基幹システムの連携とは?異なるシステムを繋げる方法とメリット
企業における基幹システムは、財務や人事、販売、製造などの業務プロセスを管理する重要な役割を担います。しかし、多くの企業では複数のシステムが部門ごとに使われており、これらがうまく連携できないと、情報の重複や入力ミスが起こりやすくなります。
基幹システムの連携は、システム間のデータを自動でやり取りし、二重入力や転記ミスを減らすための取り組みです。本記事では、基幹システムの連携の重要性や、その方法、メリットと課題についてわかりやすく解説します。
基幹システム連携とは?
システム連携とは、販売・在庫・会計・人事など別々のシステムの間でデータを自動でやり取りできるようにすることです。主な方法はAPI連携、データベース連携、バッチ処理連携、EAIの4つです。反映の速さ、扱うデータ量、連携先にAPIがあるかで方法を選びます。正とするデータと、エラーが起きたときの対応を先に決めておくと、運用が安定しやすくなります。
基幹システム連携は、そのうち財務システム、人事システム、販売管理システムなど、企業内の異なるシステムが情報を共有し、データをやり取りできるようにすることです。システム間でデータが自動的に連携することにより、手作業でのデータ入力や確認作業を減らし、業務を効率化できます。
たとえば、販売管理システムと在庫管理システムが連携していれば、商品の受注が入ると在庫数が自動的に更新され、過剰在庫や在庫不足に気づくのが遅れるリスクを減らせます。このように、基幹システムの連携は、部門をまたぐ業務フローをスムーズにするための土台になります。
基幹システム連携の方法
基幹システムの連携にはいくつかの方法があります。代表的な連携方法は以下の通りです。
1. API連携
API(Application Programming Interface)連携は、異なるシステム同士がデータをやり取りするための標準的な方法です。APIを使用すると、リアルタイムに近いタイミングでシステム間の情報を交換でき、データの整合性を保ちながら業務を効率化できます。
たとえば、販売管理システムと会計システムをAPIで連携させると、販売データが会計システムに自動的に反映され、仕訳や帳簿の作成をスムーズに進められます。ただし、連携したいシステムがAPIを公開しているかどうかで、実現できる範囲が変わります。
2. データベース連携
異なるシステムが共通のデータベース、または相手システムのデータベースにアクセスして、情報を交換する方法です。システム間でデータを一元的に扱えるため、最新の情報を参照しやすくなります。一方で、データベースの構造に依存するため、片方のシステムを改修すると連携側の修正が必要になることがあります。
3. バッチ処理連携
バッチ処理とは、定期的にシステム間でデータを一括で転送する方法です。リアルタイムではなく、一定時間ごとにデータを同期させるため、API連携に比べて反映は遅れますが、処理の仕組みが比較的単純で、大量のデータをまとめて扱いやすい点が特徴です。
たとえば、1日に一度、販売システムと在庫システムをバッチ処理で連携させて、在庫情報を一括で更新する方法です。
4. EAI(Enterprise Application Integration)
EAIは、企業内の異なるシステムを統合的に連携させるためのソフトウェアやミドルウェアを使用する方法です。システムごとに個別の連携を作るのではなく、EAIを経由してデータをやり取りするため、連携するシステムが多い場合でも全体を管理しやすくなります。
どの方法を選ぶかは、「データをどのくらい早く反映する必要があるか」「1回に扱うデータ量」「連携先にAPIがあるか」で判断します。即時性が必要な業務はAPI連携、日次の集計で足りる業務はバッチ処理連携というように、業務ごとに使い分けることもできます。
基幹システム連携のメリット
基幹システムの連携にはさまざまなメリットがあります。以下に代表的なメリットを紹介します。
1. 業務の効率化
システム間で自動的にデータを連携できるため、手作業での入力作業が減り、業務が効率化されます。例えば、販売システムと在庫システムが連携していれば、商品の注文情報が自動的に在庫に反映されるため、手作業での在庫確認や調整の手間を減らせます。
2. データの正確性の向上
システム間でデータを同期させることで、情報の重複や誤入力を減らせます。たとえば、販売データが会計システムに自動的に反映されれば、伝票の入力ミスや二重請求が起こりにくくなります。
