コアシステム開発を成功させるAI×ノーコード5手順と相場

コアシステム刷新ガイド:AI×ノーコードで現場を止めずに確実な段階導入を進める5手順

🏁 はじめに

  • 課題:基幹システム刷新における要件の曖昧さ、スコープの膨張、データ分断
  • 本記事のゴール:現場を止めずにコアシステムを刷新するための実務的な5手順と費用感を整理する

1. コアシステム開発の現在地:失敗要因と成功条件

  • 失敗の典型:要件の曖昧さ、データ移行の軽視、監査統制の抜け
  • 成功条件:段階的リプレイスと「意思決定で使う指標」の定義

2. AI×ノーコードで加速する「5手順」――現場を止めない刷新術

  • 手順1:業務マップと“止められない線”の可視化
  • 手順2:共通マスタとインテグレーションの先行整備
  • 手順3:ノーコードでUIモック→ユーザテスト
  • 手順4:段階導入(フェーズ1は可視化&申請系)
  • 手順5:運用設計と変更管理を先に作る

3. 期間・費用の“現実解”と比較表/RFPの要点

  • 開発アプローチ比較:内製、外注、ノーコードの費用・期間・リスク
  • RFP(提案依頼書)の要点:段階方針、データ連携、“やらないこと”の明記
  • AI活用のメリット:要件定義・テスト・ドキュメント作成の工数圧縮

まとめ:まずは小さく早く、確実に次へ

  • 結論:「完璧さ」より「反復速度」。可視化→合意→次の一手のリズム
  • 次のアクション:フェーズ1(可視化と申請系)から始め、小さく確実な成功体験を積む

はじめに

コアシステム開発は、勤怠・会計・在庫・受発注・生産管理といった「会社が毎日回るための中枢」をつくり直す取り組みです。止められない業務を動かしながら刷新する以上、理想論だけでは進みません。しかも昨今は、部署ごとにSaaSが乱立し、Excelも根強く残り、データは分断。要件を詰めきれないまま着工し、スコープが膨らみ、期間とコストが雪だるま――。そんな現場を何度も見てきました。
一方で、生成AI(ChatGPT/Gemini/Claudeなど)とノーコード/ローコードの登場は、要件定義の叩き台作成、テストケース洗い出し、UIモック生成、データ移行の整形といった「面倒だけど効果の高い作業」を高速化しました。ここで言うAI開発とは、Pythonでモデルをゼロから作る話ではなく、生成AIを設計・実装プロセスに組み込み、開発そのものを加速するやり方です。
本記事では、中堅企業の情シスやバックオフィス責任者が現場を止めずに基幹を刷新するための5手順を、失敗を避ける観点で整理します。費用と期間の“現実解”や、外部ベンダーに渡すRFP(提案依頼書)で押さえるべき要点も、すぐ使える形でまとめました。小さく始めて確実に伸ばすための実務ガイドとしてご活用ください。


1. コアシステム開発の現在地:失敗要因と成功条件

コアシステムは「全部作り変える」ほど複雑です。失敗の典型は、

①要件の曖昧さ

②段階計画の不在

③データ移行の軽視

④権限・監査・内部統制の抜け

⑤運用/教育の後回し

これらは納期とコストを直撃します。また、個別最適の業務が温存されると、データの粒度や締め時間が合わず“見える化したのに意思決定できない”状態に陥ります。最初に“意思決定で使う指標の定義”を揃えることも重要です。
成功条件は逆で、段階的リプレイス境界の明確化です。最初に「止められない業務」を避け、依存の少ない領域から着手します。例えば、マスタ統合→在庫可視化→受発注ワークフロー→会計連携の順に小刻みに伸ばす。各段には完了定義(Done)を置き、成果物・データ品質・教育の完了条件を明文化します。「完了定義」は運用部門と共同で作ると有効です。教育実施の受講率や、問い合わせ件数の推移など運用KPIを含めると、単なる納品ではなく“使われて成果が出た”状態を契約上も担保できます。
さらに、生成AIを要件定義補助
に使うと、現場ヒアリングからユースケース・エッジケース・画面遷移・権限表・テスト観点のたたき台を数時間で作れます。AIは専門用語を咀嚼し、非IT部門でも読みやすい仕様を整えやすい。ここで重要なのは、AIの出力を真実とせず、議論の起点にすること。レビュー会を短時間×高頻度で回す「デザインスプリント」発想が相性抜群です。さらに、AIが出したユースケースに禁止事項や内部統制の観点をコメントで追記しておくと、後工程のレビュー効率が上がります。レビューは“誰が何分で判断できるか”を基準に、小刻みな判定ゲートを設けましょう。
最後に忘れがちなのが変更管理。要望は増え続けます。バックログを価値/コスト/リスクで優先度付けし、スプリント単位で確実に届ける。“やらないこと”リストを公表して期待値を調整する。この地味な運用が、結局いちばん効きます。変更管理で迷ったら、価値>リスク>コストの順で評価し、意思決定の期限を明確にします。期限が過ぎた要求は次スプリントへ回す“ルールの強さ”が、結果的に全体の速度を上げます。


2. AI×ノーコードで加速する「5手順」――現場を止めない刷新術

手順1:業務マップと“止められない線”の可視化
部署横断でAs-Is/To-Beを1枚に。止められないプロセスに赤線を引き、初期スコープから外します。生成AIに議事録を投げ、用語統一表権限マトリクス草案を作成し、合意形成を早めます。用語統一表は“現場の言葉→システムの言葉”の両方向辞書にすると議論が早まります。2週間で一度は更新版を配布し、解釈のズレを定期的にリセットしましょう。

