CRM シェア【2026年版】国内・世界の市場動向と選び方
はじめに
CRMのシェアは、調査対象と指標をそろえて読むことが大切です。 世界の売上シェアと国内アンケートの回答割合は、同じ製品名が並んでいても意味が異なります。数字の大きさだけで選ぶと、自社の規模や業務に合うかを見落としてしまいます。
2026年時点で確認できるデータでは、IDC調査を引用したSalesforceの公式発表は、2025年の世界CRM市場で同社のシェアを20.0%としています。一方、BOXILが2025年に実施した国内の導入関与者調査では、Salesforceの営業支援製品への回答は38.82%でした。出典と調査条件は後述の表で確認できます。
この差をそのまま「日本では世界の約2倍普及している」とは解釈できません。前者は売上、後者は人の回答を集計したもので、対象範囲も違うからです。また、市場規模が拡大していても、個々の製品の導入効果や自社の売上増加を保証するわけではありません。
この記事では、国内・世界のCRMシェアと市場規模を、調査年・母数・出典とともに整理します。各社が公表している利用企業数や、業種ごとの導入動向、企業がCRMに期待する効果も取り上げます。自社の選定資料へ引用できる条件を押さえたうえで、候補製品をどう試し、既製CRMと個別開発をどう使い分けるかまで解説します。
CRM シェアの定義と比較条件

シェアは、一定の市場や調査対象のうち、特定の企業・製品が占める割合です。売上ベースと回答者ベースでは分母が異なるため、別々の表として読む必要があります。利用社数も、各社が公表する累計導入数を集めるだけでは市場シェアになりません。
| 指標 | 分母・比較対象 | 読み取れることと限界 |
|---|---|---|
| 売上シェア | 同じ調査定義の市場売上総額 | 事業規模の位置づけ。導入企業数や満足度とは別 |
| 利用社数ベース | 同じ条件で数えた市場全体の利用企業数 | 普及状況。無料・有料、累計・稼働中、法人・部署の数え方を確認 |
| 回答者ベース | 調査に回答した人の数 | 対象者の利用・導入傾向。全国の全企業を数えたものではない |
| 導入率 | 調査対象企業などの総数 | CRMを導入した割合。特定製品のシェアとは別 |
比較するときは、調査年、地域、企業規模、対象機能も確認します。営業管理だけの集計と、マーケティングや顧客対応まで含む集計では順位が変わり得ます。管理したい業務の範囲が曖昧なら、SFAとCRMの違い・選び方から整理すると候補を絞りやすくなります。
国内・世界のCRMシェア

世界:IDC調査に基づくSalesforceの売上シェア
Salesforceは2026年6月4日の発表で、IDCの調査における2025年の世界CRM市場シェアを20.0%と公表しています。これはSalesforceというベンダーの位置づけで、営業支援製品単体の数字ではありません。
| 公開確認できるベンダー | 2025年の世界売上シェア | 調査 |
|---|---|---|
| Salesforce | 20.0% | IDC Worldwide Semiannual Software Tracker, April 2026 |
地域は世界、分母はIDCが定義するCRM市場の売上です。営業管理、マーケティング、顧客サービス、コンタクトセンター、広告、デジタルコマースを含みます。出典はSalesforce公式発表および売上ベースの説明、確認日は2026年10月27日です。
この表は、公式発表で確認できる最新値の抜粋です。他社の古い年の割合を混ぜた全社ランキングではありません。世界規模での事業の大きさを判断する材料として使い、自社で必要な機能や運用負担は別に評価してください。
国内:BOXILの導入関与者アンケート
国内の利用傾向を知る参考として、BOXILの独自調査があります。対象は、CRMツールの導入に携わった全国20〜60代の男女1,829人です。以下は「導入したCRMツール」への回答割合で、企業売上シェアではありません。
| 製品名(出典の表記) | 回答割合 |
|---|---|
| Agentforce Sales(旧Sales Cloud) | 38.82% |
| Sansan | 16.13% |
| esm(eセールスマネージャー) | 11.21% |
| kintone | 7.33% |
| HubSpot | 6.40% |
調査地域は日本、調査日は2025年2月7〜8日、方法はインターネット調査、母数は上記1,829人です。出典:BOXIL「CRMツールの市場シェア」、確認日:2026年10月27日。上位5製品の抜粋であり、丸めの影響もあります。
顧客管理システムのシェアとして引用する際も、「国内導入関与者アンケート」と添えると誤解を防げます。回答者数を導入企業数に読み替えたり、この表だけから中小企業向けの適性を断定したりすることはできません。