3. 業務の透明化
異なるシステムが連携して情報を一元的に扱えるようになると、業務データがつながり、経営層や担当者が業務の進捗や成果を把握しやすくなります。これにより、判断に必要な情報を集める時間を短くできます。
4. コスト削減
手作業によるデータの入力やチェック作業が減ることで、業務にかかる人件費や時間を抑えやすくなります。また、システム間でデータが自動で受け渡されることで、誤った在庫発注や発注漏れといったミスが減り、無駄なコストの発生を抑えることにつながります。
5. 迅速な意思決定
システム間での情報共有が円滑に行われることで、経営層や各部門の担当者が最新のデータに基づいて意思決定を行いやすくなります。これにより、市場の変化にも対応しやすくなります。
基幹システム連携の課題
基幹システムの連携を進める際には、いくつかの課題にも対処する必要があります。主な課題は以下の通りです。
1. システム間の互換性
異なるシステムが互いに連携するためには、システム間の互換性を確保する必要があります。特に、古いシステムやカスタマイズされたシステムを使用している場合は、APIが用意されていないなどの理由で連携が難しくなることがあります。
2. データの整合性
システム間でのデータのやり取りにおいて、データのフォーマットや構造が一致しない場合、データが正しく同期されないことがあります。データの整合性を保つためには、事前にコードや項目名などのデータの標準化を行い、どのシステムのデータを正とするかを決めておく必要があります。
3. セキュリティの確保
システム間でデータをやり取りする際には、セキュリティの問題も考慮する必要があります。通信の暗号化やアクセス権限の設定など、データが外部から不正にアクセスされないための対策を講じることが重要です。
これらの課題への対応範囲によって、連携にかかる費用や期間は大きく変わります。社内で対応するか開発会社に依頼するかを判断する前に、システム開発の費用相場で規模や開発方式ごとの目安を確認しておくと、見積もりを比べやすくなります。
人事・勤怠・給与のように連携先が多い領域では、既存の会計システムや勤怠タイムレコーダーとのつなぎ方を先に決めておくと、二重入力を減らしやすくなります。人事領域の構築方法は人事基幹システムの機能・費用とBubble受託開発で自社仕様を実現する方法で解説しています。
連携方式を選んだあとに、集約・データ連携・全面刷新のどれで統合を進めるかや、費用・補助金の確認項目を整理したい場合は、基幹システム導入とシステム統合のメリット・費用・選び方をご覧ください。
銀行のように全銀システムなど外部の決済基盤と各行のシステムが接続する業種では、連携の構成がさらに複雑になります。その中核となる仕組みは、銀行基幹システムの役割と重要性で解説しています。
業種によって連携先と正本の決め方は変わります。小売業でPOS・EC・在庫・会計をつなぐ具体的な構成は、小売業の基幹システム連携の構成と導入ポイントで解説しています。
連携エラー・障害に備えて決めておくこと
システム連携は、つないだ後の運用で安定性に差が出ます。通信の不具合や連携先の停止、データ形式の違いなどにより、連携が失敗することがあります。エラーが起きてから担当や手順を決めるのではなく、連携を始める前に決めておくことが大切です。
1. エラーの通知先と対応する担当を決める
連携が失敗したときに、誰へ通知が届き、誰が原因を確認して修正するかを決めておきます。社内の情報システム担当、データを使う業務部門、連携を作った開発会社、連携先のベンダーなど、関係者が多いほど対応は遅れやすくなります。原因が自社側か連携先側か分からない段階で、最初にどこへ連絡するかも決めておくと、担当者間の連絡漏れを防げます。
2. 失敗したデータの再処理と二重登録の防止
連携に失敗したデータは、原因を直したあとに再処理(再送)が必要です。どのデータが失敗したかを記録から確認できるようにし、再送の手順を決めておきます。注意したいのが二重登録です。一部だけ反映された状態で再送すると、同じ受注や仕訳が二重に登録されることがあります。受注番号などの重複しない番号で登録済みかを確かめてから再処理する手順にしておくと、二重登録を防ぎやすくなります。
3. 連携が止まったときの代替手段を決める