手順2:共通マスタとインテグレーションの先行整備
取引先/製品/在庫ロケーションなどマスタの重複を統合。API/CSV連携の最小ルール(頻度・衝突時の勝ち負け・監査ログ)を先に決めると、後工程がスムーズ。マスタ統合作業は“重複検出ルール(例:全角半角・表記ゆれ)”を先に決めると工期短縮に効きます。監査ログは誰が・いつ・何を・どの経路で変更したかの4点を最低限に固定化しましょう。

手順3:ノーコードでUIモック→ユーザテスト
ノーコード/ローコードで実機に近いプロトタイプを作り、現場テストで“不快な操作”を早期に炙り出します。生成AIで画面文言の校正テストケース生成を回すと速度が上がります。ユーザテストは5名×30分×2ラウンドの軽量設計でも十分に有効です。生成AIでテスト後メモを要約し、改善案→効果→実装コストの3観点で優先度を自動提案させると意思決定が早まります。

手順4:段階導入(フェーズ1は可視化&申請系)
最初は在庫可視化・ダッシュボード・申請ワークフローなど“止めずに価値が出る領域”から。成功体験をつくり、次のフェーズ(受発注/会計連携など)へ拡張。フェーズ1では“情報の閲覧のしやすさ”と“申請の速さ”を体験価値として約束します。ここで信頼を獲得できれば、フェーズ2の業務ロジック改修も心理的ハードルが低下します。

手順5:運用設計と変更管理を先に作る
リリース後の問い合わせ経路、権限申請、マスタ変更、障害時の切り戻しを先に整備。AIでFAQ/手順書を生成し、教育時間を圧縮します。運用設計は“最初の30日の行動設計”が肝です。問い合わせテンプレ、動画マニュアル、ロール別QA、切り戻し手順を初日から提示し、安心感の設計を最優先にしましょう。

この5手順は、現場の抵抗を下げ、手戻りを減らし、投資回収を早める実務の型です。


3. 期間・費用の“現実解”と比較表/RFPの要点

中堅企業の「段階的リプレイス」は、フェーズ1(3〜4か月)で可視化・ワークフロー域、フェーズ2(3〜6か月)で受発注/在庫/会計連携へ。総額はスコープ次第ですが、小さく始めて段階拡張が予算面でも安全です。AI活用により、要件定義・テスト観点づくり・ドキュメント作成の工数を20〜30%程度圧縮できるケースが増えています(あくまで目安)。なお、フェーズ間では“実測データでの効果測定(例:処理時間、入力ミス率、承認リードタイム)”を必ず挟みます。効果が見えるとステークホルダーの支持が強まり、投資判断がスムーズになります。

開発アプローチ比較表(概略)

項目典型初期費用開発期間強み主なリスク/注意点相性の良いケース
内製(フルコード)高〜特高柔軟性・独自性人材確保/属人化長期で差別化・高度要件
外注(フルコード)中〜長品質・保守体制コスト/契約硬直要件が固く長寿命
ノーコード/ローコード+AI低〜中短〜中速い検証・段階導入設計次第で複雑化スモールスタート/短期価値

どのアプローチでも設計の一貫性が成否を分けます。設計原則(命名規則、権限哲学、ログ基準)を早期に合意しましょう。

RFP(提案依頼書)で外さない要点

  • 段階方針:フェーズ1/2の完了定義(成果物・教育・品質基準)
  • データ連携:同期頻度、競合時ルール、監査ログの取得範囲
  • 権限/統制:ロール、監査要件、変更申請フロー
  • 運用SLA:問い合わせ対応、障害時切り戻し、バックアップ
  • 変更管理:優先度基準、リリースサイクル、“やらないこと”の明記

RFPは“変更不可”と“変更可能”を分けて記載すると、見積のブレが激減します。たとえば権限と監査は“不変”、画面の微調整は“変動”と明記しておくのがコツです。

これらを生成AIに投げて叩き台→レビューを数時間で回せるのが、今のアドバンテージです。生成AIはRFPの抜け漏れ検査にも使えます。過去案件の失敗学(トラブル事例)を学習させ、「似た条件で発生したリスク」をリストアップさせると、事前の網羅性が高まります。


まとめ

コアシステムは「大工事」の印象が強いですが、成功案件の多くは小さな勝ちを積み重ねる設計になっています。止められない線を守り、共通マスタと連携の基盤をいち早く固め、ノーコードで触れるモックを出して現場と対話する。生成AIは、要件・テスト・手順書の面倒を高速化し、意思決定を前へ進めます。“完璧さ”より“反復速度”を重視し、2〜4週間の小さなリリースを積み上げるチームが最後に勝ちます。可視化→合意→次の一手、のリズムを崩さないことが肝心です。
もし貴社が「どこから手を付けるべきか」で止まっているなら、フェーズ1=可視化と申請系から始めるのが定石です。3か月で見える化+簡易ワークフロー+最小の連携を実装し、次フェーズの体力と合意をつくる。私たちは、AI×ノーコードを前提にした段階設計、RFP作成支援、要件定義のファシリテーション、プロトタイプ検証、データ移行設計、運用/教育の立ち上げまで伴走します。この進め方は、IT投資のピークを平準化し、キャッシュフローの安定にも寄与します。経営側の説明責任(社内稟議)においても、短期の成果物が“証拠”として機能します。
強引な営業はしません。まずは現状業務の棚卸し(無料ヒアリング)から、AIで叩き台を出し、“止められない線”と初期スコープを30分でラフに描きます。そこから投資対効果が高い順に進め、小さく始めて確実に次へ貴社の事情に合わせた最短ルートをご提案します。気軽にご相談ください。ご相談時は、現場の困りごとと意思決定に必要な指標を簡潔に共有いただけると、初回提案の精度が大きく上がります。小さく始め、大きく育てる—その第一歩をご一緒しましょう。

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