各社が公表している利用企業数
シェアとは別に、CRMベンダーの多くは自社製品の利用企業数を公表しています。どれくらいの企業が使っているかを知る手がかりになりますが、数え方は各社で異なります。以下は2026年10月27日に各社の公式情報で確認できた値です。
| 製品(提供会社) | 公表されている値 | 基準時点・数え方 | 出典 |
|---|---|---|---|
| HubSpot(HubSpot) | 306,446顧客 | 2026年6月30日時点。有料顧客数で、CRM以外の製品も含む全体の値 | 2026年第2四半期決算発表 |
| Zoho CRM(Zoho) | 世界30万社以上 | 公式製品ページの表記。基準日の記載なし | Zoho CRM公式サイト |
| kintone(サイボウズ) | 42,000社以上 | 2026年6月24日付の公式ニュースの表記。基準日の記載なし | サイボウズ公式ニュース |
| eセールスマネージャー(ソフトブレーン) | 導入実績6,000社突破 | 2026年6月18日発表。累計導入社数 | ソフトブレーン公式リリース |
| Mazrica Sales(旧Senses、マツリカ) | 利用社数4,000社 | 公式製品ページの表記。基準日の記載なし | Mazrica Sales公式サイト |
HubSpotは無料のCRMも提供していますが、上の値は有料顧客の数です。eセールスマネージャーは累計の導入社数で、現在も使っている企業の数とは限りません。このように、累計か稼働中か、有料か無料を含むか、製品単体か会社全体かが違うため、表の数字を並べて順位を付けることはできません。
それでも、どの製品も数千社から数十万社の規模で使われており、CRMが大企業だけの道具ではなくなったことは読み取れます。候補を絞る段階では、自社と同じ規模・業種の企業がどれくらい使っているかを、各社の導入事例で確かめると参考になります。
CRM市場規模と成長要因

国内市場と世界市場の予測を分けて読む
国内では、矢野経済研究所の2026年版調査資料に、2025年のCRM/SFA市場が3,232億円、前年比15.8%増と掲載されています。事業者売上高を扱う市場調査であり、顧客管理システムを利用する企業の割合ではありません。確認日は2026年10月27日です。
世界市場については、Fortune Business Insightsがソフトウェアとサービスを含むCRM市場を推計しています。国内CRM/SFA市場とは範囲が違うため、両者を割り算して日本の構成比を算出する用途には適しません。
| 対象年 | 世界CRM市場規模(米ドル) | 数値の位置づけ |
|---|---|---|
| 2025年 | 1,129.1億米ドル | 基準年の市場推計 |
| 2026年 | 1,261.7億米ドル | 予測期間の開始年 |
| 2034年 | 3,209.9億米ドル | 将来予測 |
予測主体はFortune Business Insights、対象地域は世界、対象はCRMのソフトウェア・サービスです。CRM市場規模の予測における年平均成長率(CAGR)は、2026〜2034年で12.40%です。出典:同社市場レポート(2026年10月5日更新)、確認日:2026年10月27日。円換算はしていません。
予測は将来の確定値ではありません。社内資料に使う場合は「2026年版」という記事の年だけを記載せず、対象年と予測期間を併記してください。売上シェアを別の調査会社の市場規模に掛けて、ベンダー売上を推算することも避けましょう。
SaaS化とAI活用がデータ整備を促す
市場拡大の背景には、クラウドへの移行と顧客データ活用があります。矢野経済研究所は、AI活用を前提としたデータ整備や、利用部門の拡大をCRM/SFA市場の動向として挙げています。機能追加だけでなく、部門をまたいで情報を使うための整備が論点です。
同研究所の法人アンケートは、2024年6〜10月に国内民間企業453社を調査し、2025年5月に公表されました。CRM・SFAのSaaS利用割合は2016年調査比で39.6ポイント増え、新規導入・更新計画がある企業では35.3%が次回SaaSを予定しています。確認日は2026年10月27日です。
これはCRM全体の導入率ではなく、導入形態の調査です。SaaS化が進んでも、顧客名の重複、担当者の不在、更新されない商談状況は自動では解決しません。AIや自動化を検討する企業ほど、まず誰が情報を登録し、修正するかを決める必要があります。
CRMの導入が広がる3つの背景
CRMを使う企業が増えている理由は、ひとつではありません。主な背景は次の3つです。