連携先のシステムが停止したり、通信の不具合が続いたりすると、自動連携に頼っている業務が止まります。手入力で一時的に対応するのか、CSVなどのファイルを取り込んで反映するのか、代わりの方法と切り替えを判断する人を決めておきます。復旧後に、代替手段で入力したデータと連携で届いたデータが重ならないよう確認する手順もあわせて決めておきます。
4. 連携先の仕様変更時に再確認する
連携先のシステムがバージョンアップやAPIの仕様変更を行うと、それまで動いていた連携が動かなくなることがあります。連携先からの変更のお知らせを誰が受け取り、影響を確認するかを決めておきます。自社のシステムを改修するときも、連携している項目に影響がないかを確認する工程を入れておくと、誤ったデータが流れ続けるのを防げます。
連携の運用前チェック表
連携を始める前に、次の項目を関係者で確認しておきます。
| 確認項目 | 決めること | 主な担当 |
|---|---|---|
| 正とするデータ | 同じ項目が複数のシステムにあるとき、どの値を正とするか | 業務部門と情報システム担当 |
| エラー通知先 | 失敗を誰に知らせ、誰が原因を確認するか | 情報システム担当 |
| 再処理の手順 | 失敗データの再送方法と二重登録を防ぐ確認方法 | 情報システム担当と開発会社 |
| 連携停止時の代替手段 | 手入力やファイル取込への切り替え方と判断する人 | 業務部門 |
| 仕様変更時の再確認 | 連携先や自社システムの変更時に影響を確かめる手順 | 情報システム担当と連携先ベンダー |
| アクセス権限 | 連携に使うアカウントの権限の範囲と管理する人 | 情報システム担当 |
よくある質問
APIがない古いシステムとは連携できませんか?
APIがないシステムでも、連携できる方法はあります。たとえば、CSVなどのファイルを書き出して定期的に取り込むバッチ処理連携、システムのデータベースからデータを読み書きするデータベース連携、複数のシステムの間をEAIで仲介する方法です。ただし、ファイルを書き出せるか、データベースにアクセスできるかは連携先の仕様によって異なります。実現できる範囲は、連携先の仕様を事前に調べたうえで判断する必要があります。
システム連携は社内で進めるべきですか、それとも開発会社に依頼すべきですか?
判断の目安は、連携先の数、連携先にAPIがあるか、連携後に保守できる体制が社内にあるかの3つです。連携先が少なく、APIが公開されていて、仕組みを理解して保守できる担当者が社内にいる場合は、社内で進める選択肢もあります。連携先が多い場合や、APIのない古いシステムを含む場合、社内に保守の担当者を置けない場合は、開発会社に相談すると要件の整理から進めやすくなります。費用の目安は、システム開発の費用相場の記事で規模や開発方式ごとに確認できます。
まとめ
基幹システムの連携は、業務の効率化やデータの正確性の向上につながる取り組みです。API連携やEAIなどの方法で異なるシステムを連携させることで、二重入力や転記ミスを減らし、業務を円滑に進めやすくなります。自社に合った連携方法を、反映の速さ・データ量・連携先の仕様から選び、課題への対策とあわせて計画することが大切です。
あわせて、エラーが起きたときの担当や再処理の手順、連携が止まったときの代替手段を、連携を始める前に決めておくと運用が安定しやすくなります。
基幹システム連携の方法と特徴を、以下の表にまとめます。
| 連携方法 | 特徴 | 主なメリット |
|---|---|---|
| API連携 | 異なるシステム間でデータをリアルタイムに近いタイミングで交換 | 即時性の高いデータ共有、柔軟性 |
| データベース連携 | 共通または相手側のデータベースで情報を扱う | 一元的なデータ管理、最新情報を参照しやすい |
| バッチ処理連携 | 定期的にデータを一括転送 | 仕組みが比較的単純、大量データを扱いやすい |
| EAI連携 | 異なるシステムを統合的に連携 | 連携先が多くても全体を管理しやすい |
システム連携で大切なのは、どのデータを正とし、どこへ自動で反映させるかを決めることです。当社では、外部の公開マスタと品目情報を同期し、正確な情報をもとに出品・検索・購入まで一つの窓口で完結できるBtoB取引プラットフォームの開発を支援しています。連携させるデータを整理する段階からご相談いただけます。
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