IPAのRFPサンプルはどこにある?入手先と使い方の注意
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、アーカイブ資料「超上流から攻めるIT化の事例集」の中で、RFP(提案依頼書)の事例を公開しています。
掲載されているRFP事例は、システム化の方向性、システム化計画、要件定義の3種類です(いずれもSEC提供)。
注意したいのは、これらがアーカイブ(過去資料)として公開されている点です。様式の参考には使えますが、現在の技術環境・契約実務に合わせた読み替えが前提になります。
本記事では、入手先と、サンプルを自社のRFPへ落とし込む手順、流用で起きがちな失敗を解説します。
出典:IPA・超上流から攻めるIT化の事例集:各社資料一覧(2026年9月25日確認)。
IPAのRFPサンプルの入手先と種類
IPAのアーカイブページ「超上流から攻めるIT化の事例集:各社資料一覧」には、RFP事例として次の3種類が掲載されています。
| 資料 | 対応する検討段階 |
|---|---|
| RFP事例(システム化の方向性) | 何のためにシステム化するかを固める段階 |
| RFP事例(システム化計画) | 対象範囲・体制・スケジュールを計画する段階 |
| RFP事例(要件定義) | 求める機能・条件を具体化する段階 |
3種類に分かれていること自体が示唆的です。RFPは1回書いて終わりの文書ではなく、検討の段階に応じて「何を依頼したいのか」が変わります。自社が今どの段階にいるかを先に確認し、対応する事例から読むと参考にしやすくなります。IPAアーカイブ(2026年9月25日確認)。
なお、ページには「アーカイブ」の表記があり、これらは過去資料の位置づけです。公開時点から技術環境や契約実務が変わっているため、次節の読み替えが必要です。
アーカイブ資料を現在の発注に使うための読み替え
第一に、技術・環境の前提です。過去資料の時代とは、クラウド利用の一般化、SaaSとの連携、セキュリティ要件の水準が変わっています。サンプルの項目立て(目的・範囲・体制・スケジュール・提案依頼事項など)は参考にしつつ、技術要件・環境要件の中身は現在の自社の状況で書き直してください。
第二に、契約まわりの実務です。契約に関する記載は、現行の契約実務に合わせて確認が必要です。IPAは「情報システム・モデル取引・契約書」を公開しており、民法改正(契約不適合責任など)への対応を含む見直しが行われています。RFPの契約条件の節を書く際は、こちらの現行版を参照してください。IPAモデル取引・契約書の見直しポイント(2026年9月25日確認)。
第三に、評価の観点です。過去の様式を参考にすると、価格の比較に偏った評価表になりがちです。提案内容(実現方式・体制・リスクの説明)と価格のバランスを、自社の優先順位に合わせて配点し直してください。
第四に、自社の言葉への置き換えです。サンプルの文面を残したまま社名だけ変えると、自社の実態と合わない要求が紛れ込みます。1文ずつ「これはうちに当てはまるか」を確認する読み方が、結局いちばん速く安全です。
自社のRFPへ落とし込む手順
手順は4つに分けられます。
第1に、目的と背景を自分の言葉で書きます。ここだけはサンプルに頼らず、「どの業務の何に困っていて、何が変われば成功か」を書いてください。提案の質は、この節の具体性でほぼ決まります。
第2に、現状を伝える資料を添えます。業務の流れ、扱うデータ、既存システムの構成です。業務の流れは図があると誤解が減ります。書き方はBPMNによる業務フローの書き方を参考にしてください。
第3に、提案してほしいことと、決まっていることを分けます。予算の上限、期限とその理由、必須の制約(法令・社内規程)は「決まっていること」として明示し、実現方式や段階の分け方は「提案してほしいこと」に回すと、各社の提案力を比較できます。
第4に、評価の方法を決めてから配ります。評価者が複数いる場合は、採点前に評価項目の意味合わせを行い、観点のぶれを減らします。評価項目と配点、質疑の受け方、選定スケジュールを先に決めておくと、提案を受けてから迷走しません。RFP全体の章立てと書き方の詳細はRFP作成の手順とテンプレート、要求内容の具体化は要件定義の進め方と書き方で解説しています。
配布の実務。何社に、どう渡すか
RFPを書き上げたら、配布の設計も決めます。配布先は、多ければよいわけではありません。真剣な提案を受け取るには2〜4社程度に絞り、なぜ声をかけたのかを伝えられる状態が現実的です。
回答期間は、こちらが読み込みに使える時間から逆算します。各社の提案を比較・質疑・社内説明する時間を確保できない配布計画は、結局価格だけの比較に落ちます。また、質疑は個別回答ではなく、質問と回答を全社へ共有する方式にすると、条件の公平性が保たれ、後の認識ずれも減ります。
サンプル流用で起きがちな失敗
よくある失敗は3つあります。1つ目は、要求の過剰化です。サンプルにある項目を「あった方がよさそう」と全部残すと、要求が実態より重くなり、見積もりが膨らみます。項目を消す判断こそ、サンプル利用の中心作業です。
2つ目は、矛盾の混入です。とくに、本文と別紙で数字が食い違う形は頻出です。サンプル由来の記述と自社で書いた記述が食い違うと、提案側は安全側(高い方)に見積もるか、質疑で時間を使うことになります。配布前に、金額・期日・範囲に関わる記述だけでも通し読みで照合してください。
失敗を避ける近道は、配布前に第三者(社内の別部署でも構いません)へ通読してもらい、「読んで、提案を書けそうか」を確認してもらうことです。書いた本人には見えない前提の抜けが、読み手にはすぐ見つかります。
3つ目は、機密の扱いです。現状資料を添えるほど提案の精度は上がりますが、配布先の管理(秘密保持の取り交わし、配布資料の回収・破棄条件)をRFPの事務要項に書いておく必要があります。
IPAのRFPサンプルに関するFAQ
IPAのRFPサンプルは無料で使えますか?
IPAのアーカイブページで公開されており、閲覧できます(2026年9月25日確認)。利用にあたっては、資料に記載の利用条件・著作権表記に従ってください。本記事では資料の中身の転載はしていません。
アーカイブ資料を今の発注に使って問題ありませんか?
様式・項目立ての参考としては使えますが、技術環境・契約実務の記述は現在の状況に合わせた書き直しが前提です。契約条件はIPAの現行のモデル取引・契約書を参照し、必要に応じて専門家に確認してください。
RFPは必ず作らないといけませんか?
必須ではありません。規模と複雑さに応じて重さを調整してください。小規模な依頼では、目的・現状・決まっていること・提案してほしいことを1〜2枚にまとめた依頼書でも機能します。重要なのは書式ではなく、判断材料を各社に同じ条件で渡すことです。
RFPの準備段階から一緒に整理できます
ノーコード総研では、ノーコードやAIを活用した業務システムの受託開発をご相談いただけます。「RFPを書ける段階まで要望が固まっていない」という状態でも、業務の現状整理と要望の言語化から一緒に進められます。
発注先の選び方はシステム開発会社のタイプ別比較も参考に、まずは現状の資料を持ってノーコード総研に相談することから始めてみてください。