため、生成物の二次利用時には、「誰がどう指示して作ったか」を記録しておく管理体制が求められます。
企業規模を問わず、AIを使うならば「著作権リスクマネジメント」が必要な時代に入っています。
3. AIを使った開発を外注する際の著作権リスク
外注開発では、AIツールを利用して生成したコードや素材が混在するため、著作権の帰属が曖昧になるケースがあります。
たとえば、開発委託契約書に「AI生成物を含む成果物の著作権は委託者に帰属する」と明記していなければ、後々トラブルに発展する可能性があります。
特に注意すべきは以下の点です。
- 成果物にAI生成の要素を含む場合、その範囲を明確にする
- 開発会社がどのAIツールを使用しているかを事前に確認する
- ライセンス・利用規約違反を回避するため、生成履歴(プロンプトやソース)を記録する
これらを契約書に盛り込むことで、万が一のトラブルを回避できます。
AIを活用したシステム開発を外注する際に最も多いトラブルは、「著作権の帰属が曖昧なまま納品されたケース」です。
たとえば、開発会社がChatGPTやClaudeなどを利用してコードを生成していたにもかかわらず、その事実が契約書や報告書に明示されていないことがあります。
このような場合、納品後に不具合や著作権侵害が発覚すると、「AI生成物を使ったのは開発会社なのか」「その利用責任は誰が負うのか」という争いに発展します。
さらに、最近ではAIを利用したプラットフォーム開発で、第三者のデータセットが不正に学習に使用されていた事例も報告されています。
そのため、発注側は「開発手法の透明性」と「AI使用範囲の明示」を契約条件に含めることが重要です。
ノーコード開発のように人の操作が介在する開発であれば、AIによる自動生成部分と人による補正部分を明確に分けておくことがトラブル防止につながります。
4. 商用利用・契約書での注意点と対応策
AI生成物を商用利用する場合、著作権の有無よりも「責任の所在」が問題になります。
仮にAIが生成したコードが第三者の著作物に類似していた場合、侵害と判断されると、発注者・受託者のどちらが責任を負うかが争点になります。
契約書では、以下のような条項を明記しておくと安全です。
- 成果物の著作権はすべて発注者に帰属する
- 受託者は、AIツールの利用規約を遵守した上で生成物を作成する
- 万が一の権利侵害が発覚した場合、双方で協議の上、迅速に是正対応する
このように、契約段階でリスクを明確にしておくことで、AI開発をより安心して進めることができます。
契約書においては、著作権条項だけでなく「AIツール使用ポリシー」を明文化する企業も増えています。
例えば「受託者はAI生成物を利用する場合、必ず発注者に事前通知し、生成内容を確認させる」などの条項を設けると、後のトラブルを防ぎやすくなります。
また、生成AIが出力した内容に誤情報や機密情報が含まれるリスクもあるため、成果物の社内レビュー体制を契約に組み込むのも効果的です。
AI開発ではスピードやコスト面が優先されがちですが、法務リスクを最小化するための「契約設計力」こそが企業の信頼性を高める要素となります。
技術的知識と法的視点を両立したパートナー企業の選定が、AI開発の成功を左右します。
🔚まとめ
AIを活用した開発は、効率化やコスト削減に大きな効果をもたらす一方で、著作権に関する誤解やトラブルのリスクも存在します。
現行の法制度では、AIが生成した成果物には原則として著作権が認められないため、人の創作性をどのように加えるかが重要なポイントになります。
自社でAI開発を行う場合は、
- 利用するAIツールの規約を把握する
- 生成過程(プロンプトや編集内容)を記録しておく
- 商用利用前に法務担当または専門家に確認する
といった対応が有効です。
また、外注する場合は、契約書で「AI生成物を含む成果物の取り扱い」を明記することが不可欠です。
特にノーコードやAIを組み合わせた開発では、どの部分に人の創作性が含まれるかを明確にしておくことで、将来的な紛争を防ぐことができます。
貴社のようにノーコードと生成AIを掛け合わせた開発を行う企業であれば、
「技術的な効率化」と「法的リスク管理」の両立が可能です。
著作権の仕組みを理解したうえでAIを安全に活用することが、これからの時代のDX推進には欠かせません。