- 顧客との接点が増えた:電話・メール・Webフォーム・SNS・チャットなど、問い合わせの経路が増え、担当者ごとに履歴が散らばりやすくなりました。経路をまたいで対応履歴をまとめる仕組みとしてCRMが使われます。
- 営業・マーケティングを数字で管理したい:担当者の経験に頼る営業から、商談数や受注率などの指標で進捗を見る運用へ移る企業が増えています。CRMはその指標を集める土台になります。
- クラウド型CRMが選びやすくなった:サーバーを自社で用意せず、月額課金で小さく始められる製品が増えました。前述の矢野経済研究所の調査でも、SaaSでの利用割合が大きく伸びています。
2020年以降はリモートワークやインサイドセールスが広がり、オフィスの外からでも同じ顧客情報を見られることが求められるようになりました。紙やExcelのファイルを共有するだけでは、更新の競合や最新版の取り違えが起きやすく、CRMを検討するきっかけになっています。
中小企業でも導入が進む理由
以前は、CRMは専任のIT部門を持つ大企業が使うものという印象がありました。現在は、中小企業でも導入を検討しやすい条件がそろっています。
- 少人数・小さなプランから始められるクラウド型CRMが増えた
- ノーコード/ローコードで、項目や画面を自社向けに変えやすくなった
- ベンダーの導入支援やオンラインの学習資料が充実し、社内に専任のIT人材がいなくても運用を始めやすい
- Excelで管理してきた顧客台帳の限界(同時編集・履歴・権限)を解消したい企業が多い
料金は製品やプラン、ユーザー数、契約期間で大きく変わります。比較するときは月額の安さだけでなく、税抜・税込、年払いか月払いか、最低契約ユーザー数、初期費用をそろえてから比べてください。中小企業では、経営者自らがCRMの導入を主導し、営業の見える化と顧客対応の引き継ぎを同時に進めるケースも少なくありません。
業種別のCRM導入動向と活用の考え方
CRMに求める機能は、業種によって変わります。同じ「顧客管理」でも、法人営業の案件管理と、店舗の会員管理では重視する点が異なるためです。以下は業種ごとに重視されやすい機能の傾向です。
| 業種 | CRMで重視されやすいこと | 選定時に確かめたい点 |
|---|---|---|
| IT・Web系 | MAとの連携、API連携、問い合わせから商談までの追跡 | 既存のMA・チャット・請求システムとつなげられるか |
| 製造業 | 代理店・商社経由の案件管理、ルート営業の訪問記録 | 取引先の階層(代理店・エンドユーザー)を表現できるか |
| 不動産業 | 物件ごとの案件ステータス、反響対応の速さ、SMS・LINEでの連絡 | 反響の取り込みと追客の自動化ができるか |
| 医療・福祉 | 利用者情報の管理、フォロー履歴、厳格なアクセス権限 | 個人情報の扱いと権限設定が要件を満たすか |
| 小売・飲食 | 会員情報、購買・来店履歴、LINEなどでの配信 | POSや予約システムのデータと統合できるか |
| 教育・士業 | 顧客ごとの対応履歴、期限管理、担当者間の共有 | 案件と書類・期限をひもづけて管理できるか |
業種向けのテンプレートを用意しているベンダーもありますが、同じ業種でも商流や担当体制は企業ごとに違います。シェアや業種での採用例は入口にとどめ、自社の業務フローを再現できるかで判断することが大切です。業種ごとの具体的な使い方は、業種別のCRM活用事例と選び方で詳しく解説しています。
業種特有の管理項目や、既存の基幹システムとの連携がパッケージで足りない場合は、既製CRMを中心にしながら、足りない部分だけを業務アプリで補う方法もあります。当社では、こうした業種固有の業務に合わせた顧客管理の仕組みづくりを支援できます。
企業がCRMに期待する効果と導入理由
CRMを導入する企業が期待する効果として、よく挙がるのは次のような項目です。
- 顧客対応の属人化をなくし、担当者が替わっても対応を引き継げるようにしたい
- 営業の進捗や案件の状況を、管理者がリアルタイムで見られるようにしたい
- 顧客満足度を高め、LTV(顧客生涯価値)を伸ばしたい
- 過去の接点や対応履歴を、営業・サポート・経理などの部門で共有したい
- 問い合わせから受注までの手順を標準化し、定型作業を自動化したい
これらの課題に応えるため、CRMは単なる顧客台帳ではなく、営業の進め方や経営判断の材料として使われるようになっています。顧客管理システムの導入目的を先に決めておくと、どの指標を見て、どの機能が必要かを判断しやすくなります。
利用が広がっているCRMに共通する特徴
多くの企業に使われているCRMには、次のような共通点が見られます。
- クラウド型で、初期費用を抑えて始めやすい
- 画面がわかりやすく、現場の教育に時間がかかりにくい
- Googleのツール、Slack、MAツールなどとの外部連携が充実している
