福祉事業者向けAI補助金まとめ|導入メリットと申請ポイントを解説
はじめに
福祉事業者がAI補助金を選ぶときは、法人種別と施設の指定を先に確認します。 社会福祉法人が対象になる国制度はありますが、福祉サービスを提供していれば全制度を利用できるわけではありません。介護保険の事業所と障害福祉の事業所では、申請窓口や対象機器も異なります。
記録の転記や申し送り、夜間の見守りに負担を感じても、最初から高額なシステムを選ぶ必要はありません。現場で減らしたい作業を決め、登録済みソフトで対応できる部分と、自社専用の開発が必要な部分を分けることが制度選択の出発点です。
この記事では、国の制度と東京都・大阪府の介護向け制度を比べ、対象施設、受付状況、補助額の条件を整理します。制度情報の確認日は2026年9月27日です。東京都の事業計画受付と大阪府の事前エントリーは終了しているため、現在も新規申請できる制度として扱わないでください。
また、補助率だけで自己負担を判断すると、対象外経費や導入後の利用料を見落とします。採択の有無にかかわらず継続できる予算と、現場で使い続けられる運用をセットで検討しましょう。国制度の対象可否から確認したい方は全体像へ、施設所在地の制度を確認したい方は自治体の項目へ進んでください。
導入計画をまとめる際は、施設長だけでなく記録を入力する職員や請求担当者にも使い方を確認しましょう。同じ法人内でも、拠点ごとに通信環境や既存ソフトが異なる場合があります。法人全体の予算と事業所ごとの対象範囲を分けて整理すると、見積もりの依頼先にも必要な条件を伝えやすくなります。
福祉分野でのAI導入メリットと現状の課題

AI導入の狙いは、職員が確認・支援に使える時間を確保することです。音声から記録案を作る、申し送りを整理する、見守り情報から確認が必要な場面を知らせる、といった使い方が考えられます。
一方、誤認識の修正や通知の確認が増えると、負担が別の作業へ移ることもあります。AIの出力は職員が確認する運用を前提に、導入前後で記録時間と修正の手間を測りましょう。利用者の状態や個人情報を扱うため、入力範囲・閲覧権限・保存先も要件に含めます。
福祉事業者が使えるAI補助金の全体像

厚生労働省の福祉向けAI関連補助金と自治体の窓口
介護分野では「介護テクノロジー導入支援事業」などの枠組みを確認します。旧来の介護ロボットとICTの説明だけで判断せず、所在地の年度別要綱を見てください。厚生労働省の介護分野の案内が確認の入口です(確認日:2026年9月27日)。
障害福祉のみの事業所は、介護保険事業所向けの募集にそのまま申請できません。厚生労働省の障害福祉分野の案内と、指定権者の募集要領を別に確認します(同日確認)。法人名だけでなく事業所のサービス種別で分けることが重要です。
中小企業向けAI補助金は福祉法人の種類で対象が異なる
既製ソフトを導入する場合は、デジタル化・AI導入補助金2026の通常枠を確認します。社会福祉法人・医療法人は常時使用する従業員300人以下が規模要件です。株式会社等は業種別、NPO法人は主たる業種の従業員規模などで判定します。規模以外の要件もあります(申請対象者、2026年9月27日確認)。
| 通常枠の項目 | 条件・対象範囲 |
|---|---|
| 補助額 | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満。4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
| 補助率 | 原則1/2以内。所定の低賃金雇用要件を満たす場合は2/3以内 |
| 対象経費 | 登録ソフト購入費、クラウド利用料最大2年分、対象となる導入設定・研修等 |
| 対象外との切り分け | 未登録ツールや自社専用の受託開発を一律に対象とはできない。汎用プロセスのみの申請は不可 |
| 5次締切 | 2026年9月29日17時。交付決定は11月9日予定 |
出典:通常枠の公式案内、事業スケジュール(確認日:2026年9月27日)。2/3以内の条件は、2024年10月~2025年9月のうち3か月以上、2025年度改定の地域別最低賃金未満の従業員が全体の30%以上であることです。
新事業の開発なら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金も別途検討します。これは旧ものづくり補助金の「DX枠」という案内ではありません。革新的新製品・サービス枠では、単なる既存業務の改善は対象外です(公式概要、2026年9月27日確認)。
| 法人・事業の条件 | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金での扱い |
|---|---|
| 社会福祉法人・医療法人 | 社会福祉法人は公募要領の対象者区分に含まれず、医療法人は対象外。福祉法人一般に利用可能とは案内できない |
| 株式会社等 | 業種別規模、事業内容、賃上げ等の要件を満たす場合に検討 |
| NPO法人 | 従業員300人以下、収益事業実施、認定NPO以外、中小企業一般の振興に直結する活動、交付申請までの経営力向上計画認定等が必要 |
| 革新的新製品・サービス枠の上限 | 従業員数により750万~2,500万円。賃上げ特例は850万~3,500万円。下限100万円 |
| 同枠の対象経費・補助率 | 機械装置・システム構築費が必須。クラウド利用費等も対象区分あり。中小企業は原則1/2、小規模・再生事業者は2/3 |
| 第1回応募受付 | 2026年9月30日~10月30日18時。確認日時点では応募受付前 |
出典:第1回公募要領・対象者と経費、公式の応募案内(確認日:2026年9月27日)。特例・除外要件まで照合してください。
自治体独自の福祉事業者向けAI補助金

