勤怠管理システム 効率化【2026年版】基本機能・メリット・料金・導入手順
はじめに
勤怠管理を紙、タイムカード、Excelで続けている企業では、月末の集計、打刻漏れの確認、残業時間のチェック、給与計算用データの作成に多くの時間がかかります。担当者が慣れているうちは何とか回りますが、拠点が増える、アルバイトやシフト勤務が増える、在宅勤務が混ざると、確認すべき例外が一気に増えます。その結果、人事・総務に負荷が集中し、修正依頼や給与計算の差し戻しも起きやすくなります。
勤怠管理システムで効率化を進めるときに重要なのは、打刻をデジタル化することではなく、勤怠データを一本につなぐことです。 出退勤、休憩、残業、深夜勤務、有給、シフト、申請承認、給与計算前の集計までを同じデータで扱えば、現場の二重入力と管理側の照合作業がなくなります。勤怠データが最初から正確に集まる設計にできれば、月次処理だけでなく、労務リスクの早期発見や人員配置の見直しにも使えます。
2026年9月時点では、クラウド型の勤怠管理システムは1人あたり月額300円(税抜)前後から検討でき、中小企業でも導入しやすくなっています。一方で、料金体系、対応できる勤務形態、給与ソフトとの連携、承認フロー、打刻方法はサービスごとに違います。本記事では、勤怠管理システムの基本と主な機能、導入メリット、法令対応、クラウドとオンプレミスの違い、公式料金と選び方、導入手順、失敗しやすいパターン、SaaSだけでは合わない場合のノーコード活用まで、実務目線で整理します。
勤怠管理システムとは?基本の仕組み

勤怠管理システムとは、社員やアルバイトの出勤・退勤、休憩、有給休暇、残業などをデジタルで記録・集計する仕組みです。人事・総務部門が就業状況を正確に把握し、労働基準法に沿った管理を行うための基盤になります。
| 打刻方式 | 特徴 | 向いている職場 |
|---|---|---|
| PC・スマホ | 追加機器なしで始められる。GPSで打刻位置を残せるものもある | オフィス、在宅勤務、外回り |
| ICカード | 社員証や交通系ICをかざすだけで打刻できる | 店舗、工場、受付がある拠点 |
| 指紋・静脈認証 | 本人確認ができ、代理打刻を防げる | 工場、医療・介護施設 |
| 顔認証 | 非接触で打刻でき、手がふさがっていても使える | 飲食、製造、衛生管理が必要な現場 |
クラウド型なら、複数拠点や在宅勤務の打刻も同じ画面に集まります。
勤怠管理システムの主な機能
勤怠管理システムの代表的な機能は次の通りです。どこまで標準で持つかは製品によって異なります。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 打刻管理 | 出退勤・休憩の記録。GPS連携や顔認証に対応する製品もある |
| 残業・深夜労働の管理 | 残業・深夜・休日労働を区分して集計し、36協定の上限に近づくとアラートを出す |
| 有給休暇管理 | 付与日数・取得日数・残日数を自動計算し、従業員にも表示する |
| シフト管理 | シフト作成、従業員への共有、変更履歴の管理 |
| 勤務形態別の設定 | フレックスタイム制、裁量労働制、変形労働時間制などの計算ルールに対応 |
| 申請・承認 | 残業申請、休暇申請、打刻修正をワークフローで承認 |
| 給与ソフトとの連携 | 給与計算ソフト向けに勤怠データをCSVやAPIで出力 |
管理者だけでなく従業員も自分の勤務状況を確認できるため、自己管理の意識も高まります。
勤怠管理システムで効率化できる業務