- 営業・マーケティング・カスタマーサポートの部門間で情報を共有しやすい
- ベンダーのサポートや導入支援、利用者コミュニティが整っている
とくに「自社の業務に合わせて変えられる柔軟性」と「現場が迷わず入力できる使いやすさ」は、導入の判断で重視されやすい点です。機能の多さよりも、毎日の入力が続くかどうかが定着を左右します。
シェア上位のCRMを選んでも失敗するケース

失敗につながりやすいのは、製品を決めてから入力ルールや責任者を考える進め方です。たとえば商談管理だけを始めたいのに、初期段階から詳細な顧客属性や分析項目まで必須にすると、入力が追いつかなくなることがあります。
権限とデータの管理責任も導入前に確認します。営業、経理、外部パートナーに同じ情報を見せてよいとは限りません。ExcelとCRMの両方を更新する運用が残れば、どちらが正しい情報なのか分からなくなります。
費用では、ライセンスに加えて移行、連携、教育、保守まで見積もります。既製品に固有業務を合わせにくい場合、補助アプリを作る選択肢もありますが、その分だけ管理や連携の責任は増えます。当社では、業務要件の整理とBubbleによる業務システム開発を支援できます。標準CRMに残す業務と、個別に作る範囲を相談いただけます。
成果を出している企業に共通する3つのポイント
反対に、CRMで成果を出している企業には、次の3つの共通点が見られます。
- 目的が数値で決まっている:「問い合わせ件数」「商談化率」など、何をどこまで伸ばすかを導入前に決めている
- 運用体制が整っている:入力や項目変更の責任者を置き、操作マニュアルや入力ルールを用意している
- データを使う習慣がある:定例の会議でCRMのレポートを見て、施策の見直しにつなげている
CRMは導入しただけでは成果につながりません。入れた後に使い続け、データをもとに改善を回すことが、継続的な成果につながります。
シェアを製品選定に使う方法

シェアは候補探しに使い、試用では自社の実務を再現します。比較資料には次の6項目をそろえると、知名度と業務への適合性を分けて判断できます。
| 判断軸 | 候補製品で確かめること |
|---|---|
| 用途 | 営業案件、顧客対応、名刺情報など、最初に改善したい業務を処理できるか |
| 既存環境 | Excel・会計・予約・ECなどのデータを移行し、必要な運用を残せるか |
| 権限 | 部門・担当者・外部委託先ごとに閲覧や変更を制御できるか |
| 連携 | 必要なプラン、APIの制約、更新頻度、障害時の復旧方法を確認できるか |
| 運用 | 入力担当、管理者、教育、項目変更の責任者を決められるか |
| 費用 | 税区分、支払方法、最低契約数をそろえ、移行・教育・保守まで比較できるか |
たとえば、営業案件は既製CRMで管理し、見積承認や契約後の進行管理だけを補助アプリへ分ける構成が考えられます。反対に、標準機能で業務が回るなら、個別開発を増やす必要はありません。連携が複雑な場合は、どのシステムを顧客情報の正本にするかを先に決めます。
顧客接点がLINE中心なら、営業管理のシェアだけでは判断できません。会話と顧客情報をどう対応づけるかは、LINE顧客管理とCRM連携の考え方も参考になります。
同じ業務を各候補で試すことが、選定の比較条件をそろえます。 サンプルの顧客登録から担当変更、対応履歴の確認、集計までを現場担当者に操作してもらい、手作業が残る箇所を記録してください。
候補を試すときは、導入後にどの数字を誰が見るかも比べておくと、分析機能の過不足に気づきやすくなります。指標やダッシュボードの決め方は「顧客管理 分析」の記事で整理しています。
まとめ
CRMのシェアを読む際は、数字より先に分母を確認します。世界売上シェア、国内回答者調査、導入企業数、導入率はそれぞれ異なる情報です。市場規模についても、CRM/SFAとCRMのソフトウェア・サービスでは対象が違います。調査条件を明記すると、社内で同じ前提を共有できます。
各社が公表する利用企業数を見ると、CRMは数千社から数十万社の規模で使われており、業種や企業規模を問わず導入が進んでいます。ただし、業種によって重視する機能は異なり、利用企業数の多さが自社への適合を示すわけではありません。
候補を決めたら、用途、既存環境、権限、連携、運用、費用をそろえて比較しましょう。市場での普及状況は参考になりますが、毎日の入力や引き継ぎが無理なく続くかは、自社の業務で確かめる必要があります。
まず現在の顧客情報の保存先と更新担当者を書き出し、改善したい業務を絞ってください。既製CRMに合わせる範囲と、自社固有の仕組みが必要な範囲が見えてきます。当社では、顧客管理や周辺業務の要件整理からノーコード開発までご相談いただけます。

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