SE単価の相場に経産省の統計はある?公的データの正しい見方

「SE単価の相場を経済産業省の統計で確かめたい」という検索の答えを先に整理します。

本記事の確認範囲では、システムエンジニアの受託単価(いわゆる人月単価)を直接示す経済産業省の2023年公表統計は特定できませんでした。経済産業省所管でIT関係支出を調べる「情報処理実態調査」はありますが、単価の統計ではなく、最新の公表も平成29年(2017年)調査分です。

2023年(令和5年)の公的データとして実在するのは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の職種別の賃金、つまり給与の統計です。そして、給与と受託単価は別物であり、代用すると見積もりの判断を誤ります。

本記事では、この違いと、発注実務での単価の正しい見方を解説します。

出典:e-Stat・情報処理実態調査、厚生労働省・令和5年賃金構造基本統計調査(いずれも2026年9月25日確認)。

目次

公的統計で分かること・分からないこと

統計所管分かること分からないこと
賃金構造基本統計調査(令和5年=2023年)厚生労働省雇用労働者の職種別・属性別の賃金(給与)受託開発の人月単価・見積もり単価
情報処理実態調査(最新公表は2017年調査分)経済産業省企業のIT活用・IT関係支出の実態職種別のSE単価

「経産省 2023 SE単価」という探し方で見つかる解説記事の多くは、何らかの統計や調査を引用しています。参照する際は、その数字が(1)どの機関の何という調査か、(2)給与なのか受託単価なのか、(3)何年のデータか、の3点を原典で確認してください。この3点が確認できない数字は、見積もりの判断材料にしないことを勧めます。

給与を受託単価に代用してはいけない理由

給与統計を人月単価の目安に使うと、単価を大幅に安く見積もることになります。受託単価には、技術者の給与のほかに、次の要素が含まれるためです。

会社が負担する法定福利費や教育・採用の費用、開発設備やオフィスなどの間接費、営業・管理部門の費用、案件の切れ目に生じる非稼働期間のリスク、そして会社の利益です。さらに、単価は役割(プロジェクト管理・設計・実装・テスト)や求めるスキルによっても変わります。

見積もりの場で内訳が気になる場合は、「この単価にはどの役割・どんな作業が含まれますか」「プロジェクト管理の費用は単価内ですか、別枠ですか」と確認してください。内訳の質問に答えられるかどうかも、発注先を見る材料になります。

つまり「給与の月額」と「人月単価」は、そもそも別の構造を持つ数字です。発注側がこの構造を理解していると、「単価が高い=ぼったくり」でも「単価が安い=お得」でもなく、内訳と体制で評価する見方ができるようになります。

単価が変動する主な要因

同じ「SE1人月」でも、単価は次の要因で変わります。相場を一つの数字で捉えられないのは、この変動要因が多いためです。

第一に、役割とスキルです。要件定義やプロジェクト管理を担う技術者と、実装を担当する技術者では水準が異なります。第二に、契約形態と体制です。常駐か持ち帰りか、チーム一括か個人か、準委任か請負かで、リスクの置き場所が変わり単価にも反映されます。第三に、時期と需給です。技術者の需給は変動するため、同じ会社でも時期により提示が変わることがあります。第四に、地域や商流です。間に入る会社が多い(多重下請の)構造では、現場の技術者に届く金額と発注額の差が大きくなります。見積もりの際、体制図で商流を確認することは、単価の妥当性を見るうえで有効です。

発注実務での単価の見方。単価×工数で総額を見る

見積もりを受け取ったら、単価だけを比較するのではなく、次の順序で見てください。

第一に、総額は「単価×工数」で決まることを押さえます。単価が安くても、工数(人月)が多ければ総額は高くなります。単価の安さで選んだ結果、経験の浅い体制で工数が膨らむのは典型的な失敗です。よくあるつまずきはシステム開発の失敗事例と回避策にまとめています。

第二に、工数の根拠を確認します。「一式◯人月」ではなく、機能・工程ごとの内訳と前提条件(何が決まっている前提か)を出してもらいます。前提が変わったときにどこが増えるのかも、この段階で聞いておきます。第三に、役割・スキルの定義を確認します。同じ「SE」でも、要件定義を主導できる技術者と、指示のもとで実装する技術者では役割が違います。単価表には必ず役割の定義を添えてもらい、自社の案件にどの役割が何人月必要かの根拠を聞いてください。

第四に、単価の適用条件を確認します。契約形態(準委任か請負か)、精算の幅(工数の上下があった場合の扱い)、期間や場所の条件です。単価と契約の関係は準委任契約の成果物と報酬の実務で整理しています。

費用全体の構造(何にいくらかかるのか)はシステム開発費用の内訳を参照してください。

相場情報とどう付き合うか

単価の相場情報を集めること自体は無駄ではありません。ただし、使い方を間違えないための原則を3つ挙げます。

予算の当たりを付ける現実的な方法は、外部の相場表より、自社の過去案件・類似案件の実績です。過去の見積書・契約書から、範囲と体制と金額の組み合わせを整理しておくと、新しい見積もりの妥当性を自社の物差しで判断できます。

第1に、相場は交渉の道具ではなく、予算の当たりを付ける道具として使います。出典の異なる相場を根拠に値下げを迫っても、体制の質が下がるだけで発注側の得になりません。第2に、複数社の見積もりを同じ条件(範囲・体制・契約形態)で取ることが、自社案件にとっての実際の相場になります。第3に、単価の高低より、見積もりの根拠(工数の積算、役割の構成)を説明できる会社かどうかを重視してください。発注先のタイプによる違いはシステム開発会社のタイプ別比較で解説しています。

SE単価の統計に関するFAQ

経済産業省はSE単価の統計を公表していますか?

本記事の確認範囲(2026年9月25日時点)では、SEの受託単価を直接示す経済産業省の2023年公表統計は特定できませんでした。経産省所管の情報処理実態調査は企業のIT支出を調べる統計で、単価の統計ではありません。単価を示すとされる資料を見かけた場合は、原典の機関名・調査名・年を確認してください。

2023年の公的データでSEの収入は分かりますか?

厚生労働省の令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査で、職種別の賃金(給与)が公表されています。ただしこれは雇用労働者の給与であり、受託開発の人月単価とは別の数字です。本記事では具体的な金額は転載していないため、数値はe-Statの原典で確認してください。

結局、SE単価の相場はどう調べればよいですか?

自社案件の条件(範囲・役割・契約形態)をそろえて複数社から見積もりを取ることが、最も実態に近い調べ方です。事前の予算取りには、費用の内訳構造を理解したうえで、出典と年の明確な資料だけを参考にしてください。

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まずは検討中の案件の範囲と予算感を書き出して、ノーコード総研に相談することから始めてみてください。

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