東京都:次世代介護機器導入促進支援事業
2026年度の事業計画受付は終了しています。対象は都内の介護保険法に基づく介護施設・事業所です。社会福祉法人が運営していても、障害福祉サービスのみの施設まで含む制度ではありません。養護・軽費老人ホームは別途案内の扱いも確認してください。
| 東京都の項目 | 2026年度の内容 |
|---|---|
| 事業計画受付 | 7月1日~8月7日、受付終了 |
| 対象経費 | 次世代介護機器の導入、見守り機器と通信環境の一体整備等 |
| 導入支援事業の補助基準額 | 1台当たり37万5千円、移乗介護・入浴支援は125万円。補助率4/5。基準額は交付額そのものではない |
| パッケージ型 | 法人合計の補助基準額1,250万円、補助率4/5。見守り機器と通信環境の一体整備、過年度受給歴等の条件あり |
| 契約時期 | 内示日の翌日以降。内示前の購入等は対象外 |
出典:東京都福祉保健財団・次世代介護機器導入促進支援事業掲載の2026年度概要・交付要綱(確認日:2026年9月27日)。導入推進事業には別の基準額・研修等の条件があります。補助基準額と補助率を分けて読むことで、自己負担の見積もり違いを防げます。
大阪府:介護テクノロジー導入支援事業補助金
2026年度の事前エントリーは終了しています。対象は府内の介護保険法に基づくサービス事業所と、老人福祉法に基づく養護・軽費老人ホームです。障害福祉のみの事業所は、この介護向け募集とは分けて確認します。
| 大阪府の項目 | 2026年度の内容 |
|---|---|
| 事前エントリー | 5月25日17時~7月13日17時、受付終了。交付申請は選定された事業所向け |
| 補助率 | 導入費の4/5 |
| 機器の補助上限 | 原則1台30万円。移乗支援・入浴支援・介護業務支援のインカムは1台100万円 |
| 介護ソフトの補助上限 | 最大250万円。契約方法・職員数で変動。付帯する通信環境・端末導入には15万円上乗せの条件あり |
| パッケージ型の補助上限 | 合計1,000万円。対象テクノロジーの連動等が条件 |
| 主な要件 | セミナー受講。居宅介護支援・居宅サービスは年度内のケアプランデータ連携実績等が必要 |
出典:大阪府の公募ページ、事業リーフレット(確認日:2026年9月27日)。ソフトは記録・情報共有・請求の一気通貫などの機能要件も確認します。
制度の候補を絞ったら、既製ソフトで足りるか個別開発が必要かを整理します。システム開発で使える補助金の選び方も参考にしてください。福祉以外も含む制度比較はAI導入で使える補助金の比較で確認できます。
福祉施設がAI補助金申請で押さえるべきポイント

申請前に、対象者・対象経費・着手時期を別々に確認します。 対象法人でも、選んだ製品や契約日が条件に合わなければ補助対象になりません。東京都の内示と国制度の交付決定など、手続きの基準日は制度ごとに確認してください。
- 法人種別、従業員数、事業所の指定、所在地を整理します。
- 記録や申し送りの作業を測り、改善したい課題を選びます。
- 登録番号・機能・見積内訳を事業者に確認します。
- 契約可能日、実績報告、支払期限から導入日程を組みます。
効果は他施設の数値を借りず、自施設で測った時間を基準にします。見積もりはソフト、機器、連携、研修、保守を分け、同じ経費を複数制度で重複申請しないよう窓口へ確認しましょう。
AI補助金導入後の注意点と運用のポイント

導入後は、機器の使用実態と報告に必要な証憑を残します。職員が入力し、責任者が確認し、障害時には代替手順へ切り替えられる流れを決めておくと、担当者の異動にも対応しやすくなります。
独自の連携が必要な場合も、補助対象と開発上の必要性は別に判断します。 当社では記録から確認までの業務を整理し、既製品とノーコード開発の役割を検討できます。開発できることを、そのまま補助金の対象になることとは説明しません。
まとめ
福祉事業者向けのAI補助金は、法人種別、施設の指定、所在地、導入内容の順で候補を絞ると判断しやすくなります。社会福祉法人に利用余地がある制度でも、人数や事業所の条件を満たす確認が必要です。株式会社やNPO法人にも、それぞれ別の基準があります。
登録ソフトを導入したいのか、見守り機器を整備したいのか、新サービスを開発したいのかで、選ぶ制度は変わります。補助上限の大きさだけで決めず、現在の課題を解決できる機能と、継続して負担できる費用から判断してください。
東京都と大阪府の掲載制度は、2026年度の新規受付が終了している段階です。次の募集を見据える場合も、今年度と同じ条件で実施されるとは限りません。現行の要綱を参考に準備し、募集が案内された時点で対象経費と契約時期を改めて照合しましょう。
申請に向けた最初の作業は、現場の記録や申し送りを一つ選び、どこで二重入力や確認待ちが起きているかを書き出すことです。製品の機能表を見る前に課題を共有しておけば、必要な機器と不要な機能を分けやすくなります。
同じように記録業務や情報共有の負担に悩んでいる場合は、ノーコード総合研究所へご相談ください。要件整理から申請可否の切り分け、ノーコード開発の見積もりまで相談できます。採択や費用削減、導入成果を保証するものではありません。まずは施設種別と現在の業務、困っている作業を共有いただき、導入の進め方を一緒に検討します。

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