機能を並べるだけでは効果が見えにくいため、業務ごとに何が変わるかを整理します。
| 業務 | 手作業で起きやすい問題 | システム化で効率化できる点 |
|---|---|---|
| 出退勤打刻 | 打刻漏れ、時刻の転記ミス、拠点別回収 | PC、スマホ、ICカード、顔認証などで記録を集約 |
| 勤怠集計 | Excel関数の崩れ、休憩控除の確認漏れ | 所定労働、残業、深夜、休日を自動集計 |
| 申請承認 | メールや紙の申請が埋もれる | 残業、有給、打刻修正をワークフロー化 |
| シフト管理 | 最新版が分からない、変更連絡が属人化 | シフト作成、共有、変更履歴を一元化 |
| 給与連携 | CSV加工や転記で差し戻しが発生 | 給与計算ソフト向けのデータ出力を標準化 |
| 労務チェック | 上限超過や有給未取得に気づきにくい | アラートで早期に確認し、月末前に対応 |
特に差が出るのは例外処理です。遅刻、早退、在宅勤務、休日出勤、深夜勤務が重なると確認量が増えます。目的は、例外を承認済みの状態で月次締めに流すことです。
勤怠管理システムを導入するメリット
導入効果は企業規模や業種を問わず、次の4つに整理できます。
1. 業務効率の向上
毎月の手作業による集計が自動化され、人事・総務の工数が減ります。給与締め前の残業が減るのが最も分かりやすい効果です。
2. 法令遵守の強化
労働時間を正確に記録でき、36協定の上限超過や未払い残業のリスクを早い段階で把握できます。
3. データの可視化と分析
部署や拠点ごとの勤務状況をダッシュボードで確認できます。残業が多い部署や有給取得率の低い部署も一目で分かります。
4. 働き方の柔軟性確保
テレワーク、時差出勤、フレックスタイムなど多様な働き方でも、同じルールで記録できます。
法令対応とデータ精度で見るべきポイント
厚生労働省は、原則として1日8時間・週40時間を超えて労働させてはいけないこと、6時間超は45分以上、8時間超は1時間以上の休憩が必要なこと、毎週1日または4週4日以上の休日が必要なことを示しています(出典: 厚生労働省「労働時間・休日」)。
| 項目 | 上限・基準 |
|---|---|
| 36協定の限度時間(原則) | 月45時間・年360時間 |
| 特別条項がある場合 | 時間外+休日労働が月100時間未満、時間外が年720時間以下 |
| 月45時間を超えられる月数 | 年6か月まで |
選定時は、所定労働時間、休憩控除、変形労働時間制、夜勤、有給付与、36協定アラートを自社ルールに合わせられるかを確認します。もう一つの論点はデータの証跡です。打刻修正の申請者と承認者が残らないと、給与計算時の説明が難しくなります。
クラウド型とオンプレミス型の違い
| 種類 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| クラウド型 | インターネット経由で利用。初期費用を抑えやすく、法改正への対応もベンダー側で更新される | 中小企業、複数拠点、テレワークのある企業 |
| オンプレミス型 | 自社サーバーに導入。カスタマイズの自由度が高いが、保守・更新は自社負担 | セキュリティ要件が厳しい大企業、特殊な就業ルールを持つ企業 |
多くの企業では、初期投資が少なく拡張しやすいクラウド型が選ばれています。
公式料金と選び方

料金は月額単価だけでは比較できません。基本料金に含まれる人数、従量課金の開始人数、オプション費用を見ます。2026年9月27日時点の公式情報は次の通りです。
| サービス | 料金(公式) | 前提条件 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| KING OF TIME | 利用人数×月額300円(税別) | 月払い・人数課金、初期費用0円、最低利用人数・利用期間の制限なし。勤怠管理・人事労務・給与・データ分析が料金内、電子契約は別料金のオプション。出典: KING OF TIME公式FAQ・KING OF TIME 給与 | 人数課金をシンプルに見たい企業 |
| マネーフォワード クラウド勤怠 | 6名以上は1名につき月額300円(税抜) | 5名以内は「マネーフォワード クラウド」の基本料金内(スモールビジネスプランは年払い月額換算4,480円・月払い5,980円、いずれも税抜)。出典: 公式FAQ・料金ページ | 会計・給与など周辺業務も同じ基盤で見たい企業 |
| ジンジャー勤怠 | 月額300円〜(税別) | 利用製品×利用人数で決まる。初期費用や詳細の料金表は公式サイトの資料で確認。出典: ジンジャー勤怠公式サイト | 人事労務系の製品を組み合わせたい企業 |
料金を試算するときは、現在の従業員数だけでなく、増員、休職者、アルバイトまで含めます。打刻端末や初期設定代行で費用が変わる場合もあるため、公式料金と見積もりの両方で確認することが重要です。
料金以外の比較ポイント
- 勤務形態への対応:フレックスタイム制、シフト制、変形労働時間制に対応できるか
- 操作性:現場の従業員が迷わず打刻・申請できる画面か
- サポート体制:初期設定の支援やトラブル時の問い合わせ窓口があるか
- 他システムとの連携:給与計算ソフトや人事システムにデータを渡せるか
- スマホ対応:外回りや在宅勤務でも打刻・承認ができるか
給与計算との連携方式は、給与ソフトと勤怠管理システムの連携ガイドで詳しく比較しています。
導入事例: Excel締め作業を短縮する流れ

例えば、50名規模の店舗運営会社で、各店舗がExcelに出勤時刻を入力し、本部が月末に回収しているケースを考えます。最新版のファイルが分からない、休憩入力が店舗ごとに違う、残業申請と実績が一致しない、といった問題が起きます。
導入時は、打刻方法をスマホかタブレットに統一し、シフト、休憩、残業申請、打刻修正をワークフローに寄せます。給与計算ソフトに渡すCSV形式も固定すれば、本部の作業は「入力内容を探す作業」から「例外だけを承認する作業」に変わります。
業種別の使い方
| 業種 | よくある課題 | 効果が出やすい機能 |
|---|---|---|
| IT・オフィスワーク | 在宅勤務の労働時間が見えにくい | PC・スマホ打刻、残業アラート |
| 製造 | シフト制で拠点ごとの人員配置が属人化 | シフト管理、ICカード・生体認証打刻 |
| 小売・飲食 | 打刻忘れ、店舗ごとに集計ルールが違う | 打刻漏れアラート、店舗別集計 |
| 介護・医療 | 夜勤や変則勤務の計算が複雑 | 変形労働時間制、深夜割増の自動計算 |
導入ステップと定着ルール

導入は、サービス選定より先に現状整理から始めます。
- 勤怠項目、締め日、勤務区分、休憩ルール、残業申請、有給付与、給与計算ソフトの入力項目を一覧化する
- 少人数または1拠点で試験運用し、打刻漏れ、代理承認、シフト変更、給与連携CSVを確認する
- 見つかった問題を、システム設定、社内ルール、追加開発に分けて対処する
- 本番移行後は、未打刻、未承認申請、残業上限、有給取得の確認項目を固定する
月次締めの標準化まで設計して初めて、効率化の成果が安定します。
失敗しやすいパターンとnocoderiが補える範囲
導入後に「思ったほど使えない」「現場で定着しない」となる原因は、次の4つに集中します。
- 現場への周知不足で使われない
- 運用ルールが整備されておらず、誤打刻が頻発する
- 管理者と現場担当の役割分担が曖昧
- システムが現場業務と合っておらず、かえって手間が増える
防ぐには、トライアル導入、社内説明会、運用マニュアルとQ&Aの整備が有効です。ただし、現場ごとの例外をすべてSaaS標準機能に押し込むと、Excelやチャットが残って二重管理になります。
nocoderiでは、SaaSで足りる部分と個別に作るべき部分を切り分け、Bubbleを中心としたノーコード開発で補助アプリを設計します。人員配置ダッシュボード、案件別工数集計、独自承認フロー、給与計算前のチェック画面など、SaaSの外側を補えます。考え方は勤怠管理システム ノーコード【2026年版】SaaS比較と外注でも整理しています。
勤怠管理システムの今後の動向
勤怠管理システムは、多様な働き方への対応を軸に機能が広がっています。
- AIによる打刻漏れ・長時間労働の異常検知
- 顔認証・静脈認証など非接触型打刻の普及
- 人事評価や工数管理とのデータ連携
- 法改正に合わせた計算ルールの自動アップデート(クラウド型)
人事システムと勤怠データをつなぎ、離職の兆候や配置の偏りを見る使い方も増えています。勤怠管理は記録のためのツールから、人材活用の基盤へと役割を広げています。
まとめ
勤怠管理システムは、出退勤を記録するだけのツールではありません。打刻、休憩、残業、有給、シフト、申請承認、給与計算連携を同じデータでつなぎ、月末の確認作業と労務リスクを減らすための業務基盤です。導入すると、業務効率の向上、法令遵守の強化、データの可視化、柔軟な働き方への対応という4つのメリットが得られます。クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶかは、導入期間、費用、サポート体制を合わせて判断してください。
効率化を成功させるには、料金の安さだけで選ばず、自社の勤務形態、就業規則、承認フロー、給与連携、現場の使いやすさを確認する必要があります。2026年9月時点では、KING OF TIME、マネーフォワード クラウド勤怠、ジンジャー勤怠など、1人あたり月額300円(税抜)前後から検討できるクラウド型サービスがあります。ただし、基本料金に含まれる人数、従量課金の開始条件、オプション、初期設定支援、打刻端末の費用はサービスごとに異なるため、公式情報と見積もりで確認してください。
また、SaaSだけで自社の例外運用をすべて吸収できるとは限りません。勤怠管理システムを中心にしつつ、独自の集計、申請、レポート、現場向け画面をノーコードで補うことで、無理なく業務全体の効率化を進められます。まずは現状の締め作業を棚卸しし、どの作業を標準機能で処理し、どこを自社専用にするかを整理することから始めてください。勤怠データを正しく集められるようになると、残業の偏り、シフト不足、拠点別の人員配置も見えるようになり、経営判断に使えるデータ基盤へと広げられます。
費用の目安:基幹システムの費用相場【2026年版】|導入形態別の内訳と見積もり方
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